忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

しゃかりきの「しゃか」って「釈迦」だってね

2009年11月26日 | 過去記事
■2009/11/25 (水) しゃかりきの「しゃか」って「釈迦」だってね 1

ツレが鼻から軟骨を抜く手術をしたらしい・・と忘年会の知らせと共に聞いた。中学生からの悪友は、電話の向こうで心配しながらも「鼻の穴が3つになったらしいww」と茶化していた。

ちなみにその「鼻の穴3つ」は2年ほど前、居眠り運転から事故を起こし、両足は今でもまっすぐ立てない状態だ。心優しく友人想いの私は、なんでこいつばっかり酷い目に遭うのかと哀れんで、クソ忙しいのに電話をしてやった。なんて優しいのか私は。

原因は「蓄膿症」だった。軟骨が曲がり鼻腔を塞いでいたらしい。それで、一時的なモノだと思うのだが「嗅覚」が死んだと嘆いていた。「なんの匂いもしない」とのことで、これが意外に不便らしい。先ず、味がしないと言っていた。「舌」だけで味わうことになろうから、これはなんとなく想像できる。酒飲みの私ならば致命的だったろう。

そういえば、私のツレの中には「鼻曲がり」が多い。思いつくだけでもあと2人いる。これは中学生のころ、年上のヤンキー(懐かしいww)に連れ去られ、並べて正座させられて顔面を蹴り上げられたメンバーだ。全員、その時に鼻が曲がった。そういえば、この全員が「鼻声」だ。軟骨が折れて、そのまま曲がっているのだろう。あっはっは♪

もちろん、私の鼻は綺麗に真っすぐだ。私個人を狙う奴はいなかったし、要領も良かったし、何より顔面に真正面から喰らったことはない。瞼の上や耳の下あたりは腫れあがって苦しんだことがあるが、目や鼻に大きな怪我を負ったことはない。そんな怖い目に遭ったこともない。こんな阿呆どもとは違い、私は真面目で大人しい学生さんだったのだ。取り柄は勉強だけの「もやしくん」だ。恵まれた家庭だ。あっはっは♪

その「鼻曲がり」は、その曲がった鼻で生きていくらしい。元々、ルックスになど無頓着な男だから整形などするようなタマではないし、顔を変えながら逃げねばならんような悪さもしていないだろう。同じ年の嫁さんも、今更、旦那の鼻が曲がろうが目玉が飛び出そうが、どうでもよかろう。ちゃんと働いて金さえ稼いでくれれば文句なしだ。

「2」へ

■2009/11/25 (水) しゃかりきの「しゃか」って「釈迦」だってね 2

ところでちょっと旧聞になるが、今月の10日、顔を変えながら逃げ続けていた「市橋容疑者」が大阪で捕まった。捕まった後、メシを喰わんから栄養剤を投与されたとニュースにもなった。取り調べにも「言いたくない」などと応じないらしい。テレビでは市橋が働いていた会社なんかも出ていた。住み込みの部屋も映されていた。なかなか厳しい環境で働いていたわけだ。目立つことは避け、ひたすら働いて金を貯めて顔を変える。

不謹慎の誹りを覚悟して言うが、人間とはモチベーションがしっかりしていればどうにかなるもんだと思った。「似顔絵」で金髪美人をナンパする器用さも、近ごろの若者にしてはなかなか、これまた、なかなかである。

キツイ仕事らしいが、それも「捕まりたくない」と必死にやったんだろう。このフラフラした若造は、皮肉にも「生まれて初めて」の努力をしたわけだ。それはある意味「殺人者にでもならねばやれない」ほどの持続力を発揮し、贅沢せずにコツコツと金を貯め、目立たぬように謙虚を覚え、嫌われぬように我を殺し、周囲に合わせながらも前に出ないという、なかなか難しい処世術を身に付けていたということだ。

無論、これを「殺人を犯す前」に行っていれば、単に立派な若者だという話で終わりだが、この殊勝な心掛けが「己が捕まりたくない」という保身から発せられた「努力」だというところに阿呆さが際立つのだ。

