鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

◇星の守護神◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

2020-04-29 01:28:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝



西暦2199年も約半分が終わろとしていた。
宇宙戦艦ヤマトはガミラス軍、切っての猛将ドメルと一戦交え、窮地に追い込まれながらも、奇跡的に猛将ドメルから逃れる事に成功した。
いや、成功したと言うよりは"見逃された"と言った方が正解かも知れない…。
そんな言葉が艦長沖田の頭に過った。
その沖田はヤマトの修復と補給の為、地球型の惑星が存在する、ビーメラ恒星系第四惑星"ビーメラⅣ"に立ち寄る事にした。
調査の為、古代戦術長をリーダーとし、数名を選出、調査隊として派遣した。
そして、調査から戻った古代たち調査隊が持ち帰ったメモリ用波動コアを解析、多くの情報を得る事が出来た。





この物語りは、その解析した情報の一部の物語りである。

◇星の守護神◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー




時は西暦2199年から遡(さかのぼ)る事、約400年前_。

西暦1799年_。
ビーメラ恒星系第四惑星:ラガシュ(ビーメラⅣ)

突如それは訪れた。
銀河間の出入口近傍空間に存在する惑星ラガシュ(ビーメラⅣ)は王国制の惑星。
女王を君主とし、民はその女王を敬い貢献する事で、その見返りに豊かで平和な暮らしを約束されていた。
"命の水の惑星:アケーリアス"そのアケーリアスの女神アクエリアスから託された"超空間跳躍の門"=亜空間ゲートの管理。
この門の管理を行い守る事で、女王は女神から受けた恩恵を民に与えていた。
餓えも疫病も争いも無く、豊作を約束した。
その約束は守られていた。
蒼き肌を持つ種族による侵略がはじまるまでは_。

この惑星(ほし)では毎年、地球でいう秋にあたる季節、豊作を祝う収穫祭が行われていた。
七日七晩も続く収穫祭は惑星(ほし)全土で祝われ、収穫祭にふさわしく朝から晩まで呑んで食べて、演舞を披露。
たまたま立ち寄った旅人にも振る舞われた。
この収穫祭を目当てに出向く旅人も居たくらいだ。
だが、三日目の朝、それは急変した。
朝焼けがはじまる紫色の空に浮かび上がる黒点。
瞬く間にその黒点は拡がっていった。




「…これは。」空を見上げたラガシュ(ビーメラⅣ)の女王イシスは目を細め、呟くように口を開いた。
「衛士長。衛士長アヌビスは居らぬか?」

「ハッ。お呼びでございますか?」

「アヌビスよ。全土に通達。」
「収穫祭を中止、地下シェルターに避難するように伝えよ。」

「収穫祭を中止ですか?」突然に呼び出された衛士長アヌビスは首をかしげ、聞き返した。

「そうです。あれを見なさい!」イシスは右腕を高く上げ、指をさした。
その指に釣られるように空を見上げた衛士長アヌビスは、慌てた様子で直ぐに伝令を集め、戒厳令が敷かれる事を全土、全臣民に伝える為、散らばした。
緊急用防災サイレンを惑星全土に響き渡らせれば直ぐに臣民には伝わるのだが、イシスはあえて、伝令を散らばしたのだ。
ただでさえ収穫祭で、臣民たちがごった返す中、けたたましいサイレンが響き渡れば、訓練された臣民たちは落ち着いてシェルターに身を隠す事が出来るが、たまたま立ち寄った旅人や収穫祭を楽しみ訪ねて来た近隣惑星の民たちは、「何事か」とパニックに成る事は目に見えていたからだ。

「イシス様。やはり、別銀河で拡がる噂は本当だったようですね。」
「狙いは、あの超空間跳躍の門でしょうか?」

「おそらく。」
「あの門を使えば、この銀河のいや、全宇宙に点在する事から、その気になれば支配も可能かも知れません。」
「アクエリアスの女神は、そんな欲望の為に、あの門を創られた訳ではないのです。」
「アヌビス。わたくしは守護神=ニンギルスの準備に入ります。」
「臣民たちを頼みます。」

「承知致しました。」アヌビスは右手を胸に当て、一礼を済ました。



【ビーメラ恒星系第四惑星ラガシュ(ビーメラⅣ)女王イシス】

褐色の肌を持つ。
地球人の年齢に換算して23歳相当。
古の守護神ニンギルスを操る事の出来る唯一のヒューマノイド。
ラガシュ(ビーメラⅣ)の種族長=女王。
衛士長アヌビスの姉。



