鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第八番浮遊大陸戦線ー第一話

2019-10-31 19:28:00 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝





宇宙戦艦ヤマト2202外伝
ー第八番浮遊大陸戦線ー

第一話

西暦2201年末冬、国連宇宙海軍の最新鋭戦艦ヤマト級改良型試作一番艦「紀伊」は広範囲な試験を終え、処女航海である第八番浮遊大陸奪還作戦に出撃する準備が整っていた。
紀伊は、これも初の任務となる量産型戦艦ドレッド・ノート級を伴っていた。
ガミラス戦役にて、地球国連軍は陸・海・空・宇宙と優秀な軍属人員を失ってしまった事も有り、「無人化計画」を立案、これを可決した。

当時の空間防衛総隊司令長官=土方竜を
外洋防衛師団司令官艦隊司令官へ任命、この「無人艦隊」の艦隊司令を兼任させた。
宇宙戦艦ヤマトの改良型「紀伊」を座乗艦即ち、艦隊戦略・戦闘指揮コントロール艦=旗艦とし、先行初期ロットにて製造されたドレッド・ノート級36隻を伴わせた。

第一次無人艦隊の創設である。
「太陽系無人艦隊第一群旗艦 戦略・戦闘指揮艦紀伊」。
地球艦初の速射型波動砲搭載艦である。
当時はまだ、"拡散波動砲"は完成しておらず、ヤマト型波動砲の改良型を搭載していた。
改良型の波動砲とは、一度のエネルギーチャージで二連射(速射)を可能にした波動砲である。
単純に二倍の威力と着弾ポイントを二ヶ所に出来るように開発されたものだ。
開発当初は"二連タイプデリンジャー銃"のように砲口を縦に連装する案で、進められていたが、波動砲発射システム機及びそれに伴う冷却装置などの補助機の増設で、洋上艦艇に換算して総排水量100.000トンを超えるクラスの造船が可能なドックが無かった事で、設計を見直す事と成った。
後に、このデリンジャー銃がヒントに成り、クレー射撃に等に使われる散弾するタイプの波動砲="拡散波動砲"の開発に繋がる。
そこで新見薫が立案したカートリッジ式を採用した。
波動砲用波動エネルギーを薬莢にチャージするというものである。
これにより、今までのように"充填"時間を省く事が可能と成り、連射が可能と成った。
しかし、砲口が焼ける即ち、砲身焼け現象、砲身過熱が発生するデメリットもある。
この事から二発の連射までとした。
旗艦紀伊同様に先行量産型ドレッド・ノート級も同じ発射システムである。

時は流れ2202年初春。

宇宙戦艦ヤマトが帰還して約三年が過ぎ、ヤマトの帰還と同時に、この地球に現れた超空間="時間断層"の調査はほぼ終わり、この空間では通常の十倍の速さで時を刻んでいる事が解った。
その空間に超巨大なファクトリー=時間断層工場"を建設、同盟を結んだガミラスからの資源提供等も有り、地球は飛躍的な生産能力を得たのである。
そう。洋上艦艇に換算して総排水量100.000トン以上の艦(ふね)の建造が可能と成ったのだ。


「砲身過熱」
金属は高温になると強度が低下する性質があり、融点の半分程度の温度から大幅な強度低下が起きる。
このため砲身が真っ赤になるほどに過熱している状態で発射すると砲身が火薬の圧力に耐えきれなくなって破裂する。
これは古くから経験則として知られており、例えば大口径砲では30発を連続発射すると尾栓部の温度が100℃を超えるという。
そこで運用上で連続射撃を制限したり、砲身に冷却装置を設けたりしてきた。
また砲身に常に水を掛けて冷却する、連続発射のあとで弾丸を装填したまま一定時間放置する場合も危険性が高まるので砲口を空に向けて事故の被害減少に務める、装薬を減らして射撃するなどの注意が払われた。
またアメリカ海軍では前もって焼けた砲に装填のまま放置して発火するまでの時間を測定し、「クック・オフ・タイム」として安全確保の目安としていた。




「土方提督。どんな策でも構わん!」
「なんとしても、あの八つに割れた浮遊大陸を奪還せよ!」
眉間にシワを寄せ、寝不足のような充血した目を細め、芹沢軍務局長は命じた。

「最善を尽くします。」
土方はそう答えると、座乗艦紀伊のエンジンに火を入れさせた。


第二話へ
つづく。





【地球連邦防衛宇宙軍:太陽系無人艦隊第一群旗艦 戦略・戦闘指揮艦紀伊。】
※試作戦略・戦闘指揮初号艦

艦種:超ヤマト型宇宙戦艦

識別番号:BBYα-01

全長:360.00m

艦体幅:43.60m

最大幅:61.77m(安定翼展開時:87.72m)

