エッセイ

雑記

依頼

2019-06-11 20:02:39 | 日記
久しぶりに、いつの間にかオレのボスみたいになっているあるオンナから、「注文」が来た。
「依頼」が入ったとのことだった。
毎度の如く「ゴーストバスター」の依頼かと思った。
オレの霊感を勝手に商売にし、依頼者からカネをぶん取っているオンナ。
…結局、全てオレが回収し、依頼者に返金しているが。
言うならば、「必殺仕事人」みたいなノリ。

とりあえず依頼が来た。
今度はどんな霊だ、と半ばうんざりしていた。
依頼のほとんどが、「霊障」などない。
単なる思い過ごしだ。
中には、てめぇで猫を殺し浴槽に死骸を放置しながら、「猫の霊に悩まされている」という依頼もあったが…。

「とりあえずヤバい話」
というのが、そのオンナからの電話だった。
「借金取りに追われているからどうにかしてくれ、とか、そういう話か?」
毎度の如く酔っていただけに、そう返した。
「オレに肩代わりしろ、とか? 慈善事業の何でも屋じゃないんだぞ、バカ野郎」
思わずそう返した。
「そうじゃない。ちょっとの間でいい。娘を預かってほしい。そういう依頼だ」
という話だった。
なんとなく、状況を察した。
案の定、「ガイジン」からの依頼だった。
この日本でも、戸籍のない人間は結構存在する。
かくいうオレも、ソレっぽかった。
なんとか努力し、「社会」のなかに溶け込み、今がある。
そうした境遇になるまでの経緯は複雑すぎて、酔っ払いには書けないが…。

とにかく、引き受けた。
親が住居を置く県に足を運び、役場を通し、とりあえず戸籍を造ってもらった。

結構簡単な手続き。
ニュースや何かからの情報から、「日本は、カネがかかることは受け付けない」みたいなイメージがあるようだが、この国の税金の使い方は「ザル」。

こうした、人命救助のために使うことを望む。