鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第四話

2019-10-11 06:11:08 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第四話


「自分の生い立ちですか。」
「……。」
10秒ほど間を開け、口を開いた。

自分は、クローンにより、この世に生をもたらした存在。
「新見少佐。イスカンダルはご存知ですよね!?」

「ええ。」

「自分は、そのイスカンダルの第一皇女"サーシア様のD.N.Aから造られたクローンです。」
「ただ、スターシャ陛下も第一皇女のサーシア様もご存知ではないもののと、思います。」
「言うなれば、存在してはならないのが、このガーランドです。」
「では何故、自分が今もこうして存在するか。」

それは・・・

さかのぼる事、約二年前__。


西暦2200年・初冬


この世に産声を上げたイスカンダルの女王スターシャの愛娘=サーシア。



特使を兼務する執務士のメルダ・ディッツは、陛下スターシャの代理としてサーシアの成長記録を毎日、付けていた。
そんなある日、何時ものようにサーシアの髪を櫛入れをしていた。
髪の毛の生え変わりの時期と重なったのだろう。
何本かの髪が抜け落ちた。
その内の一本だけを拾い、記録紙に置きショット撮影を済ませ、サーシアをカプセルベッドに寝かせ、ミルクを作る為、部屋をあとにした。
それと入れ替わるようにサーシアの誕生プレゼントを持参したデスラーは、もう一人の執務士ヒルデ・シュルツと共に一目サーシアを見ようとサーシアの眠る部屋を訪れた。
そして、メルダが仕舞い忘れた成長記録に目をやると隣に置いてあるサーシアの髪の毛を目にした。
デスラーは思う。
「果たしてサーシアは誰の子なのか」と。
デスラーは、その髪の毛を持ち帰り、D.N.Aを調べる傍ら侍女のD.N.Aを利用してクローン再生させた。

「そう。そして産まれたのが、自分だ。」
「これが生い立ち。」
「地球人とイスカンダル人の子が第一皇女のサーシア。」
「そのD.N.Aからクローン再生されたのがガミラス人の自分だ。」
「地球人でありイスカンダル人、そしてガミラス人の血が合わさったクローン人間。」

薫は複雑な気持ちだった__。

「で、どうして地球へ?」

「ああ。」
「漸く修復された月面大使館のバレル大使の片腕的存在の次期武官が決まるまで着任して、ガミラスに帰投するはずだったのだけど、丁度その頃からガトランティス人と鹵獲したカラクルム級の解析が始まった。」
「その事を総統に報告したら、大使経由で技術将校として残る事に成ったって訳さ。」



「なるほどね。」
「私はこれで失礼するわね。」
「約束は守るわ。明日からが楽しみね。」


◆◆◆◆


薫は思う。

「なるほどね。スターシャと守の子かぁ。」
「そりやぁ似るわね。」



「……なんか私も欲しくなっちゃったな。」
薫の顔が「ポッ」と朱く染まった。

でも、鹵獲したカラクルム級は何に使うつもりなんだろう?
私がサンプルとして預かったカラクルム級は確かに乗艦タイプだけど、彼女を乗艦させても・・・

「う~ん。」
「嫌よ。三人で宇宙の旅なんて。」

「こんな事なら明日なんて言わず、聞いておけば良かった……。」

「はぁ。」



薫はモヤモヤする気持ちを紛らわすかのように、デスクに向かい、モニターを開き、キーボードを「カタカタ」と打ちはじめた。
モニターに映し出されるカラクルム級。
「大尉(ガーランド)はサンプルも持っていないのにも関わらず、利用価値を見出だした。」
モニターを見ながらデータを見直し、思い付く限りを入力、想定される回答を一つ一つチェックした。

「あ~。もう~。」
「どれもこれも、パッとしないわ。」

「これじゃ、眠れなくなりそう。」
「最上階のバーラウンジにでも行くかぁ。」

この施設は研究室以外に研究員たちが泊まれるように個室やレストラン、最上階にはバーラウンジまである。
ちょっとしたホテルだ。
ガーランド大尉も個室が与えられている。
IDカードさえ有れば、飲食代はタダである。
連邦政府及び軍が全て支払う。