艦体高:94.54m

最大高:120.00m

最大速力:亜光速

乗員:99名

主機関:改・ロ号艦本イ400式次元波動缶(通称:波動エンジン)×1基

副機関:艦本式コスモタービン改×8基・2軸(核融合推進方式)

兵装
改・次元波動爆縮圧縮薬莢式放射機(200糎口径、通称:波動砲)×1門
※二連射が可能

主砲48糎三連装陽電子衝撃砲塔×6基
(艦首部×2基 艦尾部×2基 艦底部無人艦隊管制艦橋両舷各1基)

副砲:20糎三連装陽電子衝撃砲塔×2基

空間魚雷発射管×12門(艦首および艦尾両舷)

八連装ミサイル発射塔×1基(煙突部)

ミサイル発射管×8門(艦底)

94式爆雷投射機(マスト付け根)

12.7糎四連装高角陽電子速射砲塔×8基

8.8糎三連装高角陽電子速射砲塔×4基

12.7糎連装高角陽電子速射砲塔×8基

7.5糎連装高角陽電子速射砲塔×10基

7.5糎三連装陽電子速射機関砲塔×4基

司令塔近接防御火器×2基

艦載機
艦載艇
艦載車両
零式52型空間艦上戦闘機 コスモゼロ×32機(+予備機4機)
空間汎用輸送機SC97 コスモシーガル×2機
100式空間偵察機×2機
キ8型試作宙艇×1機
90式内火艇×2隻
作業用装載艇×6隻

特殊装備
波動防壁(次元波動振幅防御壁)

亜空間ソナー


※現在、架空宇宙戦艦ヤマトメカ戦略・戦闘指揮艦 紀伊を1/1000宇宙戦艦ヤマト2199ver.をベースに製作中。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また設定資料から引用。拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第八話

2019-10-17 22:25:21 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第八話(最終話)


地球連邦防御軍の追撃を振り切り、ストレイガー都督の操るカラクルム級は、小笠原海峡へダイブ、深く深くと潜る。

カラクルム級がダイブすると同時に砲撃を中止させた真田は、ソナーの代わりに空間レーダーで捉えられるだげ、捉えようと試みた。

「どうだ?カラクルム級を捉えられそうか?」

「……ハイ。何とか深度600メートルまでは、捉えましたが、どうやら更に沈降したもよう。」
「圧壊までは確認出来ませんでしたが、このまま沈降すれば、おそらく深度800~1.000メートル辺りで圧壊でしょう。」

「……うむ。」
「レーダー士。無理を言って済まなかったな。」
「警戒を厳とせよ。」
「急浮上しないとは言い切れんからな。」

「了解。」

真田は指示を飛ばすと、通信士に新見の研究、解析室へホットラインを繋ぐよう命じた。

「大佐。駄目です。」

「駄目?」

「ハイ。幾らコールしても繋がりません。」

「……分かった。切ってよし。」

膠着状態が続き、一時間が過ぎた__。

「浮上した様子も伺えない……。」
真田は顎の下に軽く握った拳をあてがった。
ただ単に、一時的に何かの拍子に回路的なものが繋がり、暴走したのか?
研究、解析中、誤って暴走させてしまったのか?
どちらにしても、暴走した事には代わりはない。

深海をゆくカラクルム級。
一時間で約半分の4.500メートルをダイブした。
残り一時間強で目標の海底だ。
あの世とこの世の境目、高次元と呼ばれる特異点空間。
目標の核(コア)が、その入りであり、出口だ。
今回のミッションで消え去ってしまうかも知れない。
このまま、存在し続けて欲しい気持ちと、消滅して欲しい気持ちが、交互にガーランド大尉の頭の中を駆け巡る。

「ストレイガーだ!聴こえるかガーランド大尉!」
「今、着底した!」
若干のノイズは入るものの、概ね感度は良好だ。

「聴こえる!聴こえるぞ!ストレイガー都督!」

「宇宙より真っ暗な場所に感じるぞ!」
「ただ一部を除いてな。」
「こんなちっぽけな場所だったのか?高次元とやらは。」
「だが、サーベラー様の彷徨う感応波は、かなり増大しているようだ!」
「我れの感応波に共鳴しているのだろう!」

