ヨブ記 20 ヨブの女子等ほど美しき婦人は見ざりき
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・ヨブは美しい三人の娘に囲まれ、両腕を拡げて彼等に祝福を与えている。しかし、三人の娘はブレイク的には、「洪水が流し去らなかった・・・・・人間の三種の力である詩、画、音楽」(最後の審判の現覚)であることは、およそ確かであろう。背後の壁面にはヨブが経由してきた障害の苦悩や救いの種々相が、描かれ、今は生活を飾る芸術に変えられているのが見える。
ヨブ記 21 その終りを初めより善くしたまえへり
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・シリーズの帰結が人間生活の復原であるに相応しく、場面も全く第1図通りであるが、背後の太陽と月は左右を換えてこの場面が夜明けであることを示している。ヨブ一族は、新しい活動の首途を意味するように皆立ちならび、楽器をそれぞれに手にして、更生の朝の賛歌を奏しようとする様子である。
長い苦悩を通して獲得せられた人間完成の喜びが奏楽を待たずしてこの芸術に満ちあふれ、観者を揺り動かしそうな勢いである。
あとがき
このウィリアム・ブレイク『ヨブ記』の挿絵ですが、若かりし頃、一度目にしていたのですが、『ヨブ記』のなかみが何を表わそうとしていたのか、気づこうともしませんでした。それが、古希を迎えリタイアの日々、ブレイクが何を表わそうとしていたのか、少しは理解出来たのかなと思う私ではあります。
それにしても、ブレイク描く版画と絵の世界には圧倒されます。ウィリアム・ブレイク、人と詩と絵。なんて、すごい人と詩と絵なんだろと・・・・。
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