「ようこそ。バーラウンジへ。」
「ご注文をどうぞ。」
ウエイトレス型のアンドロイドが対応するスタイルのバーラウンジだ。
一人のお客に対し、一体のアンドロイドが専任で対応する。
薫はハイチェアに腰を下ろし、守が好んで呑んだフレンチコネクションと言う名のカクテルを注文した。

※VSOP(ブランド)45mlアマレット15ml

守は、このカクテルの名前の由来と成った20世紀の作品【フレンチコネクション】が好きで、この物語りに因んだカクテルがある事を知り、呑むように成ったのだ。



【フレンチ・コネクション】(The French Connection)は、1971年製作のアメリカ映画。
原作はロビン・ムーア (Robin Moore)による同名のノンフィクション小説。第44回アカデミー賞に8部門でノミネートされ、作品賞、 監督賞、 主演男優賞、 脚色賞、編集賞の5部門を受賞した。

監督ウィリアム・フリードキン
脚本アーネスト・タイディマン
原作ロビン・ムーア
製作フィリップ・ダントーニ
製作総指揮G・デイヴィッド・シャイン
出演者ジーン・ハックマン
音楽ドン・エリス
撮影オーウェン・ロイズマン
編集ジェリー・グリーンバーグ
配給20世紀フォックス
公開1971年10月7日(アメリカ)
上映時間104分製作国アメリカ合衆国言語英語、フランス語
製作費$1,800,000興行収入$51,700,000(当時)


あらすじ

ニューヨーク市警察本部薬物対策課で“ポパイ”とアダ名されるドイル刑事。
彼は薬物捜査のベテランだが、捜査のためならば強引な手法も厭わない。

麻薬の売人を逮捕したある夜、ドイルは相棒のルソーと共にナイトクラブ「コパカバーナ」に飲みに出かける。そこには有力マフィアの組長たちが妻同伴で来店していた。
その際、組長夫妻たちと共にテーブルを囲み、札びらを切っている若い夫婦がいた。
不審に思ったドイルとラソーは、その夫婦を捜査する。

夫婦は、表向きはブルックリンでデリカテッセンを営んでいるが、夫のサル・ボカは強盗事件などで何度か捜査対象になるなど、犯罪やマフィアに近いところにいた。
工員、郵便配達人などに偽変しながら夫婦を視察下に置くドイルとルソー。すると、夫のサル・ボカがニューヨークの麻薬取引の元締めで大物マフィア・ワインストックの舎弟であることが判明した。
また、サルは近いうちにフランスとのヘロインの大口取引を任されるという。

財務省麻薬取締部の捜査官たちと捜査を進めると、マルセイユの黒幕のアラン・シャルニエがニューヨークを訪れていることが判明する。
シャルニエを執拗に追及するドイル。シャルニエはこれ以上追及の手が迫ることを恐れ、殺し屋ニコリをドイルのもとへ差し向ける。


第五話へつづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第三話

2019-10-09 19:58:04 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第三話


「で、相談って?」半分ほど食べ終えたところで、新見の方から切り出した。
「ポカーン」と見とれているガーランド大尉。蒼い肌の色と金髪の毛の色を除いて、顔や話し方、それに声までも"あの人"にそっくりで、初めて逢った時は逆におどおどして、ろくな挨拶すら出来なかったほどである。
今は、薫の心に芽生えたものが積極的に自身を煽る。