顎の下に軽く握った拳をあてがっいた真田は、月軌道上に人工的に運び込まれ、改造された小惑星基地イカルスに、緊急回線を繋ぐよう、通信士に指示を飛ばした。

「大佐。イカルスの桐生中尉と回線、繋がります。」

「うむ。」

「此方、洋上にて試験航海中の真田だ。」
「桐生中尉。アレを使う。」
「発射体制に入ってくれ!」

「真田大佐。アレはまだ試射もまだ行われていませんが。」

「分かっている。」
「緊急時なのだ。試射を兼ねて今、発射しなければならない事態なのだ。」

「ハッ ハイ!分かりました!」
「サジタリウス起動します!」

「うむ。桐生中尉。今から座標を送る。」
「1mmたりとも間違えるな。」

「……真田大佐!座標までの射程距離が足りません!」

「大丈夫だ!!桐生中尉、サジタリウスのリミッターを解除するんだ!」
「解除すれば、最大射程内に余裕で収まる!」

「ハッ。ハイ!」
笑顔を浮かべ桐生は返事を返した。

「超量子粒子レーザー"サジタリウスの矢"を起動します。」
「超量子粒子チャージ開始!」

小惑星基地イカルスに造られた防御用レーザー砲。
最大射程400.000キロメートルのロングレンジ攻撃が可能な防御兵器である。
只し、連射は可能なのだが、速射が出来ない。
レーザーエネルギーをチャージしなければならない。
その為、桐生は真田の指揮の下、チャージ時間を短縮する為の開発中である。
現在、開発、試験中の為、最大射程をリミッターにより300.000キロメートルに絞っている。
これでは月軌道上に存在する小惑星イカルス基地から、小笠原海峡に潜るカラクルム級までは、およそ384,410 キロメートルである事から射程距離が足らないのだ。
その為、破損する可能があるが、真田はリミッターを解除させたのである。

「超量子粒子レーザーエネルギー、チャージ完了!」
「サジタリウス送射ッ!!」

小惑星イカルス基地から真一文字に蛍光ピンクに輝く、超量子粒子レーザーが小笠原海峡の海底、コスモリバースの核(コア)を目掛け、突き進む。

だが、真田の指定した座標では、阻止する事が出来なかった__。
真田の送った座標は正解なのだが、海流、即ち"潮"の流れを計算に入れ忘れた真田の焦りが、誤差を生じさせてしまったのだ。
僅かに屈折され、着弾してしまったのだ。

「ん!?」
「直撃はしなかったが、この海溝の底まで攻撃出来るとは。」
「近くに敵を感じない。」
「では、何処から?」
ストレイガーは感応波を張り巡らせる。



「ん!?」
「あら、お空の上かぁ。」

「ガーランド大尉。今、お空の上から攻撃されたよ。」
「急いだ方がいい。」
「砲撃の修正がされる前に。」

「砲撃は確かか?」

「確かよ。」
「外れたけどね。」

「分かった。あと四分待て。」



「ストレイガー都督。始める。」
「あの光点目掛け、感応波を。」

ストレイガーの送り出す感応波と物質転送波が混ざり合う。
二つの異なるエネルギーがガーランド大尉と新見少佐を包み込む。





「この次元に自らの意識で来る人間がまだ、いたのですね。」
高次元と言われる空間にその姿は現れた。

ガーランドと薫は高次元に転送された。

ガーランドは辺りを見回した。

薫は辺りを見回した。
二人は同じ場所に転送されたはずだった。
だが、薫とガーランドは別々の場所に転送された。
転送された感覚と言った方が、正解なのだが、薫もガーランドも、どちらも互いを確認出来ていないのだ。

「ガーランドと仰いましたね。」
「あなた方を視させて頂きました。」

「何かを得るには、何かを失うリスクもあるのですよ。」
「ガーランド大尉にその覚悟が、お有りですか?」

「ガトランティスという人種が誕生するならば、自分が、そのリスクを背負ってゆく。」

「それで良いのですね?」
「後悔「あともどり」は出来ませんよ。」



ガーランド大尉は覚悟を決めた__。

このテレサの波動が感じる事の出来る次元に、ガーランドは残る事を決めたのだ。
これがテレサから出された条件であった。

「薫。俺たちの子を頼んだぞ。」
「ストレイガー都督。約束は果たした。」
「君は純粋なガトランティスの人間として、これからは歩み出す。」
「そして、デスラー総統が君の善き理解者と成るだろう。」

イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199ー星巡る方舟ーより。




◆◆◆◆







「これは私からのささやかな、プレゼントだ。」
「白銀の貴女に合わせて造らせた艦(ふね)だ。」
「それと、貴女のガトランティスの技術を応用して造らせた正当なる護衛艦も二隻だが、お供させましょう。」
「貴女を含め、ガトランティスには恩があるのでね。」
「それに貴女は、これから一国一城の主に成られるお方だ。」
「我々、ガミラスは何時でも力をお貸ししますよ。」

「デスラー総統。感謝いたしますと、言いたいのだけど、何故?と疑問が先行してしまう。」

「流石はガトランティスの女王と成られるお方だけの事はある。」
「ならば、こうしよう。」
「我が、新生ガミラスと同じく新生ガトランティスの門出、共に種の繁栄の為の門出。」
「そう。我々の新たな門出のプレゼントだと思って貰いたい。」