【ラガシュ(ビーメラⅣ)衛士長アヌビス】

姉であり種族長=女王イシスの妹。
イシス同様に褐色の肌を持つ。
地球人の年齢に換算して20歳相当。
ヒューマノイド。
常に姉であり女王のイシスを護衛する衛士長。
古の科学術(魔術的なもの)を使う事が出来る。

※ヒューマノイド(人間)は姉のイシスとアヌビスの二人だけである。
他の民はヒューマノイドタイプミュータントである。
(雄タイプと雌タイプが存在する。)
ヒューマノイドであるイシスとアヌビス、ヒューマノイドタイプミュータントの間で差別は無い。
雄タイプは戦士として衛士に就く者が大半で、雌タイプは主に農業に携わる者が大半である。
収穫祭では、感謝の対象である為、振る舞われる酒、料理は雄タイプが全て用意する。
普段、衛士である雄タイプは三日づつ交代で収穫祭を楽しむ。
収穫祭の時だけ変態(metamorphosis)し、ヒューマノイドの容姿に変わる特徴がある。
収穫祭の間だけ、独身の雄タイプは女王を含め求婚する事が許される。
(但し、女王に認められたからと云っても王に成る事は出来ない。王族とし大臣又は自治区を治める長の称号が与えられる。あくまでも女王制なのである。)
※この場合の変態(metamorphosis)とは、動物の正常な生育過程において形態を変えることを表す。


第二話へ
つづく。

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199第16話「未来への選択」のサイドストーリー(二次創作)です。

使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)

2020-04-25 14:35:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝

宇宙戦艦ヤマト2199外伝(仮) 西暦2199年。 遡(さかのぼ)る事、約400年前、惑星ビーメラは突然、終焉を迎えた… 一体、何が起きていたのか? イスカンダルの使者は何を観たのか? 何故、惑星ビーメラに赴いたのか? 二次創作します(^^ゞ





宇宙戦艦ヤマト2199外伝◇ジレルの魔女◇

2020-04-11 11:44:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝

西暦2198年12月25日。
この日、国連宇宙軍防衛艦隊は「メ号作戦」占領された冥王星基地奪還作戦を決行した。

但しこれは、地球に救いの手を差しのべた惑星イスカンダルから来訪する二人目の使者を無事に"確保"する目的で行われた"陽動"が主の目的である。
だが、この主の目的を知る者は旗艦きりしまに乗艦し、艦隊司令を務める沖田そして、艦長を務める山南とブリッジクルーの上級士官数名のみであった。





イスカンダルから来訪する使者は直接、地球に来訪する訳ではなく、絶対防衛線である火星に来訪する手筈に成っていた。

それは一人目の使者である"ユリーシャ・イスカンダル"が来訪した際、絶対防衛線である火星で拿捕されたからである。
拿捕されたユリーシャは超空間通信を利用し、誘導ビーコンを発信した。
この超空間誘導ビーコンを受信した地球に救いの手を差しのべた主スターシャ・イスカンダルは、無事に地球にたどり着いと確信してしまう。
タイムラグを考慮しても、約半年の時間を要する事から、直ぐに二人目使者:サーシャ・イスカンダルを地球へ派遣した。

だが、この超空間誘導ビーコンはガミラス宣伝情報相。惑星ジレル出身の非ガミラス人であるミーゼラ・セレステラも掴んでいた。
セレステラは一度は軍上層部と総統であるデスラーに報告しようとしたが、それを止めた。
彼女セレステラにしてみればイスカンダル人であるスターシャは、目の上のたん瘤的存在であるが、ガミラス人にとっては"崇拝"するほどの人物である事から「手出し無用」と告げられて終わりであると悟ったからだ。



二次創作
宇宙戦艦ヤマト2199外伝
◇ジレルの魔女◇

そこでセレステラは「一等臣民を与える。」を餌に「二等臣民」であるザルツ人を利用した。
ザルツ人「二等臣民」ではあるが、ガミラスは、デスラーは"救世主"であった。
それは"野族"と呼ばれるガトランティスによる侵攻を阻止、多くのザルツ人が救われたからだ。
彼らザルツ人にとって「一等臣民」は憧れである。
何故なら非ガミラス人であるミーゼラ・セレステラが「一等臣民」で尚且つ、ガミラス政府の"大臣"に抜擢されているからだ。
"忠誠"を誓い、協力し、認められた証なのだ。



