忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

責任と結果について

2012年03月21日 | 過去記事


職場のパートのおばちゃんが話しかけてきた。子供の友人で台湾人が遊びに来ているとのことだ。京都観光したい、と言うのだが、さて、どうしものかと。

仕事中だった私はおばちゃんに向き合い、後で必ず、相談に乗ります。あなたの休憩の時間、必ず、私は時間を作って参上します、どうか、お待ちください、とやったら不思議そうだった。それから私は約束通り、ベランダでタバコも吸わずに駆けつけた。

おばちゃんにはメモ用紙を渡した。「友人が台湾人」と聞けば黙っていられない。いいですか、先ずは東映太秦の「映画村」です。コレは外国人ならテンションが上がります。京都タワーなんぞどうでもよろしい。それよりも嵐山、それから清水寺、伏見酒造の見学も入れておきたいところですな、それから・・・・と懸命なレクチャーをした。おばちゃんはちょっと困っていたかもしれない。また、最後に「日台の民間交流はとても大切です。その台湾のご友人にはどうか、よろしくお伝えください」と頼んでおいた。

昨年9月、東日本大震災を受けて台湾が多額の義捐金を贈ってくれたとして、日本人の若者6名が「支援してくれた台湾の人々へ感謝を伝えよう」と沖縄県与那国島から海に飛び込んだ。被災地の東北3県の知事から託されたメッセージを持ち、30分交代で50時間かけて110キロを泳ぎ切ったニュースだ。台湾側からも100名以上が沖合まで泳いで迎えに来た。上陸してからは宜蘭県政府が歓迎式も開催してくれたのだった。日本と台湾の友情は黒潮の流れにも負けず、海の中で結びついていた。

その少し前だった。日本政府は同じく震災を受けた外国人留学生に補助金を出した。ひとり12万円とのことだったが、これが台湾人留学生だけが受け取れないことがわかった。台湾人学生が説明を求めると、学校側は<台湾は国家ではないため、台湾からの留学生は補助金を受け取る資格がない>と回答した。主権国家としての常識である「己の軍隊」もなく、拉致された同胞を何十年もどうすることもしない国から<国家ではない>と言われたくはない。昨年の10月、台湾で行われた「國慶節」では圧巻の軍事パレードもあった。私は羨ましくて仕方がなかったものだ。国際法的な解釈はともかく、これではどちらが「主権国家」なのかわからない。

また、政府が金を出して、つまり、税金で感謝の意を表する広告を、世界各国に出した時もそうだった。支那朝鮮には真っ先に「ありがとうございました」とやったが、これも台湾にはやらなかった。仕方がないから、これも民間がやった。民間が「日本」を名乗って金を出す、ある意味、税金の二重払いのようなモノだ。

震災から1年の3月11日、東京で開かれた政府主催の「東日本大震災追悼式」では、台湾代表の指名献花をさせなかった。前代未聞の恩知らず、恥知らずが「いまの日本」だった。いくら民間で交流しても、それを国と政府がブチ壊す。だから台湾が好きな日本人は「国がそうでも、個人はそうじゃないんです、ごめんなさい」と親日の支那朝鮮人のようなセリフを吐かねばならない。

国、政府が非常識だと恥ずかしい思いをするのは国民だ。その逆はない。

先の震災から1年が過ぎ、民主党政権の危険性とお粗末さは隠しようもないが、比して自衛隊や警察、日本人の道徳心などが見直されることになった。中でも自衛隊の被災地での作戦行動は素晴らしく、軍事アレルギーのメディアも取り上げざるを得なかった。国民の自衛隊に対する「好感度(本当は信頼度では?)」もドジョウ、ではなくウナギのぼりとなった。民主党政権も「自衛隊はよくやってくれた」と手放しで評価していた。

しかし、忘れてはならない。震災のちょうど1年前、2010年3月11日の衆院安全保障委員会では自民党の中谷元氏が困っていた。中谷氏は制服組出身で初めて防衛庁長官を務めたこともある。いわば現場を知る人だった。質問は<自衛隊員は国のために一生懸命頑張っている。彼の真意を忖度してあげてもらいたい>というものだった。

「彼」というのは中沢剛氏。陸自第四十四普通科連隊長陸上自衛隊の連隊長だった。この連隊長が米陸軍との共同訓練の開始式で「同盟と言うものは外交や政治的な美辞麗句だけで維持されるものではなく、ましてや『信頼してくれ』などと言う言葉だけで維持されるものではない」と訓示した。それを当時の防衛大臣、北沢俊美が「危険な思想だ」「クーデターにつながる」「首相の言葉を揶揄した」と怒り、この連隊長を注意処分とした。中谷氏の質問はこれを受けてのモノだったが、連隊長の訓示はあの有名な「トラストミー」を指していた。鳩山はオバマに「トラストミー」と言った次の日、日米合意を前提にしない、と発言して大統領を呆れさせ、ついには外国の新聞から「ルーピー」と書かれるに至るわけだが、つまり、この連隊長の訓示のどこがおかしいのか、いまでも誰もわからない。

しかし、北沢はその際、こう答弁している。


<自衛隊を賛美して甘えの構造をつくることが最も危険だ。自衛隊が頑張っているからすべてがいいとなれば政治の存在がなくなる。昭和の陸海軍の歴史でも明らかだ>


そしてこのちょうど1年後、東北を震災が襲った。自衛隊員は「甘えの構造」どころか、自分の家族も津波に流されながら、それでも多くの被災者を命懸けで救援した。北沢はアスファルトに額をこすりつけて謝罪せねばならない。

