【言葉を尽くして話し合おう、
たとえ考えが異なっていたとしても、
意思疎通の手間暇を怠らずにおこう】
十年前、
他人にやりたくないことでもやらせなきゃいけない
「管理職」という名の〝会社の歯車〟だった頃の話
有給休暇が底をつくか、つかないか
いつもギリギリとなる社員が数人いた
趣味であれ、家庭の事情であれ、数字は数字
個人的事情を就業規則や労働協約は想定していない
合理的説明がなければルール通り勤務認定して
〝セーフ〟もあれば、〝アウト〟もあった
つまり給与カットも、わずかにあったのである
仕事が良く出来る40代女性の場合だが
年の暮れ、有給枠が底をつき、休日出勤しなければ
年度末に給与カットが確実になる状況になった
別室に呼んで「給与カットにならないための方法」を
いくつか説明したのだが、本人は納得しない
その後、業務に必要な会話以外、彼女は口をきかなくなった
妥協の余地がないので、わたしも対応できずにいた
これ以上かかわってもセクハラ、パワハラになりかねず
腫れ物扱いの彼女には、大事な仕事を任せられなくなった
いわゆる「もう、君には頼まない」である
勤務認定も機械的にし、人事部に提出した
わたしが異動となるまで、その状況は続いた
◇
他人同士が意思疎通するには「言葉」がなくてはならず、
それも、面談により、ある程度は腹を割って話さねば
誤解や感情的しこりが生まれがちである
これくらいは、いわなくても分かるだろう、では
どこに地雷があるか、しれたものではない
バカげた馴れ馴れしさ、バカげた友愛は
いつメッキが剥げるとも限らないから
賢者が取るべき対応ではあるまい
しかし、
「礼は利口さ、非礼は愚かさ」との法則に従えば、
杓子定規にルールを適用せずとも
事情をきちんと説明し、打開策を話し合えば、
良策も見つかるかもしれない
◇
腹を割って話しても、分かり合えないことがある
この時、相手が、無視を決め込んだり、
不快を与える態度あるいは許されざる態度を取った場合
あなたはどう対処すべきだろうか?
説明もなく謝罪もないのに
理由なく赦して水に流すだろうか?
これは日本人の悪弊である
(家族などは例外だが……)
赦すことは〝もう一度やってくれ〟というメッセージであり
断交したはずの相手に対して弱みを与えることになる
そういう相手は、断交の原因になった行為を
もっと大胆に繰り返すことは必至である
自分が相手にとってなくてはならない、
という思い上がりを増幅しながら
またぞろ平然と繰り返すのである
そういう相手が「もうしません」との
口先での約束や保障の言葉をあてしてはならない
不快や立腹は横においておき、信用の置けない相手は
一切において縁を切ることが、
ストレスフリーの唯一無二の方法である
お人好しの善人が
ストレスを抱える不条理が、
この国にはあまりにも多すぎる
加害者と被害者を取り違えてはならない
これは日常生活においても
TVのなかの政治の世界においても
いたるところに通底する風景なのである