「…と云う訳で私に協力して欲しいのだが、やって貰えるか?」
「無理にとは云わんが。」
「一等臣民に成るチャンス、早々には無いぞ。」

躊躇うザルツ人兵シグマ。

「貴公。私に憧れているのだろ!?」
「答えなくてよい。図星だな。」
貧乏揺すりが止まらないシグマ。
セレステラは小刻み揺れるシグマの心を感応波を使い、読み盗(取)っていた。
「読み盗(取)れたよ。」セレステラはそう告げると身体を密着させ太ももに手を当てた。
シグマは「ゴクリ。」と唾を飲み込み「解りました。引き受けます。」と返事を返した。
セレステラは更に身体を密着させ、彼の唇に自身の唇を重ねた。
数秒後、微笑みを覗かせるセレステラ。
「期待してるよ。」
「ん!?どうした?お腹でも痛むのか?」

「アッ!いえ、…だっ、大丈夫であります!」

「うふふ。」

顔を紅く染めながらも「ガーレ・ミーゼラ。」と元気良く敬礼をした。

翌日_。

イスカンダルからもう一艇の恒星間航行宇宙船シュヘラザードが飛び立った_。

「ミーゼラ様。例の宇宙船が飛び立ちました。」

「うむ。」ゆっくりと席を立ち、専用艦シャングリ・ラへと足を向けた。

「総統。ザルツ兵、数名が謀反を起こし脱出したと報告があり、阻止に向かいます。」



「君に任せるよ。セレステラ。」

「ザー・ベルク。」

こうして、セレステラの企てた計画は動き出した。



【特別仕様ミーゼラ・セレステラ専用ハイゼラード級シャングリ・ラ】

「シグマ。聞こえるか?」
「指示を伝える。目標船(シュヘラザード)が"ゲシュタムの門"=亜空間ゲートに突入する前に仕留めよ。」

「ザー・ベルク!」

先行するシグマが乗艦するクリピテラ級航宙駆逐艦。
その前方にはサーシャを乗せたイスカンダルのシュヘラザード。



「シュヘラザード!速力を上げました!」

「逃げられては、元も子もない!」
「構わん!ビーム砲、ミサイル発射ッ!!」
蛍光ピンクに輝く無数の光弾。
それに釣られるようにミサイル群が襲い掛かる。

「…ガミラス。」
「デスラーは何を考えているの?」そう心の中で呟くサーシャ。

「ゲシュタム・フィールド!(波動防壁)」蒼白く輝く光に包まれたシュヘラザードはシグマ座乗艦から撃ち放たれたビームやミサイルを弾き、耐えていた。

「このままでは門を潜られてしまうわ。」
「オペレーター!あのシュヘラザードの鼻っ面にゲシュタム=(ワープ)して!」
「足を止める!」

「ザー・ベルク!」

シャングリ・ラは航路計算を謝ったのか、サーシャのシュヘラザードに接触、かすり傷程度だが、シュヘラザードを損傷させた。
だが、シュヘラザードは速力を落とす事なく、ゲシュタムの門へ突入してしまう。

「チッ。」



「ん!?」
「まぁ良いか。」
「此方の損傷も軽微だが、シュヘラザードも同様、損傷しているならゲシュタム中、あるいはゲシュタム後には悲鳴を上げるだろう。」そう呟くセレステラはシグマが乗艦するクリピテラ級に横付けするよう命じた。



「シグマ。貴公だけ私の艦(ふね)に移れ。」セレステラは他のクルーに聞こえないよう耳打ちをした。

セレステラとシグマがクリピテラ級から離艦を確認したシャングリ・ラのクルーは第三陽電子砲をクリピテラ級目掛け、撃ち込んだ。
轟沈するクリピテラ級を横目にセレステラとシグマはセレステラの私室へ籠った。

「結果は逃す事に成ったが、貴公は良くやった。」
「約束は守るわ。」
「貴公もエピドラ産のお紅茶、いかが?」







「…あっ。いえ。」
「それよりは……。」

「うふふ。」
「大丈夫よ。ガミラスに戻るまでには、まだ時間があるわ。」
「ゆっくり楽しみましょう。」セレステラはシグマを見詰め、ゆっくりと足を組み換え、エピドラ産の紅茶を差し出した。

