鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

新たなる敵ー宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟ー外伝

2018-09-16 00:54:40 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝

宇宙戦艦ヤマト2199
ー星巡る方舟外伝ー

【新たなる敵】


ー西暦2199年9月ー

ー大マゼラン銀河・小マゼラン銀河:銀河間空間ー


「うむ。間違いなくドメル機動部隊:第二航宙母艦ランベアの救難シグナルなんだな!?」

通信オペレーターに聞き返すネレディア。

「ハイ。間違いありません。」

「何度も確認しました。」

ガミラス帝星:警務隊第八警務艦隊旗艦:ミランガル。
そのミランガルは現在、地球=ヤマトとの停戦した事を前線を回り、徹底させる任務に就いていた。



私は、ゲルバデス級航宙戦闘母艦ミランガル艦:艦長ネレディア・リッケ。
第八警警務艦隊:艦隊司令を兼任する。
年齢は27歳。
階級は大佐。


2か月前・・・


大マゼラン銀河:七色星団宙域。 

この宙域で、我がガミラス帝星切っての猛将ドメル上級大将率いる対ヤマト機動艦隊がヤマトと壮絶な戦闘を繰り広げていた。
激戦の末、辛うじてヤマト艦長:沖田の巧妙な策により、ヤマトの勝利に幕を閉じた。
だが、ドメル機動艦隊は敗北はしたものの、艦隊は全滅した訳ではなかった。
損傷はしたものの、七色星団海域に広がる雲海に姿を消したドメル機動艦隊:第二航宙母艦ランベアはヤマトへの反撃のチャンスを伺いながら、体制を立て直す為、戦闘宙域を離脱した。
だが、機関の故障により、暫く宇宙の海を彷徨う事になってしまう。
私はその宇宙の海を彷徨う、ドメル機動艦隊:第二航宙母艦ランベアを捜索する事にした。









だが、そんな矢先、我々は"新たな敵"と遭遇してしまう・・・



「なにッ!!星籍不明艦だと?」

「蛮族ではないのだな?」

私はレーダーオペレーターと通信オペレーターに確認した。


◆◆◆◆


《暗黒星団帝国:大元帥サーダ》

「マーベラス小隊長。まだ、静謐の星は見つからんのか?」

「ハッ。申しわけありません。」

「サーダ大元帥閣下。情報が少なく捜索が難航しておりまして。」

「そうか。聖総統は私ほど気が長くはないぞ。」

「ハハッ。必ずや早急に見つけ出します!」

「吉報を待っているぞ。」

映像通信を通し、深々と頭(こうべ)を垂れる《暗黒星団帝国:マゼラン銀河方面軍:第272奇襲連隊:特務小隊:小隊長マーベラス中佐》



「マーベラス隊長!斥候より、入電!」
通信士が慌ただしく告げて来る。

「よし。繋げ!」

「ワレ。ガミラスノ艦(ふね)ヲキヤッチ!」

「ガミラスの艦(ふね)か。」

「第一級戦闘配置!!だが、まだ、攻撃はするな!!」

「此方が気がつかないフリをせよ!」

命令を飛ばすマーベラス。

「ラジャー!!」威勢の良い返答がマーベラス艦ブリッジ内に響き渡る。


◆◆◆◆


「レーダーオペレーター!星籍不明の艦(ふね)の同行を逐一報告せよ!!」

「通信オペレーター!傍受出来るものは全て傍受せよ!」

矢継ぎ早に指示を飛ばすネレディア。

「ザー・ベルク!」ミランガルブリッジ内に交差するオペレーターの返答。

此方のレーダーに捉えていると云う事は、相手(むこう)も捉えていると考えるのが妥当だな。
私はそう判断した。
しかし、私は腑に落ちない。
相手は転進するでもなく、攻撃を仕掛けて来る様子も感じない。
何らかの原因でレーダーが故障した!?だとしたら4隻揃ってレーダーが故障した事になる。
いくらなんでも、それはあり得ない。
私はそう思い、このまま座礁したと思われるランベアを捜索する事を一時的に中止した。

このままランベアを捜索し、ランベアを発見した場合、折角ランベアの生存者を救出も出来なくなる可能性が高い、みすみす相手に獲物を提供するようなもの。
そこで私は艦艇の数から云って私の第八警務艦隊の数の方が勝っている事から、この星籍不明艦隊を沈める事にした。

「オペレーター!全艦に通達!」

「全艦!第一級戦闘配置!」

「同時に零(ゼロ)距離、上方1000メートルにゲシュタム(ワープ)・アウト位置を入力せよ!」

「私の合図で全艦ゲシュタム・ジャンプせよ!」

「全艦!ゲシュタム・ジャンプせよ!!」

ネレディア率いる第八警務艦隊は、ネレディア大佐の号令と共に、零距離で上方1000メートルの位置へワープした。

私はジャンプ・アウトと同時に全艦を90度、艦首を下げる格好で急降下(ダイブ)させ、砲雷撃による一斉射撃を開始した。

※イメージ曲「帝都攻防」ヤマト2199より。

「ガミラス艦隊!!直上!!」

暗黒星団帝国:マーベラス艦ブリッジオペレーターの慌ただしい口調で響き渡る。

《暗黒星団帝国:主力強襲駆逐艦》イメージ
※同タイプの遊撃・狙撃型が存在する。

「トリス艦長!本隊がガミラス艦隊と交戦に入ったとのことです!!」

「何ッ!?」

「直ちに隊へ戻る!艦、回頭180度!全速前進!!」

「砲雷オペレーター!砲撃よーい!!」
「続いて、重核子ミサイル搭載戦闘ヘリ、スタンバイ!!」

トリス・クーリー少佐は慌ただしく指示を飛ばした。

「ガミラス艦との距離8000に縮みます!!」

ほぼ同時にレーダーオペレーターから告げられる。
間髪入れずにクーリー少佐が命じた。

「重核子ミサイル撃ち放なせーーーッ!!」

三機の戦闘ヘリから放たれた三基の重核子ミサイルが第八警務艦隊前衛に陣取る重、デストリア、ケルカピア級に喰らいつく。
直撃を喰らうガミラス重巡洋艦デストリア級。
同じくケルカピア級航宙高速巡洋艦二隻。