「あっ!?はい。」
「それはランチが終わってからにしたいと思います。」
「少し、お時間頂けますか?」

「良いわ。」
「貴方(大尉)から訪ねて来るなんて思ってもいなかったから。」
「楽しみしてるわ。」

「ズズゥーッ」と再び新見は日本蕎麦をほお張った。

ガーランド大尉は相変わらず、栄養バランスの整えられたチューブゼリーを食していた。
夕食くらいはと、咀嚼する食を取る。
それ以外は決まってチューブゼリーだ。
二人はランチを終え、ガーランド大尉の研究室へと足を運んだ。
研究室に入るなり、新見は目を丸くした。
「えっ!!」
「……大尉。貴方、一体、何を研究(して)いるの?」

「何をって、見ての通りですよ。」
「ガトランティス人のクローンです。」

「それは、見れば解ります。」
「私が言いたいのその事じゃなくて、そのクローンで、彼女で何をやらかすつもりなの?」
新見は少しキツイ口調と声のトーンで質問した。

「ちょっとムクれた顔も可愛いね。」

「なっ!何を言ってるの?」
「話を誤魔化さないで!」

「アハハ。」
「これは失礼した。」

「本題に入ろう。」
そう言うとガーランドはガミラスの事から話をはじめた。

我が故郷(ふるさと)ガミラスは、あと100年の寿命だ。
現在、総統であるデスラー自らも新天地を探している。
「探さざる得なくなった。」

「探さざる得なかった?」

「そう。探さざる得なかった。」
ある程度は少佐も、ご存知だと思いますが、返り咲いた総統デスラーは、自身を支える臣民をも犠牲しようとしたが、ヤマトそう、「新見少佐。貴女方の思いもよらな行動でガミラス星と多くの臣民たちは、救われた。」
当の本人デスラー総統は失脚、行方不明と成った。
一年半前、ガトランティス戦役時、彼、デスラー総統は死を覚悟していたが、ガトランティスの長、大帝ズォーダーによって救われた。
そしてテレサと出逢い大帝ズォーダーが探し求めていたテレサを手中に納めようとした。
だが、納めたかに見えた矢先、テレサを失い、大帝ズォーダーとの交渉は直ぐに出来る状況ではなくなった。
しかし、当時のズォーダーも世代交代の時期に入っていた。
自身の後継者"ミル"と言う青年が、総統デスラーの交渉相手と成り、交渉は成立した。
「これで第二のガミラス星と成る可能性の高い惑星(ほし)の情報を入手出来ると確信した時……。」皮肉な事に我が同胞の総統救出の逸る気持ちから、交渉人である"ミル"を射殺、交渉は出来ず仕舞いに終わりを告げた。




新見はガーランド大尉から目を反らす事無く黙って聞いていた。
ガーランド大尉の話は、まだ続いた。

「頭の良い薫なら、いや失礼、呼び捨てにしてしまった。」
「察しはつくだろう!?」

「ガーランド大尉。謝らなくてもいいわ。」

「話を続けます。」




そして、そのミルの亡骸を古代はヤマトへと運んだ。
これは、産みの親ではないものの育ての親、当時、桂木透子としてヤマトに乗り込んでいたガトランティスのスパイにして、ガトランティスのNO.2の存在である"シファル・サーベラー"にミルの亡骸と対面させ、大帝ズォーダーを止める力を借りるために。

「このシファル・サーベラーは、もう一人存在した。」
「白銀の巫女と言う異名を持ち、大帝ズォーダーに助言出来た一人。」

そして、「最早これまでと言わんばかりに大帝ズォーダーは自らを"滅びの方舟"の中核と成り、全宇宙の知的生命体の根絶へと歩みはじめたのだ。」





何故なら、自分の側近としてクローニングしたこのもう一人のシファル・サーベラーの抑制された記憶が、全て解放され、本来の姿を取り戻し、大帝ズォーダー亡きあと、ガトランティスの民を纏め"新生ガトランティス"とし導こうと志したからだ。