紅茶の入ったカップをそおっと口に運ぶシグマ。

「美味しいです。」と笑顔を覗かせたが、数秒後、その笑顔は消え、喉をかきむしるように手をあてがうと、ぐちゃぐちゃと口から泡を吹き、床にそのまま倒れた。

紅茶には毒は含まれていない。
カップに毒は塗られていた。
何処に口を着けても毒が唇に付着するように塗られていた。
セレステラは倒れたシグマのズボンを膝まで脱がし、携帯する銃で腹部を撃ち抜いた。

銃声に何事かと部下のクルーが慌ただしく入室した。

「…ミーゼラ様!」
「ご、ご無事で。」

「……ああ。無事だ。危うくだったがな。」
「この遺体を処分せよ。」

「ザーベルク。」



「ガミラスに帰投する。」
「進路をガミラス星へ。」


ガミラス星に帰投したセレステラは、デスラーに報告、謀反したザルツ兵は始末したと。

「うむ。」
「セレステラ。君も呑むかね?」
「今宵は一段とイスカンダル星が美しく輝いている。」
「あの輝くイスカンダルに乾杯。」

「ええ。ほんとうに美しく素敵な星ですわ。




◇fin◇



【特別仕様ミーゼラ・セレステラ専用ハイゼラード級シャングリ・ラ】

艦体諸元

艦級
ハイゼラード級

全長
392m

主機
ゲシュ=タム機関

武装
330ミリ三連装陽電子カノン砲塔×4基(艦上前部:2基/後部:1基/艦低後部:1基)
※オリジナルは艦上前部に2基のみで艦低は330ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×1基

280ミリ二連装陽電子ビーム砲塔×4基(艦尾)

近接防御火器(単装)×32基

近接防御火器(四連装)×8基
(艦上6基、艦底2基)

魚雷発射管×12門(艦首)

魚雷発射管×21門(艦底)

搭載機(艇)×3
・FS型宙雷艇
・ゼードラーⅡ
・偵察機FG156 スマルヒⅡ
(搭載時には翼を後方へ可変させる。)
※オリジナルの設定に無い。
・空間格闘戦闘機DWG262 ツヴァルケ
(用途/作戦に応じて搭載する)
※オリジナルは不明。(搭載描写が無い。)

あとがき

この物語りは「宇宙戦艦ヤマト2199」の二次創作です。
私の考察がと設定が混ざった物語りです。
使用している画像はイメージです。

メリアの遺産ー宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟外伝ー後編

2019-10-29 21:02:03 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝



ーメリアの遺産ー
宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟外伝

後編


前衛を任せていた一番、二番艦、デストリア級航宙重巡洋艦の突然の轟沈に困惑するフォムトは、自身が受け持つ小隊を散開させた。

「ぜ、全艦、散らばれッ!!」

「なっ!?何なんだ?」
「火線が空間を跳躍しやがった…」

「まさか…」
奴ら蛮族=ガトランティスに俺たちのガミラスの技術が流失している…のか…。
「ふと。」そんな事がフォムトの頭の中を過った。


自軍の補給艦ヴァカラが本国から到着する日、よりによってガトランティスが新鋭艦を投入して来るとは、予想外だった…
いや、予想は出来たが、しなかったが正解なのだろう。
なんだかんだと今日まで、押し寄せるガトランティス艦隊を退けて来た事もあり、"中だるみ"があったのは事実だった。

フォムトは思う。
「よりによってメリアが、この補給艦に乗艦し、同じ部隊に配属される日に、強襲を喰らうとはな。」と。
そこでフォムトは少しばかり大げさにガトランティスの"新兵器"に小隊が壊滅状態に有ると、大隊長に告げたのだ。
フォムトの中には、そう告げる事で、補給部隊の派遣と合わせて、援軍の派遣と考えていたからだ。
だが、大隊長は補給さえ有れば乗りきれると判断、援軍の前に補給部隊であるヴァカラ補給艦のみを差し向けたのだった。

だが、ヴァカラ補給艦は、この戦場に派遣されたガトランティス艦隊の別動隊の甲殻攻撃機デスバテーター隊に攻撃を受けエンジンが損傷、停船を余儀なくされてしまう。

「フォムトが困っていると云うのに…。」
同ヴァカラに乗艦する補給部隊に配属されたばかりのメリア・リッケ少尉が「ボソッ」と呟いた。
その少尉は現在、最前線で戦闘指揮を取るフォムト・バーガー大尉の恋人でもある。
私情は禁物と、呟く程度に押さえたものだった。
本心は艦長や乗艦するクルーたちに大声で告げたかった。