「そこまで貴方が仰るのなら。」



「新生ガトランティス。前進!」
その姿はストレイガーではなく、生前のシファル・サーベラーそのものだった__。


◆◆◆◆


金色の輝きを纏うガーランド・ルドルフ。
ガーランドは思う。
"白銀の残影"と名付けられ、事件を引き起こす"引き金"と成ったが、偶発な事が幾つも重なり、事故として処理された事を__。

あのヤマトが、宇宙戦艦ヤマトが帰還し、"打出の小槌"と言われた時間断層は、宇宙戦艦ヤマトの帰還と引き換えに消滅した__。

確かに消滅した。

だが、時間断層工場の中核とも言えるコスモリバースシステムの"核"だけは、消滅していなかった事を__。

その核(コア)の周りだけ、例えるなら透明な円柱に包まれている感じの空間だ。
元々は海溝だった場所に、あの時間断層が形成された。
本来の深海に戻る事も無く、核(コア)のある半径50Cm直径100Cmの円柱だ。
手を伸ばせば届く距離にそれは存在する。
海面から海底まで約9.780mにもなる。
縦に長い超巨大な円柱空間である。

今現在、その核(コア)に触れた者はいないと__。

「俺は、パンドラの匣を開けてしまったのかも知れんな。」


~fin~





◆◆◆◆



【ガミラス・デスラー専用座乗艦:戦闘空母(改)】
※新生ガトランティス・サーベラー座乗艦:ガトランティア
(デスラー座乗艦と同型で基本、同性能だが、改良点として感応波対応である。)

全長:540m
全幅:64m
自重:126.000t

武装

三連装陽電子衝撃砲塔×4基(ブリッジ前部2基、後部2基)

連装無砲身陽電子ビーム砲塔×4基

三連装陽電子ビーム砲塔×14基

八連装輪胴速射砲塔×4基

6連装ミサイル発射管×2基(12門)

量子機雷発射口×12門

亜空間魚雷発射管×12門(艦首×6門、艦尾×6門)

物質転送波システム機×2基(機)

分離式デスラー砲×1門(デスラー砲艦×1艦)
※超波動粒子収束直撃砲=ガトランティス式波動砲(波動砲艦)

脱出用トップ・ブリッジ×1艇
※四連装ビームバルカン×2基

搭載数
※機体により異なる。
:48機(ツヴァルケ)
:42機(甲殻攻撃機デスバテーターⅡ)

甲殻攻撃機デスバテーターⅡ(改良機)

全長:16.2m

搭乗員:3名→1名

武装

速射輪胴銃座×1基

前方機関銃×8門

空対空ミサイル×6基(発)

対艦用大型ミサイル×1基(発)



【分離式デスラー砲=デスラー砲艦】※波動砲艦

全長:250m

武装

デスラー砲(波動砲)×1門

亜空間魚雷発射管×6門

小型八連装輪胴速射砲×6基



【ラスコー級 雷撃型巡洋艦】

全長:240m

武装

大型八連装速射輪胴砲塔×6基

小型八連装速射輪胴砲塔×6基

艦首大型対艦空間魚雷×2本(発)

八連装速射対空輪胴砲×6基

ミサイルランチャー×8基

量子魚雷発射管×2門


◆◆◆◆


あとがき

2202版ヤマトで"人間"としてではなく物として扱われた感が、私の中では堪らなく嫌だった。 せめて二人のサーベラーは生き残って欲しかった。 そんな思いから、この物語りを書きました。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第七話

2019-10-14 14:09:13 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第七話


地球軌道上の防御衛星群を突破された連邦防御軍は、直ぐに迎撃が可能な艦艇を模索した。

「エンジンに火が入っている艦(ふね)は無いのか?」
「落下するカラクルム級の落下予測地点は?」
拳でデスクを叩きながら芹沢は、オペレーターたちに問た。

ヤマトや銀河は改修やメンテナンスの為、ドック入り他、アンドロメダ級やドレッド・ノート級は早くてエンジン始動まで2時間は掛かる。
だが、全く希望が無かった訳では無かった。
太平洋洋上硫黄島沖で開発途中でテスト中の最新鋭強襲揚陸艦:開発コードLHAー111が開発テストを行っていた。

「軍務局長!一隻、一隻だけ有ります!」
「ただ、開発途中でテスト航海中ですが!」

「……テスト航海中か。」

「うぐぐっ。」
歯ぎしりを鳴らしながら芹沢は命じた。

「誰が指揮を取っている!」

「ハッ。真田技術大佐です。」

「構わん!その開発テスト航海中の強襲揚陸艦をカラクルム級迎撃に回せ!」
「で、落下予測しては、どうなった?」

「ハイ!」
「落下予測地点は、小笠原近海です!」

「小笠原近海!?」
「まさか!!」
「時間断層跡地か!?」

だが、あそこは直径1メートル程の円柱の空間。
海面から手を伸ばせば、その空間に手を入れる事も可能な空間なのだが、誰一人として、空間内に手を入れられた者は居ない。
手だけではない。
物でも同様だ。
自然に降る雨ですら、結界が張られているように弾かれてしまうのだ。