しかし、まあ、ある意味では「必死」だった。必死だったから仕事も何でもやったのだろう。あのクソ狭い空間で、何の楽しみもなく、ただひたすらに寝て起きて働くということを繰り返した。金は整形手術の費用、そして逃亡資金だから「必要最低限の生活」を阿呆なりに考え、それを着実に実践した。それは捕まってからも同じく、決して認めず、決して白状しない。捕まってすぐに「ぼくがやりました。ごめんなさい」と言うくらいなら、あれほどの「努力」をした意味がないとでも考えているのだろう。だからメシを喰わず、ただ、ただ、状況に耐えようとしている。これはもう少し続くだろう。

「3」へ

■2009/11/25 (水) しゃかりきの「しゃか」って「釈迦」だってね 3

だから、話はぶっ飛ぶが、今の就職氷河期など放っておけばいい。それに「国だけの所為」でもあるまい。仕事もある。なんでも選ばねばある。市橋でも働ける職場はあるのだ。

市橋は金髪美人を殺して「必死」になった。それは言うまでもなく、身勝手で腐った「必死」ではあるが、ともかく、生きるために(逃げるために)という目的を立て、それを実行しようと「努力」と「我慢」を差し出した。究極の状態になって、初めて「人生の優先順位」を考え抜いた。市橋の頭の中にはおそらく「死刑」の文字が浮かんでいたはずだ。人の人生を勝手に終わらせておいて、捕まったら自分の人生が終わると焦り、形振り構わず「必死」で考えたことだろう。警察は栄養剤など与えず、水もお茶も与えず、そっとしておいてやったほうがいい。市橋は新しい「必死」を学ぶことだろう。

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学生時代が終わり、さあ、これから社会に出るぞと意気込んでみたが、なかなか就職ができないと嘆いている若者がテレビに出ている。なんでもバブル崩壊に次ぐ就職難だということらしい。ならば、とりあえず、なんでもいいやと、妥協して「誰でもできる仕事」を探せば、そこは中途採用者で一杯だ。最近ではそこに外国人労働者も大量に傾れ込むから、ますます「必死」ではない人間はこぼれおちる。

国の所為、社会の所為、時代の所為、人の所為にしている間は「必死さ」が足らんのだ。無論、社会に出て「友愛」なんぞアテにしてたらエライことになる。世の中とは真剣勝負、生きるか死ぬかだ。ヌルイこと言ってフラフラしてたら頭から喰われるのが社会だ。

ま、しかし、だ。

人生、何事からも学ぶことができる。

こんな変態殺人者でも「よく働く子だった。真面目で控えめな好青年だと思った」という評価を得ることができる。人間、必死になればなんでもできる。そして、大切なことは「必死になる理由」を探すことだ。

「鼻曲がり」のツレは酷い目に遭ったが「必死」に前を向いて生きている。それは「必死になる理由」があるからだ。市橋はこれを間違えた。

3 コメント

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Unknown ()
2009-11-26 18:22:39
会社の部長が同じようなことを言ってました~

「派遣村の人間は市橋を見習って働け~」
「仕事なんかナンボでもあるんや~」って

熱弁をふるってましたw
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Unknown (久代千代太郎)
2009-11-26 17:48:01
>師匠

押せば凹むんですか???

あわわ・・・痛そうですね。あわわ・・・



私も前だけは向いていたい年頃です。

あわわ・・

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鼻曲がり! (はぶて虫)
2009-11-26 05:26:11
副会長どの

>私のツレの中には「鼻曲がり」が多い

すんません、私も「鼻曲がり」と言うか、蓄膿症(正確には、慢性副鼻腔炎)で手術した経験があり、おかげで鼻の骨の一部が削り取られてありません。

だから、鼻がペチャンコになるんですよ。

やはり、何かそういう人たちを吸い寄せる魅力(?)があるのでしょうかね。

私も、必死かどうかは別にして「前向き」に生きているつもりです!
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