残念なことに埼玉県の痛ましい事故に続いて,訃報が入った。
丹波のおじさまが亡くなられた・・・。
最後に映像でお目にかかったのは2002年の「たそがれ清兵衛」とNHKの大河ドラマ「利家とまつ」だったろう。
前者は主人公清兵衛の祖父(だったか),後者は佐々成政に仕える老臣の役だった。
往年のタフな雰囲気は全く感じられず,がっしりした身体が一回りも二回りも小さくなった感じで,眼光だけは鋭かった記憶がある。
最初の出会いは,やはり「007は二度死ぬ」だったと思う。
TOYOTA2000GTという車を知ったのもこの時だし,ボンドガールの浜美枝さんも同様。
そして,姫路城をバックに手裏剣を投げる忍者軍団を率いるおじさまは,主演のショーン・コネリーに負けず劣らずタフで格好良かった。
この二人の競演にはエピソードがある。
ハワイのホテルで偶然隣室だか向かいの部屋になったとかで,うっかり自室に入れなくなったコネリーを丹波のおじさまが招き入れて,風呂に入れさせてやったとかいう話だ。
その結果,007シリーズに登場(しかも格好良い役で)と相成ったとのことである。
実は他に,個人的には忘れ得ぬ二つの作品がある。
残念ながら,「キー・ハンター」と「Gメン75」ではない。
一つは,1985(昭和60)年4月から翌年3月まで放送されたNHKの水曜時代劇「真田太平記」である。
何でも池波正太郎著による原作を十回以上読んだとのことで,真田昌幸の役作りは抜群であった。
滅法渋くてタフで戦闘能力が極めて高く,それでいて女には甘く,抜け目がないようで居て女に関しては結構だらしなく・・・という,まるで真田昌幸が蘇ったのではないか,と思われるような演技であった。
私が原作を読んだのは,その1年以上後の昭和62(1987)年から翌年にかけてであったが,昌幸の登場場面では丹波のおじさまの姿をオーバーラップさせたものだった。
「真田太平記」に関しては,いずれ項を新たにして述べたいが,今宵は21年前を偲んで当時の映像を見て寝ようと思う・・・。
そして今ひとつは99年に封切られた「クレヨンしんちゃん-爆発!!温泉わくわく大決戦-クレしんメイド・イン・埼玉」である。
これは,元々完成度が高いとされたクレしん映画の中でも「あっぱれ戦国大合戦」と並ぶ傑作と私は信じているが,何と,おじさまはこんなところにも登場されていたのだ。
元々話術に長けておられたので,このような作品ではお茶目な役も滅法似合うのである。
そう言えば,いつだったかハワイで正月番組に出られた際,
司会のアナウンサーの
「霊は存在しますか」
の問いに,
「勿論存在するよ。このハワイにだっているくらいだ」
と答え,
「え゛,どこにですか」
とうろたえる司会者に,
「あんたの首に下がっとるよ」
とのたまわったのには,腹を抱えて笑ったものだった。
大往生され,信じておられた死後の世界に行かれたのだろうが,もしかするとひょこっと戻ってきてくれないだろうか。
そう言えば,32年前の「日本沈没」では総理大臣役だった(今回のが遺作となるのだろうか・・・)。
押しの強い役柄が滅法似合う希有な俳優だったと思う。
合掌・・・。
丹波哲郎といえば、私の場合、NHK大河ドラマ「義経」の印象が強いです。「おお、あんなにやつれちゃって、大丈夫か?」という感じで、滑舌が悪くなりながらも鬼気迫る演技を拝見しておりました。あれから1年ちょっとですか。まあ84歳といえば、大往生とまではいわないでも、小往生くらいでしょうかね。goo辞書には「往生」とは仏教用語で「この世を去って、他の世界に生まれ変わること。」とありますから、どこかで再び活躍なさるでしょうかね。
残念です。
そうでした「義経」に出ていました。
昨年4月の拙エントリでも取り上げていたことをすっかり失念しておりました。
源三位入道頼政役でしたね。
仰るとおり鬼気迫るような役でした。
史実では平等院の扇の芝で自刃した筈なのに,踏み込んできた平「阿部寛」知盛に至近距離で射られたので,仰け反った記憶が蘇りました。
イメージを壊すかもしれないので、気に入らなかったら削除してください。
1)国際派俳優は英語を知らなかった。
丹波さんというと英語が堪能な国際俳優というイメージがあるが、実は英語は全然出来なかったとか。(GHQの通訳だったと言うのは間違いで、実は米軍兵士への女性斡旋をしていただけで、全然英語は覚えなかったらしい)
007シリーズの前に、外国映画への出演依頼を受けて現地まで行って、そこで困った(そこまで行かないと困らないというのも凄いが)丹波さんは現地の女性とのピロー・トークから英語を覚えたとか。(本人談)
2)台詞は一言も憶えない。
丹波さんは台詞をカメラの脇に置いたカンペや、机の上に置いてあるものに台詞を書いて、それを読みながら役を演じた。あるとき、みかんに台詞を書いておいたのだが、丹波と仕事をする緊張のあまり、ある俳優がみかんを食べてしまった。丹波さんは本番で全然動じず、
「ここにあった、みかんが無い!」と何の脈絡も無い台詞を発して、そのまま続けようとしたとか。(勿論、カット)でもカンペを読んであれだけの演技をしたのだから、ある意味、これも凄いと思いますが・・・
3)自分の出た作品は見ない
自身の出た映画やテレビドラマは一切見なかった事でも有名。その為300本以上の映画に出ることが可能だったのではないかと言われている。(実際にはチョイ役なんかも含めると500本近く出演しているのではないかと言われている)
koshiさんの話にあった、ショーン・コネリーとの遭遇のエピソードにはもうひとつの裏話があるそうです。ショーン・コネリーがノックして出てきた丹波はなんと、ベッドで女性と格闘の真っ最中だったとか。(これも本人談)
全然関係無いけど、ショーン・コネリーはこの時代、結構自室に鍵の置き忘れや奥さんに浮気を見つかって部屋の締め出しを喰らってます。(これも実話)
丹波さんは映画の出演数よりも、抱いた女性の数の多さを誇らしげに語っていたそうだ。
楽しいよなぁ。
丹波さんも、念願の霊界に行く事が出来たのだから、合掌よりも、万歳三唱の方が喜ぶ気がします。
削除なんてとんでもございません。
面白い話題をありがとうございます。
成る程,丹波のおじさまはそりゃもうあちらに関しても達人でいらせられましたから・・・。
ですから,余計真田昌幸の役がはまるんですね。
逆に,大河ドラマで家康役をやったら(「春日局」だったか??),存在感は抜群でしたが,抜け目が無さ過ぎでちょっと違和感があった気がしました。
晩年は飄々としていて,何か世の中(特にマスコミ)をおちょくって,楽しんでいるような感じで,いい味出しまくりでした。
明後日が告別式だそうですが,どんな式になるのでしょう・・・。