「とにかく落下予測地点にテスト艦を急行させろ!」
「迎撃させるんだ!」

最新鋭強襲揚陸艦=開発テスト艦。
それは正規空母程の艦載能力は無いものの、機動力は正規空母より勝る。
艦型は、例えるなら艦首は"いそかぜ型"に似ている。全通甲板が有り、艦尾寄りにブリッジが建つ。
そのブリッジの真下はトンネル状で飛行甲板が通る。
艦体後部両脇にエンジンが有る。
エンジンの大きさは、いそかぜクラスだ。
メインウエポンとして、単身の速射波動カートリッジ砲がブリッジを挟んで前部に二基、後部に一基の三基。
サブウエポンとして、現段階ではエンジン上に四連装パルスレーサー砲塔が二基づつ四基、装備(マウント)されている。
他はまだ、装備されていない。
全長は280mあとは不明だ。

大気熱摩擦で真っ赤に染まったカラクルム級だが、熱が冷めるにつれ、本来のグレー掛かったブルーの艦体カラーに戻って行った。
あと10分もしない内に海面に到達する。

都市部への落下が無いと解ると、芹沢は間髪入れずに、地上からコスモタイガー隊をスクランブルさせた。

イメージ曲宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちーより。



どうやらスクランブルして来たのは、宇宙戦艦ヤマトに配属される隊のようだ。
垂直尾翼に"Yamato"の文字が分かる。
ヤマト自体が動けなくとも、少しでも練度の高いパイロットを当たらせようと、軍部も必死なのだろう。





一方、ガーランド大尉の研究室では、物質転送システムの準備を整えた薫たちが、ストレイガー都督や地球軍の動向をモニター越しに観ていた。

「大尉!アレを観て!」
「地球は航空隊をスクランブルさせたわ!」
「しかも、今の地球軍では精鋭と呼ぶに相応しい、ヤマトの配属機よ!」
「ヤマトが映っていない事から、やはりヤマトはまだ改修が終わってないと推測出来るわ!」
「でも、油断は禁物ね。」
「以前も、改修中に開発中の試作波動カートリッジ弾を一斉射撃したし。」

「薫。心配は要らない。」
「想定内だ。」
ガーランド大尉の新見に対する態度が、明らかに変わっていた。
苗字で呼ぶでもなく、階級で呼ぶでもない名前でしかも呼び捨てたのだ。
新見も嫌な顔を覗かせてはいなかった。
カラクルム級を離脱して24時間の間に、一気にお互いの距離が縮んだのだろう。

「ストレイガー都督なら必ず振り切るよ。」
「彼女には俺たち同様に信念が有る!」





「目標を捉えた!アルファは自分に、ブラボーは山本につづけ!」

「ラジャー!!」



「五月蝿い奴らのお出ましか!?」
「うふふ。」
「纏めてあの世へのチケットをやるよ!!」
ストレイガーは感応波を集中させた。
カラクルムの艦首部に、蛍光グリーンの光弾の環が形成されてゆく。

だが、思ってもいない方向からカラクルムは直撃弾を喰らう。
大きく揺れるカラクルム。

「なっ!何?」
「直撃だと!」
ストレイガーは眼を上下左右、斜めと視線を飛ばした。
5時の方向40キロメートル沖合いに、小さく艦影を捉えた。
ストレイガーの記憶(データー)にはない艦影だ。

「あんなところに隠れていたか。」

二発、三発と立て続けに光弾が飛来する。
右に左にと避けるストレイガーだが、避ける方向からは、コスモタイガー隊の攻撃が間髪入れずに襲い掛かる。

「ガガガガガーーーッ!!」と連なる弾痕が巨大な艦体に幾つも現れた。

「チッ!」
「堕ちろっ!」
ストレイガーの操る雷撃旋回砲の環が右に左にと縦横無尽に飛び回る。

「四番機、七番機、八番機と追撃(やられた)!」
1番機のインカムに飛び込む追撃の報告。
下唇を噛み締めるコスモタイガー隊隊長。

「ストレイガー都督!聴こえるか?」
「雑魚に構うな!」
「ダイブに集中せよ!」
「君の願いを叶えられなくなるぞ!」

獲物を狩る事で忘れかけていた任務を思い出すストレイガーは、その言葉に冷静さを取り戻し、攻撃ではなく雷撃旋回砲を盾の代わりにし、防御しながら小笠原海峡へダイブした。