「全弾命中!!」

「ガミラス艦隊誘爆、轟沈!!」

クーリー艦ブリッジ内に響き渡るレーダーオペレーターの報告。
まだ若手のクルーたちなのだろ。
ブリッジ内は歓喜に沸いた。



《重核子ミサイル》

中間子質量を破壊する一方、外傷を与えずに全生物の脳細胞を一挙に死滅させる。
起爆すると、内部に封入された重核子へ中性子ビームが照射され、高エネルギーのプラズマ状態となる。
このプラズマ化された重核子を超高エネルギー状態で炉内に閉じ込め、二重らせん構造の定常空間を維持すると、周囲の空間に歪みが発生してベータ変調された重力波が発生する。
これを浴びた生物は細胞核内部のDNAが異常活性され、自己崩壊してしまう。



「なっ!!何が起きている!!」

「もう一隻隠れていたとは!!」

「しかし、あの程度のミサイルで轟沈する程、我々の艦(ふね)は脆くないはず!!」

私は見た目に騙されているのか?
ミサイルの直撃を喰らったケルカピア級やクリピテラ級ならあり得ん事もないが、少なくともデストリア級クラスなら持ちこたえられるはず。

「何が、何がいったい……」

艦隊の1/3をこのミサイル攻撃で失った。
悔やんでばかりはいられない。
艦隊司令である以上、勝利を目指し、次の攻撃に備えなければならない。
兵を失うも生かすも、私に掛かっている。
もうこれ以上、艦を損耗する訳に行かない。
私は艦隊幅を大きく取らせた。
味方の誘爆に巻き込まれない為である。

「ネレディア大佐!ミサイル第二波接近!!」
ミランガルレーダーオペレーターから告げられる。

「全艦!後進いっぱい!!」

「主砲!一斉射撃てぃーーーッ!!」

同時に私は、もう一隻の戦闘母艦ニルバレス艦に艦載機の発艦を要請した。
前代未聞の作戦である。
後進いっぱいで艦載機を発艦させる事など、今までの戦史の中でもこの一戦だけだろう。

ニルバレスの戦闘甲板は飛行甲板へと変わり、艦載機である格闘型戦闘攻撃機ツヴァルケ隊を発艦させた。

「ニルバレス・遊撃機隊へ!全ミサイルを撃ち落とせ!」

ニルバレス艦艦長の命令が飛ぶ。

ガミラスグリーンに施されたツヴァルケ32機。
それと警務艦隊エースの証、白、ジャーマングレイ、ライトグレイの迷彩カラーに施されたエース機1機が発艦した。

「ネレディア大佐。わたくしめが、全て撃ち落として見せますよ。」

「頼もしいがラー・ヴィア少佐。無茶はするなよ。」

「ザー・ベルク!!」

「全機、私に続け!!」

ガミラス全警務艦隊切ってのエースパイロット、ラー・ヴィア。

ラー・ヴィア少佐率いるツヴァルケ隊の遊撃と、後進による重核子ミサイルの射程距離ギリギリで交わし、砲撃にてこれを撃ち落とす。



「隊長!イモムシ野郎、奴ら自分の命なんか要らねぇくらいにしか思ってないのか、ミサイルを抱えたまま、突っ込んで来る!!」

「うろたえるな!ミサイル抱えさせたまま、墜とせ!!」

インカム内に交差する指示と被弾報告。
重核子ミサイルを抱えたまま、突撃を敢行する暗黒星団帝国軍艦載機。
彼ら暗黒星団帝国軍の目的は道ずれにしてでも、艦隊(ガミラス)を殲滅する事。
重核子ミサイルの特徴として、近々の空間に存在する敵機の"脳細胞をも破壊するという、厄介な特徴を持つ。
その為、直撃や被弾しなくても、脳細胞を破壊されたパイロットは自ずとその場で自爆するか、何かに操られたかのように、味方に喰らい付き、自爆する。

開戦から10分、"誘爆"攻撃に1/3もの友軍機と艦艇を失った。
そんな中、ラー・ヴィア少佐は友軍機を後退させ、ミランガルをはじめとする残存する第八警務艦隊の上空をカバーさせた。

「お前たちは艦艇の護衛にあたれ!」

「イモムシ野郎は私が引き受ける!」

これは残り少ない"イモムシ型攻戦闘ヘリ"を自身に集中させれば、重核子ミサイルを艦隊に撃ち放ったところで、護衛する各機が重核子ミサイルを撃ち落としやすくする為でもある。
ラー・ヴィア少佐の狙い通り、自身が陽動撹乱した事で、イモムシ型戦闘ヘリは至近距離からの艦艇への攻撃を諦め、長距離からの攻撃に切り替えざる得なかった。
エースパイロットであるラー・ヴィア少佐とドッグファイトに持ち込むには自機の倍以上もある重核子ミサイルが邪魔でしかなかった。
いち早く、その事を見抜いたラー・ヴィア少佐の戦術に軍配が上がった瞬間でもあった。
ネレディア率いる第八警務艦隊は、暗黒星団帝国軍艦載機隊を殲滅、更には駆逐艦一隻を撃破した。

「よし!敵はあと一隻だ!!」

「火力を集中させよ!!」

私は畳み掛ける為、指示を飛ばした。


◆◆◆◆


「最早これまでか……」

「機関いっぱい!!あの紅い旗艦へ突っ込め!!」

グングンと加速する強襲駆逐艦。
ミランガルとの距離が縮まる。
ミランガルから撃ち放たれる光弾の嵐。
だが、怯む事なく突っ込んで来る。

「お前ごときにミランガルは殺らせわせんッ!!」

「最後の一発だ!!冥土の土産に持ってゆけッ!!」

ラー・ヴィア少佐のツヴァルケがミランガルと強襲駆逐艦の間に割って入る。
強襲駆逐艦から撃ち放たれる近接用量子光弾機関銃の弾幕を縦横矛盾にすり抜け、対艦魚雷を撃ち放った。
衝突まで間一髪のところで危機を脱出したミランガル。


ー魔女の海峡ー


ネレディアは艦隊を纏め、ランベア捜索を再開した。
宇宙の難所の一つ「魔女の海峡」と呼ばれる宙域に座礁したランベアを発見したした。





「さて、一筋縄では行きそうにないかな。」


~the.end~


《ガミラス第八警務艦隊旗艦:ミランガル》

艦級:ゲルバデス級

艦種:航宙戦闘母艦

全長:390m 

全幅:67m


武装

280ミリ三連装陽電子カノン砲塔×4基
 (三番主砲塔は格納式)

133ミリ三連装陽電子カノン砲塔×4基

六連装ミサイル発射機×2基(艦橋後方)

遮蔽式上部砲戦甲板×2基

 280ミリ三装装陽電子ビーム砲塔×各1基

 133ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×各2基 

対空レーザー砲×各16門

遮蔽式下部砲戦甲板×2基

 133ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×各2基


搭載機

空間重爆撃機DBG88 ガルント(ダロルド)

