8時からのNHK総合の放送を待ちきれず,6時からのハイビジョンを見てしまいました。尤も,ケーブルTV経由なので,地デジよりBSの方が画質が劣るという困った現象が起きており,アンテナを上げなくてはならないのですが・・・。
一昨年の「風林火山」より何十年か後の話となるのですが,実は直江兼続に関しても上杉家に関しても,「風林火山」の武田家臣団以上に関心外であり,予備知識も殆ど無く(勿論原作も未読),一体どれぐらい付いていけるか皆目見当が付きません。
兼続に関して知っていることは,上杉景勝の家老・軍師で,謙信二十六将の一人である直江景綱の名跡を継いだこと,旧姓が樋口であるから源平の争乱期に木曾義仲の四天王の一人である樋口次郎兼光の子孫ではないかということ,石田三成家臣島左近と共謀して南北呼応によって関ヶ原の役を起こした張本人の一人であること(どうも本作では三成との共謀のようで,左近は出ないようですが)と家康に突き付けた「直江状」を書いたこと,そして米沢の町割をした人,ということぐらいしか知りません。
私は,兼続は謙信の寵童であったという司馬遼太郎の作品に載っていた説を信じていたのですが,上杉贔屓(=信長アンチ)によると,とんでもない嘘だそうで,謙信は男にも女にも興味のない清廉潔白な男ということらしいです・・・。
因みに,戦国三大軍師の一人だそうです。
三大軍師とはてっきり,山本勘助・竹中重治(半兵衛)・黒田孝高(官兵衛・如水)のことと思ったら,何でも直江兼続・小早川隆景・島勝猛(左近)のこと,と上杉贔屓のやつから聞いた記憶があります・・・。
考えてみたら,新潟という地域は東北のすぐ隣であるにもかかわらず,私にとってあまり縁のない地域です。
仕事で1回新潟市に行った他は,妙高高原(春日山のすぐ南)に一度,佐渡に一度行っただけで,未だに上越新幹線すら未乗です(上越本線は夜行に乗った)。
そして,秀吉時代の上杉氏は会津に,関ヶ原以降は米沢に移りますが,私は伊達領内に育ったからなのかどうか(生まれは秀吉時代の上杉領内らしいですが),上杉家に関しても米沢に関しても,全くの関心外で来ました。
ただ,10年前に改めて米沢の町を歩いた際(例の「愛」の前立ての兼続の甲冑のある米沢城跡の稽照殿も見ました),米沢開府400ねんを控えて,街が上杉+兼続一色だったことが思い出されます。
その稽照殿や上杉神社のある城跡には謙信の銅像もあり,街興しに上杉は重要な資源となっていることを改めて感じました。
その後数回にわたって米沢を訪れていますので,そのあたりは,いずれ機会をみて述べてみたいと思います。
さて,番組ですが,永禄7(1564)年,坂戸長尾氏の本拠である坂戸城で当主長尾政景が変死したところから始まります。
プロローグで,秀吉が景勝の前で兼続をヘッドハンティングするエピソードが語られますが(砂金が籾殻に見えた),果たしてこれが後に生きるのかどうか甚だ疑問です。
三成との関係を改めて示しておく伏線なのでしょうか・・・。
笹野高史の秀吉は,本人が述べていたように容貌だけでも◎ですね。
富司純子の北政所は恰幅有りすぎで怖いです・・・(失礼)。
話を戻すと,長尾政景の変死ですが,今尚謎だそうですね。
当時の謙信(もとい輝虎)の軍師であった宇佐美定満(一昨年は故緒形拳が老獪に演じていました)とともに,北信の野尻湖で溺死したと思っていたところ,今回の設定は坂戸で死んだことになっていました。
確かに,坂戸城近くの野尻池で溺死したという説もあるらしく,一体どちらなのか,変死の真相同様不明のようです。
一度春日山長尾家(つまり謙信)に逆らった政景を宇佐美が身を挺して屠った,という説と輝虎の指令による謀殺説も有るようですが,今回は「父の仇!!」と斬りかかる喜平次を躱す(素手で刃を受けて流血してましたが)ということで,それ以上は触れていないのは本流から離れるからでしょう。
阿部寛の謙信もとい輝虎は,なかなかごつくて良かったですね。
正義の武将・・・というよりは悪人面で(失礼!!),信長役でも良かったかもしれません・・・。
一昨年のがっくんとはえらい違いです・・・。
意外や意外,吉川晃司の信長も良かったです。
そして,何よりもヴェテラン揃いの上田衆や上杉家臣団も見応えがありました。
特に,直江景綱役の宍戸錠に北高全祝役の加藤武は,さすがの存在感を示していました。
尤も,永禄年間に北高全祝は,甲斐の武田信玄の求めで信濃に居たと思われるのですが・・・。
また,夫政景を亡くした仙桃院は,弟輝虎の春日山城に移って尼となった,とありましたが,髪下ろしていないし(短く切ってはいましたが) ,いつの間にやら上田の樋口家に現れるし,輝虎も春日山に喜平次を引き取って狩りに連れ出した,と思ったら,坂戸の寺に与六と一緒に喜平次を送り込んでいるし,そのあたりがはっきりしませんでした・・・。高嶋弟は相変わらずでしたね・・・。
兄は悪役もできそうですが,弟は「いい人」役しかできないような気がします。
何か「ゴジラ」で主役をやった時から変わっていないような気がするのは私だけでしょうか・・・。
子役はいずれも上手でしたが(喜平次近習に大根が居たようでした),優しい両親-暖かい家庭→寺で修行-乱世の荒波,といった構図が見え見えだったような気がします。
次回はもう妻夫木くん登場のようですが,「いい人」ぶりばかりが際立つようなキャラクターにはして欲しくない,と個人的に思います・・・。
タイトルバックにあったのは(妻夫木くんが立っていた),魚沼地方を代表する八海山でしょうか。
八海山というと,ついつい越後杜氏の銘酒を思い出します(笑)。
ただ,4年前の地震で被害が大きかったのもあの地域と思うと,今回の作品が街興しに一役買って欲しいと思います・・・。
地図を見ると,かつての六日町は南魚沼市となってしまっていました。
坂戸城の位置を確かめ,上田という地名を拾うまでは良かったのですが,野尻池とはどこなのかはっきりしませんでした・・・。
タイトルバックに流れるテーマは,遂に大河抜擢となった大島ミチルの手になるものです。
とにかくオケを重厚に鳴らす手腕は,この人の右に出る作曲家は居ないのでは,と「ゴジラ」や「鋼の錬金術師」等を聴いて,常々思ってきました。
暗色系のメロディが効果的で,各種楽器の特徴を十分知り尽くした練達の書法で,今回も感心させられました。
昨年,千住明による「風林火山」のサントラCDを買ってしまいましたが,今回も買ってしまいそうです・・・。
・・・で最後に,大坂城の石垣のシーンは熊本城ですし,坂戸城のシーンは例のえさし藤原の郷の経清館と河崎柵のようです。
それにしても,逆茂木を一刀で切り倒すとは,如何に輝虎様とて無理ではないでしょうか・・・。
縛った縄を切るだけなら分かるんですけど・・・。
あと,兼続の兜の「愛」の文字ですが,あれは,愛染明王か愛宕権現からとったものではないでしょうか。
仁愛の愛ではないような気がするのですが・・・。
師たる謙信の旗印も,毘沙門天の「毘」ですし・・・。
・・・ということで,第一回から無用な突っ込みを入れてしまいました・・・。
ま,そのぶん期待もしているということで・・・。
視聴率でどれぐら「篤姫」に迫れるかも興味の湧くところです・・・。