民主党政権における防衛大臣とはまさに鬼門だが、それはいまに始まったことではなく、この北沢もある意味では馬鹿娘婿大臣を越えている。北沢は「中国建国六十周年の祝賀パレード」を見て感激し、興奮して<すごいですね。まさに、アジアにおけるというよりも世界における大国ということを実感した>と中国新聞社が発行する「月刊中国NEWS(日本語版)」インタビューに答えている。支那の軍拡についても<空と海に軍事力を傾注させているのは、世界情勢・アジア太平洋情勢を見ればうなずける>と理解を示す。確認するが、コレは北朝鮮の軍事顧問の発言ではなく、日本の政治家の発言、安全保障の要である防衛大臣の発言だ。自衛隊賛美はクーデターになると脅し、支那共産党人民解放軍賛美は問題ないわけだ。このような発言が支那で大々的に報道された。



当時、鳩山は頭がおかしいまま「友愛の海」とか「東アジア共同体」と寝言を繰り返していた。世界各国が懸念を示していた支那海軍の「空母建設」も<アジアの大国・中国がいよいよ空母を持つのかという思い>と感想を述べ、そのあと「中国が日本に攻め込むと言う感覚はあるか?」と問われても<中国とはきちんとした友好関係が結ばれている。そのような感覚はない>と狂気の愚鈍を披露する。

そんな支那は今月16日午前、またまた尖閣諸島周辺、日本領海内に侵入する。中国国家海洋局所属の監視船「海監50」と「海監66」が尖閣諸島や東シナ海のガス田「白樺」の周辺海域を「巡視」して19日に出て行った。監視船には国営のメディア関係者が同乗していた。異例の行動だが、これは国内向けのアピールだ。環球時報はすぐに<わが主権を
明確に示し、日本を有効に震え上がらせる>と鼻息荒い中国海軍軍事研究所の李傑研究員の寄稿を載せた。「震え上がらせる」とは変わった「友愛の海」もあったものだが、北沢は自民党政権時代に決定していた与那国島への陸上自衛隊配備も止めさせた。理由は<アジア諸国と連携していく情勢のなかで、いたずらに隣国を刺激する政策はどうかと思う>という馬鹿丸出しだった。コレを我々は事大主義、植民地根性もいい加減にしてほしいものだ、とか思っていた。しかし、現実は反日極左暴力集団、支那朝鮮にシンパシーを感じる変態政権だったことが露見した。もう待ったなし、だろう。




東北大震災から1週間後の3月18日、インターネットメディア「JBpress」に現職自衛官の投稿があった。


<隊員を喜んで死地に向かわせるのは、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣をはじめとする、防衛大臣などの各級指揮官の堅確な意志と熱誠を込めた言葉です。…死地に向かわせるなら、指揮官陣頭であるべきです>


この時の総理は菅直人、防衛大臣は北沢だった。


北沢は陸上自衛隊のヘリが17日に原発3号機に海水を投下した後<私と菅直人首相が昨日(16日)話し合いをするなかで結論に達した>と政治主導を強調。しかし、そのあと<首相と私の重い決断を、統合幕僚長が判断し、自ら決心した>と付け加えた。最終的には折木良一統合幕僚長が「決心した」のだと。この程度だから、北沢は記者会見でも決死の覚悟で海水投下を行ったヘリの操縦士に触れもしなかった。石原都知事は福島第一原発から帰庁した東京消防庁隊員に対して「ありがとうございます」と泣いた。コレが普通の「トップ」の感覚だ。だれも「消防庁賛美」などとは言わない。


いま、田中さんちの旦那さんは、記者会見で地対空誘導弾パトリオット「PAC3」を「P3C」と言い間違えて防衛省関係者を悩ませ、会見場にいる記者らを困らせている。それは海上自衛隊の哨戒機だからだ。北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射するというのに哨戒機をどうするつもりかは知らんが、反日左翼は弾切れで馬鹿を持ってきた結果だ。

国、政府が馬鹿だと恥ずかしい思いをするのは国民だ。つまり、国民とはすべからく「結果」からは逃げられない。戦前の軍部を批判するのもよろしい。それが仮に本当であったとしても、その「結果」から日本人は逃げられなかった。


今回の「衛星発射実験」。北朝鮮がまたやってるよ、程度の反応なのも無理はないが、実のところ支那とロシアが公然と反対している。異例だ。金正恩は「核を活用せよ」と側近に命令している。側近中の側近、李英浩軍総参謀長は強硬派だ。昨年7月には韓国との交渉担当者を全員粛清している。強硬派がイニシアチブを握った可能性はないか。

よろよろの北朝鮮が700億円以上も金をかけてミサイルを飛ばす。瞬間、米朝合意を破られたアメリカは食糧支援を打ち切る。金正恩は少し前まで「食糧問題改善」を最優先させるとしてきた。展開が急過ぎる。北朝鮮は今日、ソウルで開催される核安全保障サミットで、北朝鮮の「衛星発射実験」について何らかの声明が発表されれば「宣戦布告とみなす」と警告もしている。私は今回、とても不気味に感じている。

そして、いま、日本の舵取りをしているのは・・・・

2 コメント

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Unknown (久代千代太郎)
2012-03-23 21:33:02
>りじちょ

花見酒!!よろしいですな!!

思えば「虹」は桜から始まりました。私が会長に惚れたのも桜の木の下でありましたな。今度、ハグしてください。
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全く同感です。 (近江謄写堂)
2012-03-21 16:33:41
全く同感であります。
また今度、今度は花見酒に行きましょう。
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