空間格闘戦闘機DWG262 ツヴァルケ(ミランガル、ニルバレス)



使用している画像はイメージです。
また、使用している画像の一部は「宇宙戦艦ヤマト2199及び星巡る方舟」「宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち(永遠に)及びPS.版:暗黒星団帝国の逆襲」より引用。他、ネット内に出回っている画像を使用。

この物語りは私の妄想の物語りです。

滅びの惑星(ほし)オルタリアー宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー

2018-09-15 04:14:43 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


滅びの惑星(ほし)オルタリア
ー宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー


西暦2199年8月


宇宙戦艦ヤマトがイスカンダル星を出発して3日が過ぎ、サレザー太陽系と別れを告げた。
そのヤマト艦内で起こった1つの些細な喧嘩が、思いもよらない事件を引き起こしてしまう。



「もういいよ。」

「星名は鈍いんだよ!」

宇宙戦艦ヤマト船務科所属で第一レーダー士:森 雪の交代要員の岬 百合亜:准尉は、戦死したヤマト保安科隊長:伊東 真也(二尉)の後任を任された星名と恋人である。
その星名は岬 百合亜と口論となり、百合亜は一人、ヤマト第三格納庫へ向かった。

「何よ!意気地無し!」

「百合亜を追って来てくれるかと思ったのに……」

「星名のバカ……」

百合亜はそう心の中で呟いた。

ヤマト第三格納庫。
そこには現在、二機の百式空間偵察機のみが、整備され格納されている。





「右舷第三格納庫ハッチ開いています!!」

第一レーダー士:森 雪の慌ただしい声が第一艦橋内に響き渡る。

「百式空間偵察機、一機、発艦!!」

「何ッ!!」

「だれが乗っている?」

森 雪の声に直ぐさま反応を示す古代。
本来、艦長不在時は副長である真田が指揮を取るのだが、技術長を兼任する為、イスカンダルから受領した《コスモ.リバース・システム》の起動プログラムのテストを技術科のメンバーたちと行っていた為、戦術長である古代にヤマト(ふね)の指揮を任せていた。

ヤマト第三格納庫:整備室に問い合わせる古代。
そこから返ってくる以外な言葉。
「船務科の岬 百合亜」と「アナライザー」が『亜空間ゲート』調査の為との理由で発艦したとの事であった。

勿論、岬は、そんな命令を受けてはいないし、古代もまた、命令は出していなかった。
岬 百合亜の、一時的な感情の爆発的行動である。
懲罰を覚悟で岬は、星名に自分を連れ戻してほしかったのだ。

「ミサキさん。ソロソロ戻られた方が、ヨロシイかと。」

「……アナライザー。ヤマトから追いかけて来る航空機とかは感知してないの?」

「ハイ。今のトコロ。」

「ン!?」

「イヤ!待ってクダサイ!」

「微弱ナガラ、救難シグナルをキャッチ!」

「救難シグナル?」

「でもアナライザー、レーダーには何も映ってないよ!」

「ハイ。空間デハアリマセン。」

「あの惑星カラ発せられてマス。」

アナライザーが検知した、救難シグナルを追って、惑星オルタリアを目指す百合亜たち。



《惑星オルタリア》

大小マゼラン銀河内に存在すると推測される。
青い海や雪山、森林を有しており、その外観は地球に似ている。
ガミラスに併合された惑星で、表面上は自治権を認められていたが、他星からの移民が多く行われており、実態はガミラス人の総督が統治する植民地のような状態となっている。
原住民族が反乱を起こすが、その後ギムレー率いる親衛艦隊によって、惑星間弾道弾を多数投下され、さらに加えて数十隻のポルメリア級航宙母艦のレーザー攻撃と、メランカによる爆撃を見舞われ、惑星全体が焼き尽くされた。

《オルタリア人》

オレンジ色の肌で、顔にペイントが入っている。
平野部に住む一般市民や山岳地帯に住む民族などが存在する。
ヤマト問題の露見に伴って一般市民の民族主義者が蜂起し、首都を制圧することに成功するが、親衛航宙艦隊によって反乱に加担しなかった非民族主義者や他星からの移民者もろとも殲滅された。



「見たところ文明は既に滅んでしまったみたいね。」

「アナライザー。本当にこの惑星(ほし)なの?」

「間違いアリマセン。この惑星デス。」

百合亜たちの眼下には焼け野原が何処までも続き、時折、都市を発見するも、やはり廃墟化しており、人一人、見かける事はなかった。
暫くそんな風景が続く中、アナライザーが再び反応を示す。

「岬サン。あの岩山ノ中腹アタリヲ見てクダサイ。」

岩山の中腹に横たわる物体が目に飛び込む。
超大型の戦闘艦らしき物体が横たわっているのが確認できた。
惑星オルタリアの北西部にそびえる岩山。
その中腹に降り立つ百式空間偵察機。
岬 百合亜とアナライザーは、その中腹に横たわる超大型戦闘艦へと近づいた。
外観はかなり傷みが激しく、朽果てた所まである。
全長1.000メートルくらいでヤマトより約3倍の超大型戦闘艦。
救難シグナルは、その中から発せられていた。

「ミサキサン。分析カラしても廃墟と成ったノハ、つい最近ノようです。」

「最近?」

「ハイ。最近デス。」

「ソレモ、人工的に破壊サレタ形跡ガ伺えマス。」


「動くな!!」

突如、百合亜たちの頭上から大きな声で百合亜たちに向かって、静止するよう命令口調で叫ぶ、一の人物がいた。
見上げる岬の目には旧時代のローマの戦士のような"女戦士"に見えた。
その声を聞き付けた、岬たちの頭上から命令口調の言葉を発した女戦士の仲間がぞろぞろと姿を表し、岬たちを取り囲んだ。

「お前たちは、何者だ?」

「ガミラス人ではなさそうだな。肌の色が違うからな。」

「ガミラスの手先か?」
"女戦士"の長と思われる者から問われる岬たち。

「私たちは地球人。たまたま、この惑星から救難シグナルが発せられていて立ち寄っただけ。」
百合亜はガクガクと震える身体を押さえ質問に答えた。

「地球人?お前たち!地球と言う惑星(ほし)をを知ってるか!?」
戦士長と思われる者は仲間に問いかけた。
首を縦に振る者は居なかった。

「お前たち。ガミラスの手先のザルツ人に似ているな。」
百合亜たちを取り囲む、"女戦士長"=オルタリア旧警務隊隊長マンロウが百合亜を上から下までジロジロと見ながら問いかけた。
百合亜は無言のまま、ただ様子を伺うだけであった。
そんな中、マンロウの言葉に、百合亜の答えに疑問の声も上がった。