「撃ち方やめーーーッ!!」
「砲撃中止!」
「現時点をもって当作戦を一時、中断する。」
テスト航海に動向した真田大佐が指示を飛ばした。
「あのカラクルム級は直接、新見君が管理しているもの。」
「変な勘ぐりは、したくはないが……。」
心に思う真田であった。


第八話(最終話)へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第六話

2019-10-13 14:49:53 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第六話


ー地球軌道上・連邦科学局管理エリアー


「さあ。着いたわ。」
「ストレイガー都督。私が入管手続きを済ませる間、何もしちゃダメよ。」

「分かっている。」

薫の操縦する高速シャトルは科学局管理エリア簡易宇宙船発着場に接岸させた。
薫たちが乗る高速シャトルは例えるなら、海洋生物のエイである。
エイの尾を取り除いたような形状の最大8名が乗れる小型シャトルだ。
接岸を終えた薫たちは、管制室で入管手続きに入った。

「新見教授(少佐)を確認。」
「続いて、ん!?教授。今日は助手の桐生中尉は?」

「ああ。彼女は急用で来れなくて、もう一人の助手で鬼塚中尉。」
「宜しくね。」

「そうですか。」
「一応、IDを確認します。」

「確認OKです。」

二人は入管をパスすると、薫の管理しているカラクルム級へと足を運んだ。



「コレは我、カラクルムではないか!」
驚いた顔を覗かせてストレイガーが口を開いた。

「そうだったのね。」

「ああ。間違いない!」

「あと少しで地球は我らガトランティスによって陥落、跪くはずだった……。」
無敵を誇っていた地球主力艦隊だったが、撃破しても撃破しても援軍による反復攻撃に、次第に疲弊してゆく地球主力艦隊。





次第に地球主力艦隊の指揮は乱れ、統制は無きに等しかった。
地球主力艦隊は壊滅、地球上空までもが、ガトランティスの制宙権に堕ち、僅かに残る残存艦隊による必死の抵抗が続いた。
そして、我がガトランティス、ゲーニッヒ総長官による勝利宣言ととも取れる地球人に対する慈悲の言葉が掛けられる中、あのヤマトが現れた。



「救世主に地球人は思ったに違いない!」
「時、既に遅しだったが。」
「だが、それは我々にとって間違いであった……。」
「ヤマトは……ヤマトは我らを機能停止に落とし入れた……。」

乗艦した薫は先ずは彼、ガーランド大尉に連絡を入れた。
六時間後に薫だけ地球へ帰投するように指示を受けた。
ストレイガー都督は乗艦するなり、薫から借りた連邦の制服を脱ぎ捨て、ウィッグを取るとメイクを落としはじめた。

「やはりコッチの戦闘服が楽だな。」
地球の中世時代の鎧のようなデザインと忍者=くノ一の服を合わせ、身体にピッタリ感があり、どちらかと言うと防御よりも格闘を重視したようなデザインだ。
肩、膝には角を思わせる鋭く尖ったものが装着され、更にはブーツはガトランティス人特有の爪先が少し斜め上に尖っている。
兜は首の辺りに感応波を増幅させる為のコネクターらしき装置が装着されている。
それと好みなのか左の耳の辺りには、平仮名の"つ"の字が正面に向かって細く成り尖っている角が装着されている。
おそらく、角などはこのカラクルムの殻(甲羅)の素材と同等のもの。
もしかしら同じかも知れない。

「ストレイガー都督。私は六時間後に一度、地球へ帰投します。」
「貴女はそれまで体力の温存を。」
「私が帰投して24時間後、作戦の第二弾のスタートよ。」



「あら。そう。」
「なら、少し休ませて貰う。」


◆◆◆◆


薫が地球へ帰投して24時間が経過した。

「ストレイガー都督。時間だ。」

「了解。」

「うふふ。」
「待ちくたびれたところよ。」

「狼煙(のろし)を揚げよ!」
「我、カラクルム起動!!」
「目標。地球、小笠原海峡海底!!」

「ストレイガー出陣する!!」
イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199ー星巡る方舟ーより。



「おい。アレを……。」
科学局管理エリア簡易宇宙船発着場・管制室が騒がしく成っていた。
それもそのはず、全く動かなく成って半年以上のカラクルム級が、ましてや無人で動き出したのだから。
管制室スタッフは矢継ぎ早に連邦政府及び軍に、緊急連絡を飛ばした。
係留の為、牽引ワイヤーで固定したが、カラクルムは生き物のように引きちぎり、起動、加速した。