「メーデー!!メーデー!!」
「此方、補給艦ヴァカラ!」
「大隊本部、聴こえてるか?」

「近傍空間には味方は居ないか?」
「メーデー!!メーデー!!」
ヴァカラ艦長ラルク中佐は自らが通信機に向かい緊急救援を呼び掛けていた。

だが、妨害電波を張り巡らされていた為、通信の殆どは、"通信障害エラー"とされた。
時折、部分的に傍受出来る程度であった。

「…ら、……#@¥&¢㎜$¥℃………メーデー!!……」

激闘の中、ノイズ混じりのコールを奇跡的と云うか、偶然に傍受したフォムト・バーガー。
嫌な予感が頭の中を過る。

「……今、確かメーデーと云ってな。」
「まさか……!!」
目を見開くフォムトは単艦、後方へと下がってしまう。


「閣下。戦局は相当、酷い状況下のようです!」
白銀の衣を纏うゲルバデス級改良型ドメラーズⅠ世、艦長のヴェム・ハイデルンが告げた。

「ん!?」
「……これは、戦線を離脱する艦(ふね)を確認!」
「閣下!小隊隊長の艦(ふね)戦線を離脱して行きます!」
ハイデルンの報告に被せるようにメインレーダー士が、告げて来る。

「小隊隊長の艦(ふね)だけか?」

「ハッ。そのようです!」
「離脱前に何やら無線を交わしていたようですが、ジャミングが激しく読み取れませんでしたが。」

「うむ。」
「ハイデルン。後退した小隊隊長艦と回線を繋でくれ。」
同ドメラーズⅠ世に座乗するエルク・ドメル中将が命じた。

「此方、突撃小隊のバーガーだ!」
「援軍か?」
「丁度いい!味方の補給艦ヴァカラが蛮族の餌食に成っている!」
「奴らの別同隊の艦載機群だ!20機以上は……」
「¢℃¥$……@#¥℃¢…………」

「ダメです!通信途絶!」

「なんて奴だ。一方的に喋りおって。」
「どうしますか。閣下?」

「うむ。」
「ハイデルン。此方から全艦載機を派遣してやれ。」
「我がドメラーズは、あのガトランティスの旗艦の鼻っ面にジャンプせよ。」
落ち着いた口調で指示を飛ばすエルク。

「閣下!それでは我がドメラーズの被害も甚大な被害が予想されます!」

「ハイデルン。私の異名を忘れたかね?」

「…いえ。」

「そう云う事だ。」

「ザーベルク!」




フォムトは自身の艦をヴァカラに横付けすると、艦を砲台化し、自らは生存者救出に乗り込んだ。





「…メリア!今、助けてやるからな!」

「ブリッジ、聴こえてるか!第49区画の隔壁を開けろ!!」
「まだ、生存者が居るんだよ!開けろ!!」


「…フォムト。助けて………」
「熱いよ……熱いよフォムト…」
「…フォム……ト」



「だから開けろってばッ!!!」

「メリア!」
「メリアアアアアアーーーッ!!」






その後、隣の区画が爆発、フォムトは爆風に飛ばされ気を失った…。
援軍として駆け付けたドメラーズ艦載機隊の活躍でナスカ級母艦は轟沈、帰る場所を失った数機のデスバテーターが放った第5波対艦魚雷一斉射が補給用弾薬庫に命中爆発し、ヴァカラは轟沈した。
全クルー140名中、生存者は僅か3名だった_。




「ドメラーズは一歩も退かん!」
「これだけ至近距離なら自慢の空間跳躍兵器は、使えんだろ!」

「全砲搭は左90度、旋回、一斉射撃、てぇーーーッ!!」



「残存ガトランティス艦、反転!」
「離脱して行きます!」


◆◆◆◆


ーバレラス中央霊園ー


ネレディア・リッケと再開するフォムト。

「フォムトも来てたんだ。」

「まぁな。メリアの命日だかんな。」

「そうそう。フォムト。貴方に渡す物があったんだ。」
「地球やヤマトとの停戦後、渡そと思ってたんだけど、シャンブロウの騒動や本格的に動き出したガトランティス戦役や、なんだかんだで渡しそびれて、今になっちたんだけどね。」

そう云うとメリアの姉ネレディアは、妹メリアから預かっていたメッセージカプセルをフォムトに手渡した。
手渡されたメリアの形見(遺産)には、ウェディング姿のメリアがホログラムされていた。

