囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

続々・命運のレシピ

2020年10月20日 | 雑観の森/心・幸福・人生

 

同名エッセイ「京の味」から 

 ~ 景物を堪能する の巻】

 

司馬遼太郎のエッセイを引用し、あれこれ書いたばかりだが、

実は同じ題「京の味」という、別のエッセイもある。

歴史家の奈良本辰也が、その数年後(1976年)に書いた。

 

「味と文化の伝統と」

「味の感覚をみがきあげた茶道」

「京都人の包丁の冴え」

「室町末期に作られた菓子」

「京菓子の美しさ」

「京料理の特権」

といった小見出しを付けて、史家らしい切り口で

「味」の周辺を洗っていくのだが

最後にこういう風に結んでいる。(要旨)

 

 

(奈良本は)

世界中の料理が食べたければ

東京にいくべきだ」と言う。

しかし味は特級ではない

値段だけが超特級

中身は第一級くらい

と考えたらよい。

そう割り切って食べたら

腹も立たないということ。

 

値段に相応して満足できるのは大阪

値段以上の美味しいもの神戸

京都はといえば、三つの都会のなかで

一つの風格を残しているという。

 

東京にも大阪にも神戸にもない「京の味」の特権。

それは、自然や風土の景観が一枚加わっていることだ。

京都の料亭は、古い寺社の境域を利用したり

溶け込んだような姿をみせたりし、

もてなしてくれる。

これを景物として味わう時、

まだまだ京の味は残っており、

この一線だけは守りたいものである。

と、エッセイを結んでいる。

 

         ◇

 

わたしの大切な若い二人は、

年末年始は軽井沢や東京で過ごし

そして年明けには当方にやってくるらしい。

仕事も私用も忙しいのだ。

 

京都はどこに連れて行こうか、

と思っている。

まったりした時空を

ひととき味わうために。

 

 

▲今年7月に訪れた中村楼(八坂神社表参道、室町時代創業)

 

 

奈良本 辰也(1913~2001年) 大学紛争のなか立命館大学教授を辞任した後、著述・講演活動に入る。問題研究所所長、京都イングリッシュセンター学院長などを歴任。日本中世史、幕末史、特に郷里でもある長州藩に関係した著作も多い。

 



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