「この時、真の目覚め覚醒したシファル・サーベラーは感応波を持ち要り、こう告げた。」

「ガトランティスの民よ。わたくしが導くと。」
「その感応波を最後に大帝ズォーダーの道連れにされたのだ!」

今も尚、高次元で彷徨うシファル・サーベラーの魂(想い)。

「このサーベラーの想いを成し遂げる為、そうする事で、得られるはずだった新生ガミラスと成り得る惑星を教わる事が可能。」
「それには今、クローンで再生復活した彼女が必要なのだ。」
「彼女なら想いを胸に彷徨うシファル・サーベラーと交信出来る!と自分は信じている。」



「なるほどね。」
「面白そうな話ね。」
「それで、私は何を大尉、貴方に協力したらよいのかしら?」

「鹵獲した手付かずのカラクルム級を譲渡して頂きたい。」

「益々、面白そうな話ね。」
「でも一つ、条件が有るわ。」

「条件?」

「そうよ。リスクを背負うのですらね。」

「良いだろう。で、条件とは?」

「大尉。貴方の生い立ちを教えて下さいな。」


第四話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第二話

2019-10-08 10:44:20 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第二話

翌日、ガーランドは自分専用の研究室を覗いた。
再生されたガトランティスの女性士官は、全く反応を示さない。

「やはりな。」
「あと9日、待つしかなさそうだな。」
結果を分かっていたガーランドは、直ぐに部屋を出た。
「さて、どうしたものか。」と思いながら長い廊下を歩く。
30メートルくらい歩いたところで、「ふと。」頭に浮かぶものがあった。
"アレ"の見学にで行くか。と鹵獲したガイゼンカン兵器・カラクルム級戦艦の解析を見学に行く事にした。

どうやらカラクルム級には、二パターンが存在する事が分かった。
乗艦出来るタイプとそのまま兵器として活用出来るタイプの二種だ。
元々は、後者の兵器なのだが、この兵器を動かすには"感応波"が必要となる。
この感応波はガトランティス人には必要不可欠の能力である事も合わせてわかった事だ。

我々は便宜上"兵器"と呼んでいるが、正しくは生物である。
地球上に生息する生物と基本的には変わらない。
体内で毒素を作り出す生物と変わらない。
元々、このカラクルムにも毒素を作り出す機能がある。
"雷撃旋回砲"と呼んでいる兵装が、これにあたる。
主成分などはまだ解析中で解らない。
他の兵装に関しては、ガトランティスがあとから装備させたもの。


生まれる直前に皮膚と言うか殻(甲羅)が生成される前に移植=装着される。
同時に脳をコントロール出来るように制御チップを埋め込み感応波で操る。
そして、成虫の中身を融解し、人が動かせるように機械化したものが乗艦用としたのだ。
だから彼等ガトランティスは何百、何千いや、何万という程のカラクルムを捨て駒に出来たのだ。
例え、それが高官が乗艦していたとしても、考えは同じだ。
クローニングで代を重ねているのだから。

【ガイゼンカン兵器群カラクルム級戦艦】

全長
520m

武装
雷撃旋回砲
八連装輪胴砲塔×3基
八連装大型輪胴砲塔×2基
艦橋三連装砲塔×3基


「これはこれは、新見女史。」
「此方で解析、研究ですか。」

「あっ!?ガーランド大尉。」
ガーランドは新見が落とした書類を拾い手渡した。

「ほう。これは面白いものを見させて頂いた。」
「大丈夫。口外はしません。」

「あっ、いえ、ありがとう大尉。」
「それとは別に女史と付けるのはやめて下さい。」
そう言うと新見は「ペコリ」と軽く会釈をし、その場を早足で去って行った。

「無人艦隊構想」か。
カラクルム級をヒントに地球連邦防衛軍は、どうやら無人艦隊を構想しているようだ。
無理も無い。
我々と死闘を繰り広げ、人口が増える暇も無くガトランティスとの戦いだ。
優秀な士官をはじめ、兵員も皆、亡くなられたのだから。

