忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

2008.12.29 [2]

2008年12月29日 | 過去記事
福井県堺市「東尋坊」。高さ25メートルの岸壁が続く絶景は天然記念物指定を受けているが、同時に自殺の名所でもある。▼その岸壁に「派遣を切られた」という人が命を断とうと集まってきているらしい。中日新聞だ。▼35歳の男性は職を探しているとき、行政機関の人間から「本気で探す気があるのか?」と問われ悔しい思いをしたという。所持金が底をつき、絶望しながら電車を乗り継いで東尋坊を目指したということだ。▼ちなみに、我が社も求人募集をしている。偶然だが、先日もこの男性と同じ年の35歳(男)を採用した。もちろん、正社員雇用だ。▼彼はスーツを着込み、筆記用具を持参し、散髪もしていた。「業界に対するイメージ」についての質問も、現状を踏まえた主観を述べていた。▼ヨレヨレのジーンズ、髪は染めて、履歴書もマトモに書いてない者。写真も貼らず、ボールペンも持たず、免許証はなく、挨拶もできない者がいる。▼声は小さく、態度はでかく。頭と財布が空っぽだから、こんな自分をどうにかしてくれと来る。行政機関でなくとも、「本気で探す気があるのか?」と疑いたくもなる。▼この男性も東尋坊までの電車賃で散髪し、髭を剃り、スーツを用意するべきだった。まっしぐらに崖からダイブすることもなく、ブラブラして声をかけられるとは見下げたものだ。▼運がいいとか悪いとか、時代が悪いとか政府が悪いとか、企業が悪いとか景気が悪いとか。「ちゃんと社会で生きていく」ということは甘いものじゃない。▼毎月給与をもらい、家族を養い、将来を考える社会人を甘く見ない方がいい。

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