「まぁ、どちらにせよ拘束しておけ!」

オルタリア旧警務隊に囚われる岬 百合亜とアナライザー。


ーオルタリア難民ベース(超大型戦闘艦内)ー


「お前たちは救難シグナルをキャッチしたと言ってな。」

「あの飛行機じゃ長距離は非行出来まい?」

「この恒星系に、お前たちの言う「地球」と云う惑星(ほし)は無いからな。」

「本隊は何処にいる?」

「ガミラスの手先なのだろ?」

「救難シグナルをキャッチしたと言うのは嘘で、生き残った私たちを殲滅しに来たのだろ!?」
マンロウは、矢継ぎ早に問いかけて来る。
百合亜は怯えるだけで、答えられないでいた。
疑いが益々、深まった。
構わずマンロウは質問を続けた。

「つい先月、このオルタリアは、ガミラスの高官でデスラー親衛隊が焼き尽くした。」

「反乱分子が生き残っていた。では後々、面倒だからな。」

「そうなんだろ!?」

百合亜は今にも泣きそうな気持ちを押さえ、必死に「地球人である事を説明した。

「私たちは、イスカンダルからの帰路の途中で、たまたまこの宙域を非行中に救難シグナルをキャッチし、私たちが立ち寄っただけ。」

尋問したマンロウの部下ラヴジュは"イスカンダル"の言葉に強く反応した。

「お前、今、イスカンダルと言ったな!!」
そばて聞いていたマンロウの部下の一人ラヴシュが大きな声で百合亜に詰め寄った。

「イスカンダルに行ってだと!!」
尋問するマンロウもまた、百合亜に詰め寄った。

「えぇ。イスカンダルからの帰路途中です。」

マンロウは思わず、百合亜を強く揺さぶり、イスカンダルの事について詳しく話を聞こうとした。
強く揺さぶられ、顔をしかめる百合亜。

「すまない。少し興奮してしまった。」

「イスカンダルは、イスカンダルはまだ健在なのだな!!」

「えぇ。イスカンダルで私たちは『星を元の住める星にするシステム』を譲り受けて来た帰りです。」

「そうか!イスカンダルは健在か!」

「荒手な真似をして済まなかったな。」

「お前たちの本隊をこの惑星に呼んでくれないか?」

「それは良いけど……」

「良いけど……何だ!?」

「いえ。ごめんね。今、呼ぶわ。」

「アナライザー、ヤマトとの交信を。」

百合亜に云われ、ようやく壊れたふりをやめたアナライザーは、ヤマトとの交信を開始した。
ヤマトがこの惑星オルタリアに到着するまでの間、マンロウたちは、受け継がれる大昔の話を百合亜たちに聞かせた。



今から2520年前・・・

水の惑星と呼ばれる伝説的惑星アケーリアスが、この惑星オルタリアの直ぐ脇を通過すると云う事態が起きた。
そのアケーリアスの軌道を変える術はなく、1ヶ月以上もこのオルタリアに雨を降らせた。
その降り注ぐ雨で全ての植物は腐り、動物たちは餓えて死滅。
大地や都市は水没し、僅かに生き残ったオルタリアの民はこの岩山が最後の砦。
この岩山が水没すれば、死滅するだけとなった・・・

そんな時、伝説のように語り継がれてきたイスカンダル。
そのイスカンダルの当時のスターシャは、このオルタリアに一隻の艦(ふね)を派遣した。
その艦(ふね)に装備された"波動砲"によって"回帰の水柱"と言い伝えられる水柱を絶ち切った。

二週間後、アケーリアスのもたらした"試練の水"はすっかり引き、水没した都市や大地は姿を表した。
イスカンダルの派遣したこの艦の活躍によって、オルタリア人の死滅は間逃れた。



「と云う訳だ。」

この話を聞いている間、アナライザーはヤマトとの交信を完了していた。

だが、このアナライザーとヤマトとの交信が、傍受されていたのだ。


◆◆◆◆


「ヤマトがオルタリア星に向かっているだと!?」

「これはチャンスと捕らえるべきだな!」

「デスラー総統に反旗を翻し、現政権を手中に納めたディッツを倒すチャンスが、こんなにも早く巡って来たと云う事だ!」

「艦長!全艦隊をオルタリアへ向け発進させよ!!」

「我がガミラスの旗を掲げよ!!」

「ザーベルク!!」

デスラー政権が崩壊し、宇宙を彷徨、元デスラー派残党が動き出した・・・





◆◆◆◆




「アナライザーから連絡のあった惑星はあれだな。」

古代が口を開いた時であったコスモレーダーを監視する森 雪が慌ただしく告げて来る。

「レーダーにワープアウト反応多数!!」

「艦種識別:ガミラス!!」

「臨戦体制!!」

「何だって!?」

「ガミラスとは和平が結ばれたはずじゃ!?」

森 雪の報告に島が疑問を投げる。

「確かに結ばれたが、まだ全体には浸透していないのかも知れない。」
島の質問に応える古代。

間髪入れずに雪が告げて来る。

「ガミラス艦隊、発砲!!」


◆◆◆◆


「お姉ちゃん=(マンロウ)!!なんか、お宇宙(そら)の方でヤバい事になってるよ!!」

「レーダーがピカピカいっぱい光ってる!!」
マンロウの妹、イヴが教えた。

その言葉に急いでマンロウは、百合亜たちを連れ、ブリッジへ上がった。
レーダーを覗くマンロウ。
レーダーには未確認物体の文字とガミラスの文字が多数、点滅していた。

「野郎ッ!!ガミラスがまた来やがった!!」

「マンロウさん。またって以前もガミラスが来たんですか?」

レーダーを見つめながら、マンロウはまだ此方に降りて来る様子が伺えない事から、百合亜にガミラスが襲来して来た事を語り始めた。

「あれは忘れもしない……」

「1ヶ月前の事だ……」

「私たちオルタリアの民は、ガミラスからの独立を目指していたんだ。

私たちの住むこのオルタリア星は、ノルド大管区 とガミラスから呼ばれ、惑星ノルドを主星とした太陽系の第三惑星がオルタリア。

それで、ノルド大管区を納めていたガミラス人のウゴン総督って云うチンケな野郎が酔った勢いで
、暴露したんだ!」

「イスカンダル主義なんてもんは、ガミラス親衛隊長官が、でっち上げたんだ!!とね。」

「大統合を成し遂げる為のでっち上げだとね。」

「そんな時、何処の銀河系か分からないけど、別の太陽系の《テロン》と云う惑星から《ヤマト》なる艦(ふね)が、ガミラスに反旗を翻しイスカンダルを目指していると耳にしたんだ。