「フォムト。私、待ちくたびれたわ。」
「だから、軍を退役して、お嫁に行く事にしたの。」

「私、フォムトのお嫁さんに成るわ。」





「俺、これでも亭主関白だぜ。」


~fin~



【フォムト・バーガー】

第6空間機甲師団(通称「ドメル軍団」)第7駆逐戦隊隊長。
階級は少佐。年齢は地球換算で27歳相当。

同期にネレディア・リッケがいる。
また、ネレディアの妹にして自分の恋人でもあるメリア・リッケを前述のガトランティスとの戦闘で失い、自暴自棄になっていたところを友人であったゲットーの計らいでドメルの部下になったという過去を持っている。
幕僚団では最年少であり、性格は非常に血気盛んで直情的。
師団が電撃戦を展開する際の切り込み隊長である。
若さゆえか思慮が足らず軽率な面があり、調子づいてはドメルやハイデルンに窘められるのが常である。
また、能力主義で二等臣民を差別しないドメルの部下としては珍しく、二等臣民をあまり信用していない模様で、七色星団海戦前の閲兵の際には二等臣民のザルツ人で構成されるB特殊戦軍第442特務小隊に「信用できるか怪しいもんだ」と言い放ち、不穏な空気を作る。
しかし、その直後に場を収めようと同隊隊員のノラン・オシェットがガミラス国歌を歌い始め、それに続けて他の小隊隊員も歌い出したため、言葉を失う。
七色星団海戦では、第二空母「ランベア」に乗艦。
空間艦上攻撃機DMB87 スヌーカに搭乗し、第二次攻撃隊(攻撃機隊)を率いて出撃する。
その後、ドメラーズIII世の物質転送機でヤマト直上にワープして奇襲をかける。
第442小隊のヤマト潜入を支援するために索敵能力を奪おうとレーダーを破壊し、その他にも対空兵装やカタパルト、波動防壁コンバーターなどを損傷させる。

その後、山本玲のコスモゼロの迎撃で若干の被害を受けつつも、出撃した幕僚の中で唯一生きて帰艦する。
ヤマトと機動部隊との直接戦闘では、ダロルドとシュデルグが相次いで撃沈され、仲間の仇を討つために爆装して再出撃しようとするが、その間もなくランベアがヤマトの砲撃に被弾し、ランベアごと七色星団の雲海へ沈んでいく。
七色星団の雲海へ沈んだ後に辛くも生き延びている。

ベスターが戦死したためにランベアの艦長代理となっており、ヤマトへの復讐心をたぎらせていたところを、ネレディア率いる第8警務艦隊に呼び止められる。
ガミラス本星が出したヤマトへの攻撃禁止命令にも納得しなかったが、偶然ジレル人の蝟集する惑星シャンブロウの罠に囚われて身動きできなくなり、奇しくもメリアに酷似した桐生美影を含む同様の身の上となった古代以下のヤマトクルーとの共同生活を経て、怨恨を次第に氷解させる。
シャンブロウを脱出した後はヤマトとの共同戦線を張り、ガトランティスのダガーム艦隊と交戦し、一時は死にかけるものの最後まで生き残ってランベアに回収され、ガミラスへ帰還する。

ローレン・バレルの指揮するガミラス艦隊に参加し、航宙母艦CCC「ノイ・バルグレイ」に搭乗し、空母打撃群を率いて地球圏防衛のために出撃する。
火星の絶対防衛戦にてガトランティス軍と交戦し、指揮下の艦艇と艦載機の連携攻撃でメダルーザ級を3隻撃沈する。
ヤマトが都市帝国を攻略している間、地球の守りを担当した。

「最終話では次元潜航艦クルーなど他のガミラス軍人の面々とともにデスラーを敬礼で出迎えていが、現政権に属するバレル艦隊として戦って間もなく何の経緯も描かれずにデスラー派に鞍替えした形になってしまっている。」