「まぁ。今日は退屈だったが収穫はあったな。」
ガーランドは再び長い廊下を戻り、自室で、あるプランを練りはじめた。

「鹵獲したカラクルム級を一隻、どうにか此方に回して貰えないものか。」と思いながらプランを練っていた。

ガトランティス女性士官と接触が出来ない日々が続く中、八日が過ぎさった。
そして九日目、プランを一応は纏めたガーランドは、そろそろ昼食でもと局内のレストランへと足を運んだ。
そこで再び新見薫に出逢いプラン遂行の為、新見に同席を求めた。

「新見少佐。ランチを同席してもよろしいですか?」
「ちょっと相談がありまして。」

「相談?」
「仕事が絡んだ相談はランチの後にしてくだされば、同席、よろしくってよ。」

ガーランドは「それじゃ遠慮無く。」と同席した。
新見は、この時代には珍しい日本蕎麦をまるで少女のように目を蘭々と輝かせ、黙々と「ズズゥーッ。」旨そうに食べた。
そんな意外にも可愛い仕草にガーランドは暫く「ポカーン。」と見とれていた。


第三話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

2019-10-08 10:42:34 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第一話


西暦2204年・初秋


あの壮大な力と力のぶつかり合いガトランティスとの戦いから半年、地球上空や月軌道上に漂う10.000隻以上ものガトランティス・ガイゼンカン兵器群カラクルム級戦艦。
その九割以上は無人化された艦(ふね)。
艦(ふね)自体がサイボーグのような兵器だった__。

その中で指揮官と思われるガトランティス兵が乗艦している艦(ふね)だけを、回収した。
10.000隻以上もの艦(ふね)を処分しながら、僅かな数人と数隻の回収作業は、半年の時間を必要とした__。

地球連邦科学局は回収された艦(ふね)の解析と指揮官と思われるガトランティス人の解析に分かれ、行われていた。
以前のように生きているガトランティス人とは違い、自爆する事はなかった。
宇宙という冷凍室が、死したガトランティス人の遺体を腐らせる事無く、保存するには最適であった。
最高の保存状態で地球に持ち帰り、解剖、解析を行う事が出来た。

だが、この事が"白銀の残影"と名付けられた事件を引き起こす"引き金"と成った__。


時を同じくして、奇跡と言える事態が発生した。

あのヤマトが、宇宙戦艦ヤマトが帰還したのだ。
そして、"打出の小槌"と言われた時間断層は、宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった__。



その為、その核の周りだけは特異点化して今も尚、不思議な異空間が健在していた__。
ただ、時間断層のように超時空間的な空間ではなく、時間の流れは、この地球の時間の流れと同じであった。
違いは、その核(コア)の周りだけ、例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)のある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
手を伸ばせば届く距離にそれは存在する。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
縦に長い超巨大な円柱空間である。

今現在、その核(コア)に触れた者はいない__。


◆◆◆◆


「これで、ガミラスは救う事が出来る。」
地球連邦科学局の一室で、呟くように口を開くガミラス青年技術将校。
「あとは、このガトランティスクローンを短期間で成長させ、記憶を喋らせるだけだ。」
「これで、ガミラスは救われる。」

「クックックッ。」

古代や真田、地球連邦政府及び科学局そして、ガミラス大使をはじめとするガミラスからの支援者たちの知らない場所で、密かに行われていたガトランティス人の再生。
ガミラス青年技術将校は、そんな彼等から信頼も厚く、大使であるローレン・バレルからの太鼓判という事もあり、科学局内ではあるが、別室での単独でのガトランティス人解析を許可されていた。

48時間後、強化促進剤を投与されたガトランティスの士官のクローン細胞は、成人の身体へと成長した。身体は成人だが、脳を除き、体力等はまだ、幼児並だ。
とは言え、あと10日もすれば、生前と変わらぬ程に回復する。

ガミラス青年技術将校は、そのガトランティス女性士官から記憶を聞き出していた。

「誇り高きガトランティスの士官よ。」
「ゆっくり、休めましたかな?」
球体状の生態保存用カプセルに生まれたままの姿で、強化促進剤を投与されるガトランティスの女士官。