「その話をきっかけに私たちオルタリアの民は、立ち上がった。」

「だけど、そんな矢先、ウゴン総督の泣きが入り、ガミラス親衛隊が、わんさか押し寄せ、一夜にしてオルタリア星は焼け野原、壊滅したんだ。」

「……親衛隊の容赦無い虐殺は正に鬼畜だった……」

「女、子供、老人、無差別だったよ……」

「このイスカンダルの艦(ふね)は、ガミラスが支配する以前に隠して見つからずに済んだんだ。」

悔しげに拳を握るマンロウ。

「あの時……あの時、この艦(ふね)が健在で、動いたなら……」






◆◆◆◆


一方、オルタリア星上空では・・・



「全艦、火力をヤマトに集中せよッ!!」





「ヤマト航空隊は全機発艦せよ!!」

「繰り返す。航空隊は全機発艦せよ!!」

「此方、ヤマト航空隊隊長:加藤!」

「指揮へ意見具申!」

「この集中砲火を静めてくれ!
死にに逝く訳じゃ無いんでね!」

指揮に不馴れな古代に対し、航空隊:隊長:加藤は皮肉混じりに具申した。
加藤の具申は最もであった。
この加藤の具申に、冷静さを取り戻した古代は、砲雷戦を今よりも先行させ、改めて発艦命令を下した。






「ヤマト航空隊、全機発艦する!!」

「一番隊は俺に続け!!」

「二番隊は篠原に続け!!」

「ラジャー!!」



「艦底部に被弾ッ!!」

「ダメージコントロール追い付かないッ!!」

「此方、波動エンジン制御室!!出力32パーセント低下!!」

被害報告が、ヤマト第一艦橋内を渦巻く。

途切れる事の無い悲痛な叫び声。
ドメル戦並みの死闘であった。

「ガミラス艦載機スヌーカータイプ、数機抜けて来ます!!」
雪が告げて来る。

「弾幕、張り続けろッ!!」
即座に対応する古代。

「しまった!一機、抜けられた!」


「きゃぁぁぁぁぁーーーッ!!」

「お姉ちゃん……」

ガミラス艦載機スヌーカーによる機銃掃射に、命を落とすマンロウの妹イヴ。

「……イヴ…………。」

「よくも、よくもイヴを
ガミラスめぇーーーッ!!」

マンロウは本能に身を任せ、イスカンダルの超大型戦闘艦に装備された唯一、稼動する三連装波動衝撃波砲(第三砲塔)をデスラー派残党旗艦バードラ艦目掛けて撃ち放った・・・・

「これでも喰らえーーーッ!!」


◆◆◆◆


どれくらいの時間(とき)が過ぎたのだろうデスラー派残党との闘いは、終わりを告げていた・・・・

「岬。また逢おう。」

「今度、逢う時は争いや憎しみが無い平和で、このオルタリアもかつてのように緑豊な惑星(ほし)に成っている事だろう。」



「百合亜。コレを持って行け。」

「もう、私たちはこのイスカンダルの艦(ふね)を動かす事は無いからな。」

「明けの明星が昇った。妹のイヴも見送っている。」

「無事な旅を。」

涙を堪え、溢れる笑顔で応える百合亜は、別れを告げた。


◆◆◆◆


ヤマトに帰投した岬 百合亜。
その百合亜を出迎えた星名。


「お帰り百合亜。」

「ただいま星名。」



~the.end~


《回遊惑星アケーリアス 》

「水惑星」とも呼ばれる。
特定の軌道を持たない回遊惑星。地球より若干大きく、星の構成要素はほとんど水であり、中心部で重水が起こす核融合によって淡く光っている。
周囲に3本の氷の環が存在すし、惑星表面は全て水に覆われており、山や湖、森を有した多数の浮遊大陸が存在している。
大陸に遺跡があることから、過去には文明が栄えていたようである。
近づいた惑星に重力の関係から大量の水を降り注がせており、地球にも過去に幾度か水が降り注いだ。
降り注いだ水には生命の"芽"が含まれており、それが銀河系の多くの星々の生命の起源となっている。
地球の生命もそこから進化していったことになっている。
また、逆にアクエリアスから降り注ぐ水は、試練としてその星の文明を根こそぎ洗い流すこともある。

アケーリアス(英語の綴りはアクエリアスと同じ「aquarius」)と呼ばれる先史文明が存在する。
非常に高度な科学力を有し、バラン星を中心とした超空間ネットワークを構築。
さらにそれを利用した亜空間ゲートを宇宙の各所に設置した。
現在では滅び去っており、残された亜空間ゲートはガミラスの手によって運用されている。






◆◆◆◆


使用している画像はイメージです。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2199》の二次創作です。

ー囚われのユリーシャー宇宙戦艦ヤマト2199外伝後編②

2018-09-05 22:28:30 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


ー囚われのユリーシャー
宇宙戦艦ヤマト2199外伝

後編②




「なっ、何だって!?」偵察に出した偵察機の傍受した内容の録音記録を、再生した内容を確かめるように、何度も聞き返したネレディアは驚きを隠せなかった。

「…緊急報告!ガミラス時刻10:34(ヒトマルサンヨン)。ハンニバル艦ニ、ユリーシャ様ト随行員ノ所在ヲ確認!」

「繰り返す!ハンニバル艦にユリーシャ様と随行員の所在を確認!」

「ユリーシャ様とメルダ殿が囚われている……だから提督はハンニバル艦だけは沈めるな。被弾も最小限にと。云われたのか。」呟くネレディア。

「推進機だ!ハンニバル艦の攻撃は推進機のみに!」命令を付け加えるネレディア。





提督もヒス閣下も知っているはず。
我がガミラス星があと100年持つかどうかという瀬戸際に立たされている事を。

だが、真の目的は、ここからは、彼ら提督もヒス閣下も読み取れなかった。
総統は総統自ら出撃された事の本当の意味を。
"コスモリバースシステム"をイスカンダルから受領したヤマトを拿捕する。
その後、ガミラスを救った後(のち)、彼らヤマトのクルーを解放するはずであった。
"テロン人"=地球人を全員は救えないが、ヤマトのクルーたちが生き残れば、子孫は残せる。
そう考えていたと。
さらに総統は第二の"テロン星"=地球をも与えるつもりでいたと。

「艦長!我が全艦隊に通達!」
「ヤマトを発見しても別命あるまで発砲はするな!」
「デスラー総統の支援だけを行う!」
「ヤマトは拿捕する!」
「ハンニバル艦隊が我々や総統の邪魔立てするようなら、容赦なく沈めても構わん!」