【エルク・ドメル】

年齢は地球人年齢に換算して38歳相当。当初は小マゼラン方面軍防衛司令官で、階級は中将。
直属の部隊である第6空間機甲師団(通称「ドメル軍団」)と共に小マゼランの帝国領内に侵入を繰り返すガトランティスに対する切り札として派遣されていた。
後にヤマトの出自と目的に勘付いたデスラーにより本星へ呼び戻され、上級大将に昇進の上でヤマト討伐の意味も込めて銀河方面作戦司令長官を拝任し、バラン星に赴任する。
銀河方面作戦司令長官の拝任後、ディッツに願い次元潜航艦UX-01を借り受け、ヤマトへ差し向ける。
その後、中性子星カレル163での戦闘でヤマトを撃沈寸前まで追い詰めるが、時を同じくしてデスラー暗殺事件が勃発し、本星への出頭という最優先命令を受け、後一歩のところで撤退を余儀なくされる。
その後、総統暗殺の首謀者の嫌疑をかけられ、軍事法廷において死刑判決を下されるが、免罪であった事が分かり釈放される。
デスラー総統より直接、命令を受け再びヤマト討伐へ。
宇宙の難所である七色星団を突き進んで来ると睨み、この宙域を決戦の場とした。
戦局は当初ドメルの想定通りに進み、特命であるユリーシャ奪取にも成功(実際に拉致されたのは森雪)し、勝利の目前まで迫ったが、特殊削岩弾の起爆失敗や戦闘機隊・雷撃機隊の壊滅を受け、砲撃戦で直接ヤマトを沈めようと機動部隊を前進させた際、特殊削岩弾を逆用され、その爆発とヤマトの反撃によって旗艦ドメラーズIII世以外の戦力を全て失う。
さらにイオン乱流に誘い込まれ、ドメラーズIII世も轟沈寸前になり、敗北を悟ったドメルは、艦本体から分離させた独立戦闘指揮艦をヤマト艦底部に接舷させ、軍人としての責務を全うするため自爆を敢行し、戦死する。
自爆の直前には沖田十三と交信し、お互いを祖国の命運を担う戦士と認め合い、ガミラスのみならず地球への栄光と祝福をも願い、自爆スイッチを押している。
後に大々的な追悼式が行われ、彼の死は国民の啓発とイスカンダルとの大統合への大義名分に利用される。

臨機応変をモットーとし、出自よりも能力重視で、被征服民を差別するようなことはない。
部下から慕われており、七色星団海戦で彼が自爆を決意して部下たちに離艦を命じた際は、腹心の部下ハイデルン以下誰一人として従わず、最後までドメルと運命を共にすることを選んでいる。
元部下で二等臣民のシュルツ達もドメルに尊敬の念を抱いており、ドメルの臨機応変のモットーはシュルツも見習っている。
また、敵であっても全力を尽くす相手には敬意を払うという騎士道精神の持ち主でもある。
また、その高潔な人柄から部下のみならず、叙勲式のパレードに大勢の市民が押し寄せるなど国民的人気を得ている。
その人気の高さゆえにゼーリック国家元帥を初めとするデスラーの側近の一部からは快く思われておらず、当人も政治に興味を示さないことからガル・ディッツやヴェルテ・タランからは心配されている。
エリーサという妻がおり、彼女との間に死別した子供・ヨハンがいた事が墓前で語られている。

服装はコンバット服とされており、
デスラーと女衛士や『星巡る方舟』のネレディア・リッケも着用している。
また、逆にドメルも叙勲式の際は他のガミラス軍人と同じ軍服を着ている。





【ネレディア・リッケ】

第8警務艦隊指揮官兼同艦隊旗艦ミランガル艦長。
大佐。27歳相当。
バーガーと同期の女性軍人。
過去の武勲により大佐にまで昇進した。





【メリア・リッケ】

故人。(年齢19歳相当)
ネレディアの妹で、バーガーの元恋人。容姿が桐生美影に似ている。
ガトランティスの攻撃によって戦死した。




使用している画像はイメージです。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟》の二次創作です。

メリアの遺産ーヤマト2199星巡る方舟外伝ー

2019-10-27 11:02:16 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝




メリアの遺産
ー宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟外伝ー

前編


ー天の川銀河・大マゼラン銀河 銀河間空間七色星団宙域(海峡)ー


西暦2199年8月半ばを過ぎた頃、宇宙戦艦ヤマトは、ガミラスとの決戦とも云える戦闘に突入した_。

「コスモレーダーが…コスモレーダーが全く使い物にならない…。」
「…艦長!レーダー反応消失!」
森船務長の交代要員、西条が心細く成る中、その気持ちを押し殺し、艦長沖田へ報告した。

「うむ。」

「有視界航法へ切り替えよ!」
「対空戦闘を"厳"とせよ!」

「古代戦術長。右舷、左舷の監視を強化せよ!」

「了解。対空戦闘を"厳"とし、右舷、左舷の監視を強化します。」

「戦術長古代より通達!戦術科甲板員は右舷、左舷に別れ監視にあたれ!」

レーダーが使えないという極めて厳しい状況の中、不馴れな有視界による戦闘を余儀なくされたヤマトのクルーたちは、何処と無くぎこちなく、ワサワサとしていた。
そんな中、ガミラス急降下爆撃機スヌーカー隊がヤマト上空にワープアウト、第一波攻撃を仕掛ける。