【地球連邦防御軍・地球軌道防御衛星】

「なっ!何だと!?」
「係留中のカラクルムが突然、動き出しただと!」

「だからガトランティスの兵器など、複数残さず、さっさと処分しろと言ったのだ!」
「たくっ!」
防御軍軍務局長の芹沢は唾を撒き散らしなが、怒号を飛ばした。

「新型の防御衛星で撃ち落とせっ!!」
新型防御衛星は先のガトランティス戦役時の失態、教訓から戦闘A.Iによる個別の衛星で有る。
旧式戦闘衛星と異なる点の一つでもある。
旧式の欠点としては、攻撃力を優先する余り、複数の戦闘衛星を合体させた為、大型で攻撃力は増したが、機動力を失っていた。
カラクルム級のハイパードライブ(亜光速)の加速力と装甲材(当時はそう考えていた。)によるものが、戦闘衛星の敗因と結論付けたのだ。



「そんな石ころ弾などっ!」
「武装解除も出来なかった己を呪うがいい!」

「爆焔のストレイガーと二つ名を持つ我の敵ではないわーーーーーーッ!!」
「雷撃旋回砲を喰らわせてやるよ!」



「ん!?」
「後ろに三基回り込んだか。」
「ならば、仲良く堕としてやんよ!」
ストレイガーの眼が朱く光る。
そのストレイガーは、後頭部付近に装着されている感応波増幅コントロールシステム機の端末ケーブルを接続、感応波を送った。
雷撃旋回砲の光弾が、もう一環、形成され後方へ急行した。

「アハハハハハッ!!」
「堕ちろッ!!堕ちろッ!!」

ストレイガーは、感応波使い幾つもの雷撃旋回砲の環を形成、手足の如く攻守に使用、僅か三分と経たずして12基の防御衛星を撃破した。

「よう~し。この勢いで地球の海、小笠原海峡へダイブする!」
「ガーランド大尉!聴こえているか?」
「包囲網は突破した。」
「これから小笠原海峡へダイブする!」


第七話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第五話

2019-10-12 13:02:52 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第五話


クローン体が変態し、10日が経過、完全体と成った。
ガトランティス女性士官は眼を覚ます。

ガーランド大尉が入室すると同時に球体状のカプセルの中から「約束の時が来た。ここから出して貰うか。」と口を開いた。

「ガトランティスの士官よ。早起きだな。」
「あと少し、君をそのカプセルからは出せない。」
「もう一人、信頼出来る研究者が来るまでは、出せない。」

「ビィー。ビィー。」と二回、入室を求める呼び鈴が成った。

ガーランドは訪問者を確認する為、モニターを覗いた。
IDをかざした新見が確認出来た。
ドアのロックを解除し、新見を招き入れた。

「あら。もう、お目覚めしていたのね。」

薫のその台詞(ことば)に反応するかのようにガトランティス女性士官は、薫を睨んだ。

「さて、全員揃ったので約束通り、ガトランティスの士官よ、君をカプセルから出しましょう。」
ガーランドは、カプセルの液体をゆっくりと抜いて行く。
カプセルのほぼ真ん中辺りに浮遊するガトランティス女性士官もまた、液体が抜ける速度に合わせ、カプセルの底に近づく。

液体が完全に抜け、カプセルが真ん中から縦に割れるように左右に開く。
一歩、二歩と確かめるようにガトランティス女性士官は、歩き出し、ガーランドたちの前に立った。
液体で濡れた髪の毛の先から滴が幾つも落ちた。

「……やっと人間らしく行動が出来る。」
「私はバギーナ・ストレイガー。」
「第072群・都督と呼ぶ者も居る、いや居たが正しいかな。」

「では、改めて本題へ入るとしよう。」
ガーランド大尉が、話を進めた。

「先ず、ストレイガー都督。君が以前、条件があると言っていたが、その条件を先ずは聞こうか。」

「ガーランド大尉と言ったな。貴様の持つ科学力で、この企みが上手く行ったなら、サーベラー様同様に、人間としてのD.N.Aをこの身体に付け加えて貰おうか。」
「これが条件だ。」

「人間としてのD.N.A!?」
側に居た新見が口を挟んだ。

鋭い目付きで薫を見るストレイガー。
「貴様も、人間。種を残す事の出来る人間なのだろ!?」

ガーランドも薫も「ハッ!」と心に思う。

「分かった。その条件を約束しよう。」
ガーランドの言葉に薫は言葉を飲み込み、今はこの件に関して口を挟むのを止めた。

「で、条件の話は分かったわ。」
「大尉の"企み"とやらせたを聞かせて頂きましょうかしら。」
「私が用意出来るのは、乗艦が可能なタイプよ。」

「これを見ながら話すとしよう。」
ガーランドは空間プロジェクターを起動させた。
約2メートル四方のホログラムモニターが浮かび上がる。
「これは我々の誇る技術である物質転送システムの図面だ。」
「新見少佐も体験した事は有るはず。」
七色星団戦で体験した事を思い出した薫は、食い入るように見つめた。