「全艦隊!ジャンプの用意を!」

「ザーベルク!」


◆◆◆◆


ネレディア警務艦隊とゲルバデスJr.率いる艦隊の戦闘は激化したまま、膠着状態が続いた。

だが、奇跡というものが存在するのだろう。
勝利の女神はネレディアたちに微笑んだのだ。

亜空間ホーミング魚雷二本がハンニバル艦推進機に直撃、ハンニバル艦は航行不能と成ってしまう。
同時にユリーシャたちが押し込まれていた営倉のキーロックが故障、扉がわずかに開いてしまう。

「ユリーシャ様。申し訳ありませんが、格闘着を作るのを手伝って下さい。」
「自分1人では、手が足りません。」

「解ったわメルダ。」
「裸では逃げれませんものね。」

満身創痍のメルダは自身が寝ていた簡易ベッドのシーツを裂き、ぼろぼろの制服を脱ぎ捨て、裂いたシーツを胸に"さらし"を巻くように巻き、ユリーシャに手伝ってもらい局部=股間を隠す為"まわし"を巻く要領でTーバックを作り、「グィッ」と締め上げた。メルダのお尻に裂いたシーツが食い込む。
「プルン」と揺れる尻。
その上からショート"パレオ"のように巻いた。
さらに両拳を第二関節から手首までをボクサーのテーピングのように巻いて固めた。

「お忍者さまみたいですわ。メルダ。」ニコリと微笑みを浮かべユリーシャは云う。

「お忍者さま?」

「そう。お忍者さま。昔、イスカンダルに居た衛士たちよ。」
「お姉様から見せられた本に描かれいたの。」
※イメージ的には格闘ゲームのキャラクター
イメージ画像

「ユリーシャ様。このチャンスに脱出を。」
「私が護衛します。」
「ガミロイドがクルーの大半です。」
「機械相手の格闘なら、今の私でも勝てます!」
「この艦(ふね)には幸、ツヴァルケが積んであります!」

「解ったわメルダ。わたくし闘います!」興奮するユリーシャが告げた。
メルダは苦笑いしながら頷いた。




「ガミロイドは居ないようですわ。」



艦尾に接岸するUXー01。
船外服のフラーケン大佐が1人ハンニバル艦へ忍び込む。

格闘するメルダの姿は"アマゾネス"の戦士のようであった。
2体、3体とガミロイドを倒し、格納庫へと歩みを早めた。

「ユリーシャ様。」艦内へ忍び込んだフラーケンがユリーシャの後ろ姿に声を掛ける。
振り向くユリーシャとメルダ。
だが、メルダは振り向きながらフラーケンに向かって駆け出し、身体の痛みをこらえ,ジャンプしながら回し蹴りを繰り出す。

「慌てるな!メルダ大尉!」
フラーケンはヘルメットを抜き、素顔をさらした。

「フラーケン大佐!」ハッとしながらメルダが口を開いた。

「相変わらず"じゃじゃ馬"だな大尉。」
「長居は無用だ。艦に戻るとしよう。」

「大佐。1人、ぶっ飛ばしたい奴がいるんだが。」

「ああ。解っている。」
「だが、ブリッジに乗り込む暇はない。」
「亜空間魚雷が一本、残ってる。大尉に撃たせてやるよ。」



UXー01に乗り込んだ三人。
急速潜航するUXー01の一番魚雷発射管に亜空間魚雷が装填された。

「ハイニ。メルダ大尉に魚雷発射スイッチを押させてやれ。」

「アイサー!」

「地獄の閻魔さまに助けて貰うんだな!ハンニバル!」メルダは魚雷発射スイッチを押した。
一番魚雷発射管から発射された亜空間魚雷は、ハンニバル艦手前、3メートルで浮上、そのままブリッジを貫(つらぬ)いた。

「大尉。潜望鏡を覗いてみな。」フラーケンに云われるまま、潜望鏡を覗くメルダ。
そのメルダの瞳から落ちる一筋の涙。

メルダは漆黒の宇宙に沈みゆくハンニバル艦を確認するんと、ユリーシャの前へ片膝をつき、頭(こうべ)を垂れた。

「ユリーシャ様。この度の失態、申し訳ありません。」

ユリーシャはしゃがみこみ、メルダの手を取り、自分の頬に擦り付け、こう告げた。



「メルダ大尉。ありがとう。」


~fin~


《ゲルバデス級ゲルバデス艦隊旗艦ゲルバデス》


艦級 ゲルバデス級
艦種 航宙戦闘母艦
全長 390m
全幅 67m
武装 280ミリ三連装陽電子カノン砲塔×4基
 (三番主砲塔は格納式)
133ミリ三連装陽電子カノン砲塔×4基
六連装ミサイル発射機×2基(艦橋後方)
遮蔽式上部砲戦甲板×2基
 280ミリ三装装陽電子ビーム砲塔×各1基
 133ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×各2基
 対空レーザー砲×各16門
遮蔽式下部砲戦甲板×2基
 133ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×各2基
搭載機 空間重爆撃機DBG88 ガルント(ダロルド)
空間格闘戦闘機DWG262 ツヴァルケ(ミランガル、ニルバレス)

最大の特徴である砲塔を装備した甲板は「遮蔽式砲戦甲板」という名称になり、上部砲戦甲板の砲の内、連装砲塔と最後尾の固定式多連装砲が三連装砲塔に変更されている。
なお、後部の2基は前部の4基より口径が大きい。また、砲戦甲板は飛行甲板上のみではなく、艦底部にも備わっている。
さらに艦尾の三連装主砲塔も格納可能となっており、非戦闘時は武装を格納して艦橋を中心とした構造物下部のシャッターを開くことで、全通式の飛行甲板となるという設定が付加されている。
アベルト・デスラー政権下での版図拡大政策の中で活況を呈したガミラスの軍事企業群による、属州惑星の統治を旗印とした特殊艦艇の試作競争の中で生み出された艦級。
戦艦と空母の特性を併せ持ち、単艦での長期作戦に適した艦。艦載機も状況に応じて艦上戦闘機や艦上攻撃機、雷撃機や偵察機などを幅広く運用することができ、汎用性は比較的高い。
情報収集や未開拓地の探査、敵の補給線荒らしなどの戦闘行動を期待されていたが、通常艦艇の約2倍という膨大な建造費と、複雑な建造工程などにより、兵器開発局からの増産許可が下りず、実戦配備された艦は極少数に留まった。



