【悪政をチクリ皮肉る ~ いっこくものには付き合いきれず の巻】
江戸の終わり。
禅画で名高い仙厓和尚が
故郷・美濃にある庵に住んでいた頃。
大垣藩の政治が大いに乱れ、
どのように役人を変えても
さっぱりよくならない。
それどころか、悪化の一途である。
これを見た和尚は
よかろうと思ふ家老が悪からう
元の家老がやはりよかろう
と、狂歌を詠じたところ
それを聞きつけた家老が大いに怒り、
和尚を国外放逐する、と決めた。
すると和尚は
傘(からかさ)をひろげて見れば天が下
たとへふるとも蓑(美濃)は頼らじ
と、詠み、飄然として去っていった
と伝えられる。
仙厓義梵(せんがい・ぎぼん、1750~1837年) 臨済宗古月派の禅僧、画家。禅味溢れる絵画で知られる。奔放な生き方で知られ、狂歌も多く詠んだ。福岡の名刹「聖福寺」の住職を務め、文人の間に当寺の知名度を上げた。