【権力を手にする者の身勝手さは、いつの時代も変わらない ~ 物事が見えなくなっている悲しい生き物 の巻】
フランス革命が起きることなど、
夢にも思わなかった絶対王政の頃の話。
18世紀初頭、大宰相であったカージナル・デウボウは
重い病に罹って外科手術を受けることになった。
主治医ブードンに向かって
「先生、どうぞ慎重にやってください。
この病院に来る『普通の患者』と同じよう
扱われては困りますから」と言った。
ブードン医師はキッとなり、こう言い放った。
「閣下のいわれる『普通の患者』も
私にとっては皆、同じ大宰相であります。
ですから職務上よりみれば、
閣下と彼らとの間には、
少しの違いも認めることはできません」
権勢を誇るさすがの大宰相も
これには唖然呆然。
◇
全てモノゴトの始まりを「権輿(けんよ)」と呼ぶ。
秤(はかり)を作るには、
まず権(おもり)から始めねばならない。
車を作るには、
必ず輿(こし)すなわち箱から始めねばならない。
裸で生まれ、何も持たずに死んでいく。
物事の始まり。事の起こり。発端。
ヒトは等しく同じところに拠って立つのである。
奢れる者。それが見えなくなる悲しい生き物。
ヒトを小馬鹿にし、ヒトの命の重みを解しない。
凡百にして俗なる者を見よ。
権力と冷血の親和性は高いのである。
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