一瞬、朱く光る瞳は直ぐに元の瞳に戻った。

「うぐっ。」と発した。

鋭く青年技術将校を睨む女性士官。

「貴様。わたしに何をした?」
「我れはガトランティスの兵は貴様ごときに屈しない!」

「流石はガトランティスの士官。」
「自分はガミラス技術将校。ガーランド・ルドルフ。」
「誇り高きガトランティスの士官よ。貴女ならこの状況、察しがつくのでは?」

ガーランドを睨み続ける女性士官は一度、ガーランドから眼を反らし、辺りを見回した。
そして、再びガーランドを見めた。

「……私は虜囚か?いや、違うな。」
「虜囚であるが、一度、死んでいる。」
「そうであろう!?」

「ガトランティスでは代々、クローニングにより、引き継がれて来たからな。」
「私は先代からの記憶を持つ新たな私。」

「ご名答。」

「そして、自爆出来ぬよう遺伝子を操作した?」
右に少し、口角を上げた女性士官。

真正面に立つガーランドが再び話はじめる。
「早速だが、あまり時間が無いので、本題に入る。」
「貴女方の長であるズォーダーは名誉の戦死を成し遂げられた。」
「我々、ガミラスとの約束を果たせぬ前に。」
「だが、大帝であるズォーダーより、権力を持つ者が居たはず。」
「その者の居場所を知りたい。」

「……サーベラー様の事か?」

ガーランドは無言で「コクリ。」と頷いた。



「確かにサーベラー様は白銀の巫女と呼ばれ、大帝に助言出来たお方。」

「フッハッハッハッ。」
突然に笑いだす女性士官。

「記憶が、よみがえたよ。ガミラスの将校。」
「残念だが、オリジナルのサーベラー様は、もうこの世には存在しない。」
「二代目様も地球へと赴き、行方はわからん。大帝しか知らない。」

「我々、ガトランティスは造られた命。大帝、自らが死のボタン=ゴレムを押し、我らガトランティスの歴史に終止符を打たれた。」
「残念だが、ガミラスの将校よ。貴様の期待には応えられない。」




「そうですか。しかし、我々も情報として、地球に赴いたサーベラーから得ているのだけどね。」
「確か、もう一人サーベラーを名乗る者がいるはず!」
ガミラス技術将校は、少し強めに言った。

「……そこまで知っていても尚更、我に聞くのか?」
ガーランドはその問に女性士官を見つめるだけで答えなかった。



「まぁ。いいだろう。」
「教えてやろう。」
「貴様の言う通り、確かにもう一人、サーベラー様は存在する。」
「だが、真の目覚めと同時に大帝ズォーダーにより、道連れにされた……。」
「我らガトランティスにとっても大きな損失!」

「……我らガトランティスの民を導く力は姿亡き今も、お有りのようだが。」

「お有りとは?」

「貴様は感応波を感じないのか?」

「残念ながら我々、ガミラス人には感じ取れない。」

再び右の口角を上げた女性士官。

「ガミラスの将校よ。一つ条件を出す。」
「それと引き換えだ。サーベラー様の居場所は。」

「……よかろう。」
少し間を開け、ガーランドは返答した。

「ならば、我が貴様と対等と成った時に教えよ。」
その言葉を残し、ガトランティス女性士官は瞳を閉じ、眠りについた。

「今日のところはここまでと言う事か。」

ガーランドは部屋の灯りを消し、その場を後にした__。


第二話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

仮 宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー白銀の残影ー予告。

2019-10-06 15:05:57 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝




時間断層は宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった__。

その為、その核の周りだけは特異点化して今も尚、不思議な異空間が健在していた。
ただ、時間断層のように超時空間的な空間ではなく、時間の流れは、この地球の時間の流れと同じである。
違いは、その核(コア)の周りだけ例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)ある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
超巨大な円柱空間である。


近日、公開(^^ゞ