《ミランガル》

『星巡る方舟』に登場。第8警務艦隊旗艦。

艦長はネレディア・リッケ大佐

赤・白・黒の3色迷彩塗装となっており、飛行甲板先端にはガミラス数字で「28」と表記されている。

《ゲルバデス級警務艦隊旗艦ミランガル》



使用している画像はイメージです。
一部、過去にネット内に出回っていた拾い画像を使用しています。
私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199の外伝です。
二年前に書いた物語りを2202に合わせて、修正と加筆しました。

ー囚われのユリーシャー宇宙戦艦ヤマト2199外伝:後編

2018-09-04 08:35:35 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


ー囚われのユリーシャー
宇宙戦艦ヤマト2199外伝

後編



ーバラン星宙域ー


デスラーの命(めい)によって待ち伏せするゲール少将率いる30隻あまりの艦隊。
だが、その大半はヤマトの波動砲によって破壊されたバラン星内に築き上げた"ゲシュタムの門"=亜空間ゲートを管理制御するプラントの代わりに"発電"に回っていた。
これはヤマトを沈める為、デスラーが仕組んだ"罠"に誘い込む為である。



ヤマトは、このゲシュタムの門=亜空間ゲートまで、3光年の距離まで近づいていた。
そして、その後方にはハンニバル中佐に賛同し、ガミラス星から離反した艦隊がデスラーと共にと、急接近していた。



「ここから一気に亜空間ゲートを目指す。」

「ワープ準備!」航海長:島が告げる。
航海長席正面のモニターに映し出されたワープ同調調整カウンター。
紅く点滅する点が、上下に一定のリズムで刻んでゆく。

「ワープ!」島の号令と同時にワープインするヤマト。


◆◆◆◆


「ネレディア艦長!」
「離反したハンニバル艦隊を捕捉!」ミランガルレーダーオペレーターが告げて来る。

「うむ。」
「副長。艦隊に通達。」

「ハンニバル艦を拿捕する!」
「ハンニバル艦以外は沈めて構わん!」

第一級戦闘配置に移行するネレディア大佐率いる警務艦隊。



「キャプテンゲール少将の部隊と思われる艦隊を捕捉!」UXー01のレーダー士が告げて来る。



「うむ。確認する。」
「潜望深度度へ!」返答するフラーケン中佐。
亜空間深度50まで浮上したUXー01は、一時、機関を停止した。
潜望鏡を覗くフラーケンは「ニヤリ」と口角を上げ、笑みを浮かべた。

「ハイニ。亜空間魚雷、全門装填!」

「アイサー」と返答が返る。
同時にレーダー士から補足として"ヤマト"をキャッチしたと飛び込む。

「ヤマトには指一本も触れさせん!」
「緊急浮上だ!」フラーケンの命令が司令塔内に響き渡る。
UXー01のメインタンクとバラストタンク内の"ダークマターエネルギー"が放出され、緊急浮上するUXー01。

「ゲール少将!聴いているか!」
「貴官には逮捕状が出ている!」

「キャプテン!ゲール艦隊発砲!!」
「至急、中へお戻り下さい!」インカムに慌ただしく飛び込むレーダー士の声。
「うろたえるな!」
「浮上したまま、一番、二番発射せよ!!」

亜空間と通常空間スレスレを疾走する一番、二番魚雷。
ゲール艦隊デストリア級二隻の推進機にそれぞれが喰らいつく。
3メートル手前で飛び魚のように亜空間から跳ね上がり、直撃を喰らわせた。
それぞれ一本の魚雷で、二隻の重巡洋艦を轟沈に追い込んだのだ。
そこで漸(ようや)くフラーケンは、急速潜航の命令を下した。

「三番から六番をゲール艦に合わせ!エンジン音インプット!」
「続いて一番、二番に通常魚雷装填!」

「この六本の魚雷がゲール少将、貴官への最後のご褒美だ!」
「遠慮なく受けとれ!」

フラーケンは四本のエンジン音に喰らつく亜空間ホーミング魚雷を撃ち放つ。
先に轟沈に追い込んだ亜空間ホーミング魚雷攻撃を目の当たりしたゲールは、フラーケンの策略に、まんまとハマってしまう。
エンジンを緊急停止させたのだ。
だが、あとから発射された通常魚雷がゲール艦の腹を喰い破る。
四本の亜空間ホーミング魚雷で、脅しを掛け、エンジンを切ったところを間髪入れずに、通常魚雷で仕留める。
二段構えの攻撃を仕掛けたのだ。

「ビンゴッ!!」副長ハイニが奇声を上げた。

「あの攻撃を交わすにはかなりの操艦技術と鋭い感が必要だ。」

「ハイニ。残りを畳掛ける!」フラーケンがそう指示を飛ばすと同時に「ヤマト、ゲートへ突入!」の報告が飛び込む。
フラーケンは「ご武運を」と呟き、改めて攻撃命令を下した。




◆◆◆◆




時を同じくして、母星ガミラスでも、動きがあった。

「提督。残存艦を纏め、私も討伐に出撃したいと思います。」
「兄、ヴェルテの救出を兼ね総統の逮捕または……離反艦隊同様に殲滅(せんめつ)も、やむを得ず。」ヴェルテの実の弟であるガデル・タラン参謀長官は、半分以上は、嘘であるが兄を助けたい気持ちには、代わりはなかった。

「提督。貴方ほどの人を裏切るのは忍びないが、100パーセント貴方を支持出来ないのも、また事実。」ガルデは心の中で呟いた。

「参謀長官。この急場を凌ぐには仕方あるまい。」
「ユリーシャ様の無事な御帰還と、兄上共々の無事な帰還を果たしてくれ。」

「ザーベルク!」ガルデは返礼を返すと、足早に自身が用意した"ゲルバデス級"に座乗した。

100隻の内、約20隻は大破轟沈し、健在な艦艇50隻余りを従え、ガミラス星を後にした。
残り30隻は"武士の情け"で、ガミラス星本土防衛艦隊として残したのだった。


◆◆◆◆


一方、離反したハンニバル艦隊を射程圏に捉えたネレディア警務艦隊は、渓谷無しで攻撃を仕掛けた。
無論、ハンニバルいや、ゲルバデスJr.大佐率いるデスラーズ・ガルマンも、ネレディア警務艦隊を射程圏に捉えていた。
双方、一歩も引かず、火蓋は切られた。




後編②
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、過去にネット内に出回っていた拾い画像を使用しています。
私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199の外伝です。
二年前に書いた物語りを2202に合わせて、修正と加筆しました。

