囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

「思い上がり」に喝 7

2020年06月25日 | 雑観の森/心・幸福・人生


 
いさめてくれる者を重用する の巻】

 

江戸の初め。

ある日のこと、

紀州和歌山の初代藩主、徳川頼宣が

その佩刀(はいとう)の利鈍を試そうと

囚人を引っ張り出しては

斬り捨てて快哉を叫んでいた。

 

その時、儒臣の那波道円が側にいたので

頼宣が「中国にもまたこのような快剣があるか」

と自慢そうに言えば、

彼は「はい、やはり干将莫耶というのがありまして

この切れ味は決して殿様の刀に劣りません。

そうして夏桀、殷紂という暴君がおりまして

その残酷なこともまた殿様に劣りません。

だから後世に至っても暴君のよき例(たとえ)と

されております」といった。

 

頼宣はムッとして

ただちに奥に入ってしまった。

 

その夜となってから

道円を召し寄せ

「今日の行いは大いに誤っていた。

まことに悔悟の情に堪えぬ。

それにしても、

よく余をいさめてくれたな」と

その忠誠を深く賞賛したという。

 

 

徳川頼宣(よりのぶ)家康の十男。常陸国水戸藩、駿河国駿府藩を経て、1619(元和5)年、紀伊国和歌山55万5000石に転封。紀州徳川家の家祖となる。8代将軍徳川吉宗の祖父にあたる。覇気に富む人柄だったと伝えられている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。