これで今でも動き続け、小笠原海溝に存在する"コスモリバースシステムの"核(コア)"。
この核(コア)を利用して、あの高次元と言われる次元へゆく。
深海9.000メートル以上も潜る潜水艇を調達するのは、我々には無理。
そこで、少佐が解析しているカラクルム級が必要なのだ。

「カラクルム級で深海をって解釈で良いかしら。」

「その解釈で合っている。」

「でも、物質転送システムは人間も転送出来るの?」

「可能だ。」
「ガミラスの戦闘機は基本的に無人ではないからな。」

「確かに云われてみれば……。」

「勿論、戦闘機を使う訳ではないが。」
「特殊スーツを着ての転送になるがね。」

「そして、高次元でサーベラーと言う方を救いだすのね。」
「テレサが許すかしら?」

「……救うと言う表現は間違いであるが、完全な間違いではない。」

ガーランドのその言葉に軽く頬を膨らませる薫。

「高次元では彼女、ストレイガー都督の力が役に立つだろう。」

「我、感応波か。」

「そうだ。」

「リスクが大き過ぎるわね。」
「カラクルム級を動かせば、否応なしに軍も連邦政府も動き出すわよ。」

「それにはご心配無く。」
「深海9.000メートル以上も深く潜れる戦闘艦は悪いが、地球には無い。」
「例えヤマトでも、1平方センチメートルに約900キログラムもの圧力には、耐えられない。」
「だが、拡散波動砲に耐える事が出来たカラクルムの殻(甲羅)ならば可能だ。」

新見は「なるほど。」と言う顔を覗かせていた。

「話はだいたい解ったわ。」
「でも、カラクルムも素晴らしい図面も画期的な作戦、全て魅力的なのだけど、どうやってカラクルムに転送システムを装備するつもり?」

薫の質問にガーランドは左の口角を上げ、こう告げた。

「そう来ると思っていたよ。少佐。」
この計画は自分が月面大使館から、この研究施設に赴く時点から始まっている。
約半年の時間を掛け、システムに必要なパーツは既に運び込んでいる。
先日、デスラー総統の話をしたと思うが、自分が技術将校として赴く時点で総統が一枚噛んでいるのでね。
「解析に必要な資材」として、少しずつ運び込んだと言う訳だ。
そして、「既に物質転送システムは完成している。」
「半年かけ、コツコツと組み上げたよ。」

薫は目を丸くして驚いた顔を覗かせた。
「だから、この部屋に、これだけシステムが設置されていてクローン体も産み出す事が出来た訳ね。」

ガーランドは後ろを振り返り指を指した。
薫とストレイガーは、白いカーテンで仕切られた先に円台のようなシルエットを確認した。

「さて、質問がなければ次の段階に移行したいのだが。」

「……。流石に彼女、ストレイガーさんの……その魅力的な……裸体では局内を歩けないわね。」
同性である薫も、見とれる程のプロポーションしかも裸体ではマズイだろうと。

「少佐。貴女の服を貸してくれないか?」

「……戦闘服ならカラクルムに行けば直ぐに手に入るぞ。」

「あは。いやストレイガー都督。カラクルムに行くまでの服だ。」

「私の服……。」薫はサイズ的に彼女には小さいかもと思う。
「ちょっと待ってて、今、取って来るから。」

ー30分後ー

「これで良しと。」
「ウィッグにメイク、ボディーメイク。何処から観ても地球人ね。」
薫はウインクを飛ばしながら云った。
同時に「やっぱり私のサイズだからピチピチね。」「無理もないか彼女、170Cm/88/60/90だもの。」と心に思う。

「大尉。準備、出来てよ。」

「では、早速、少佐とストレイガー都督はカラクルム級へ移動してくれ。」
「自分は物質転送システムの起動チェックを行う。」
「地球軌道上の少佐の管理するカラクルム級に乗り込んだら、連絡を。」

「ストレイガー都督。君が我々の運命を握っている。」

「大丈夫だ。我はガトランティス!」

「……少し、この服キツイが、カラクルムに着いたら我が戦闘服に着替えて良いのだろう!?」

「勿論だ。」

右側の口角を上げ、笑みを浮かべるバギーナ・ストレイガー都督。


◆◆◆◆


※伊豆・小笠原海溝は、日本の房総半島沖から南東方向に連なる海溝。
マリアナ海溝と合わせて伊豆・小笠原・マリアナ海溝(IBM海溝)とも呼ばれる。

フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈みこむことによってできた海溝で、最も深い所では海面下9780mになる。
母島の南東にはやや浅い部分(母島海山)があるが、ここが伊豆・小笠原海溝とマリアナ海溝との境界点とされることが多い。
北に日本海溝および相模トラフ、南にマリアナ海溝が連なる。


◆◆◆◆


第六話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。