激しい揺れと爆発音がヤマトを包み込む。
怒号と悲鳴が混ざり合う。
艦橋組は艦橋組で、度肝を抜かれた感じでうろたえていた。

「うろたえるなッ!」
ヤマト第一艦橋の後部、一段高めに設置された艦長席に腰を下し、眼光を鋭く沖田は激を飛ばした。

「古代、各部署の状況確認を急がせろ!」

「相原。"隼"からの連絡はまだか?」
※隼=コスモファルコン

「はい。まだ、ありません!」

沖田は胸の前で腕を組、目を閉じた。
「隼とすれ違う事もなく、ヤマト上空にそれも直上に接近…」
「どうやったら…」

「古代!後方展望室にも監視を配置せよ!」
沖田の命令と入れ替わるように、今度はヤマト上空右舷に姿を現したスヌーカー隊の第二波攻撃を喰らう。

「…何処から一体?」
「敵は、ガミラスは大艦隊を展開してるのか?」
ヤマトの舵を握る島航海長が、呟くように口を開いた。




「バーガー少佐隊が発艦する!」
「甲板クルー及び誘導クルーは発艦体制に入れ!」
「繰り返す!第三波攻撃隊バーガー少佐隊が発艦する!甲板クルー及び誘導クルーは、発艦体制は入れ!」

バーガーは甲板クルーに右手で合図を送り、発艦した。

「バーガー少佐!ご武運を!」

「おお。任しておけ!」


「よし。攻撃は成功した!」
「全機、帰投せよ!ヤマトにはまだ沈まれちゃ困るからな。」

「此方バーガーだ!ランベア聴こえてるか?ヤマトの耳を奪う事に成功した!これより、帰投する!」

第三波攻撃を成功させたバーガー少佐隊は、母艦ランベアに帰投する。
帰投したバーガー少佐隊と入れ替わるように今度は、第三空母シュデルクから発艦したカリス・クライツェ少佐率いるガミラス雷撃機ドルシーラ隊による攻撃が開始された。
艦隊指揮官ドメル上級大将の立案した物質転送攻撃と地の利を生かした暗黒ガス雲海を味方に着けた波状攻撃作戦は、勝利まであと一歩のどころまで来ていた。


だが、"死中に活を見出だす"という信念をぶれる事なく貫く沖田に、勝利の女神は微笑んだのだった。

「此方、加藤隼航空隊隊長の加藤だ!」
「敵ガミラス艦隊を目視、確認した!」
「座標を送る!砲撃戦に備えられたし!」
「繰り返す!敵ガミラス艦隊を目視、確認した!」
「座標を送る!砲撃戦に備えられたし!」




◆◆◆◆




「今日は、あのヤマトと戦いから五年か、そして、メリア。お前の命日で七回忌だな。」
フォムトはメモリーホログラムを眺めながら口を開いた。

七色星団会戦で奇跡的に生還したあの日は、元恋人メリアの命日だった_。


ー六年前
小マゼラン銀河外縁部ゴルニ宙域ー


「野郎!チョロチョロと!」

「ん!?」
「どうした?」

「バーガー大尉!見て下さい!」
「奴ら蛮族がまた、この宙域に出没です!」

「隣ん家の芝は青く見えるかんな。」
「何せ。この八つに割れた惑星(ほし)の浮遊する大陸には、伝説と云われた"アケーリアスの遺跡"が存在するからな。」
「奴らも必死なのさ。」
「アケーリアスの遺跡を奪って来い!とケツでも蹴られてんだろう。」
鋭い眼差しで監視モニターを覗くフォムト・バーガー。
だが、今、攻め込んで来る蛮族=ガトランティスは今までと違い、数段も上の輩だと感じていた。




「おう。お前ら!ウェルカムパーティーはじめんぞ!」
「バーガー突撃小隊!斬り込めッ!!

※イメージ曲

血気盛んなバーガー突撃小隊だが、先行する一番、二番艦が立て続けに轟沈させられたのだ。

「あの重武装の大型戦艦が、奴らの旗艦か…」
「ちーとばかし厄介かも知れんな。」
フォムトは呟くように云った。

◆◆◆◆

後編へ
つづく。


使用している画像はイメージです。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟》の二次創作です。