囚われのユリーシャー宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー

2018-09-01 22:16:51 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


囚われのユリーシャー
宇宙戦艦ヤマト2199外伝ー


ー西暦2199年ー


宇宙戦艦ヤマトは「コスモリバースシステム」を受領し、惑星イスカンダルをあとにした……

この物語りは宇宙戦艦ヤマトが惑星イスカンダルを抜錨して、わずか一週間後の出来事の物語りである。

ー大マゼラン銀河サレザー太陽系・第五惑星エピドラ宙域ー


この宙域に隠れるように一隻の艦(ふね)の姿があった。

その艦は、ガミラス親衛隊直轄の情報部隊所属の艦である。

《情報収集艦phantom.eye艦長ハンニバル》イメージ

「定時報告。『白鳥』は湖に舞い降りた。」

「繰り返す。『白鳥』は湖に舞い降りた。」

phantom.eyeから発艦した空間偵察機スマルヒから暗号通信が発信された。



※phantom.eye=亡霊の眼

ガミラス航宙艦ハイゼラード級の改良型である。
艦体は紺色に近いダークブルー。
格納庫を増設、艦載機及び艦載艇を搭載可能とした。
外観は艦体の色が違うだけで、他はハイゼラード級と、ほぼ変わらない。

《改・ハイゼラード級ファントム・アイ=phantom.eye》イメージ


艦級:ハイゼラード級

全長:392m

主機:ゲシュ=タム機関
副機:ゲシュ=ヴァール機関(無音航行用)※次元潜航用パーツは"デスラーの金庫"が開かず開発、製造が出来ない為、省かれた。

武装

330ミリ三連装陽電子カノン砲塔×2基(艦上)

330ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×1基(艦底)→※砲身付きカノンに変更された。

280ミリ二連装陽電子ビーム砲塔×4基(艦尾)

近接防御火器(単装)×32基

近接防御火器(四連装)×8基(艦上6基、艦底2基)

魚雷発射管×12門(艦首)

魚雷発射管×21門(艦底)→格納庫の増設により、8門まで減らされた。



phantom.eyeから発艦したスマルヒは、ここ数日、惑星ガミラスを監視、定時報告を行っていた。

何故、味方である、それも本国ガミラス星を監視していたのかそれは、ハンニバルに限らず前線に出ていた者、全ての者ではないが、「デスラー総統」が戦死し、「デスラー政権」が崩壊し、新たに暫定的ではあるがヒス副総統を首相とし、ガル・ディッツ提督がそれを支えているとの情報に納得が行かなかったからである。

ハンニバルはこの政権は「ガル・ディッツ提督」が企てたものに過ぎないと考えていたからである。

何故なら、この時、ハンニバルはデスラー総統の生存を情報部隊の空間通信報告で知っていたからだ。
デスラー総統は「テロン艦=ヤマト」を撃破せんと、自ら大マゼラン銀河と天の川銀河のほぼ中間点に位置するバラン星宙域を目指していたからである。
ハンニバルはこの事実を新政権を発足した者たちに突き付け、新政権は「売国奴らによる「でっち上げ」である事を暴露する。
その為の下準備をしていたのだ。

「白鳥が湖に舞い降りた。か。」

「よし。次に白鳥が現れた時が、実行の時だな。」ハンニバルはそう心の中で呟いた。

白鳥とは『ユリーシャ・イスカンダル』の事である。
ユリーシャが座乗する高速連絡船の形が、白鳥の姿に似ている事から便宜上、そう名づけられたのだ。

「機関始動。無音航行、進路:ガミラス星上空。」ハンニバルが下した。

「機関始動。無音航行、進路:ガミラス。ヨーソロ。」phantom.eye操蛇手が復唱、機関手が復唱に合わせ、機関を始動させる。
機関始動と同時に座標を入力し自動航行の操作を行う操蛇手。
静かに動き出すphantom.eye。

間髪入れずにハンニバルの命令が下る。

「亜空間遮蔽膜始動。姿を隠し接近する。」

その命令に従う第一オペレーターは亜空間遮蔽膜を展開させる。
僅か数秒で、phantom.eyeは周りの空間に同化した。

これでレーダーからも視界からも、完全に姿を隠した。

姿なき艦。正に亡霊である。


◆◆◆◆


ー惑星ガミラス上空ー


惑星ガミラス上空に到達した情報収集艦phantom.eye。

亜空間遮蔽膜を展開したまま、イスカンダル星第二皇(第三皇女)女ユリーシャ・イスカンダルが現れるのを待っていた。

「いくらとなりの惑星(ほし)だからと言って、皇女の座乗する船を随行する船(艦)も着けずに航海させるとはディッツも何を考えているのか。」

「まぁ。コチラとしては仕事がやりやすいがな。そう思わんか!?副長。」ハンニバルが投げ掛ける。

「確かに。」

ハンニバルと副長は静かに本国であるガミラス星を見つめながら、そんな会話をしていた。



《キルメネル・リンケ》

※ミレーネル・リンケのクローン
ミレーネルがセレステラと共に、ガミラス中央情報部に配属されすぐに細胞核を採取され、創られたクローンの一人。
ジレル人として育てられた訳ではない為、命令が下らない限り感応波の使用を行う事はない。
ガミラス人として教育(洗脳)され、親衛隊とデスラー総統に対し服従と忠誠を徹底的に叩き込まれている。
「自分は特殊能力を有するガミラス人」と思い込んでいる。
階級は少尉。
当時、セレステラとミレーネルは自分達のクローンが存在する事など、知らされてはいなかった。
※ハンニバルは一兵器としての活用しか考えていない。

「中佐。感応波システムの準備が整いました。」感応波システムを調整するエンジニアが告げて来る。

「うむ。わかった。」
ハンニバルは待機するよう命じた。

ツヴァルケ2機が発艦準備に入る。
甲板オペレーターが慌ただしく作業を進めている。
一機のツヴァルケが艦首側の昇降機上へ牽引車に引かれ移動を開始、もう一機のツヴァルケが艦尾側の昇降機へと牽引され、あとは何時でも発艦命令が下れば射出出来る体制をとっていた。

そんな中、監視するスマルヒから定刻通り、ユリーシャの座乗する高速連絡船「スワン」が公務の為、イスカンダル星を出航したとphantom.eyeブリッジに連絡が入る。

「リンケ少尉は直ちにスワンに向け、感応波を送射せよ!!」

「繰り返す。リンケ少尉は直ちにスワンに向け、感応波を送射せよ!!」

通信オペレーターの慌ただしいアナウンスが艦内に響き渡る。

感応波システムに横たわるリンケ少尉は、脳波を強制的にコントロールされる為、何時しか険しい表情へと変わる。

下唇を噛み締め、苦痛に耐える。

時おり、感応波システムエンジニアが出力を上げ下げし、感応数値を安定化させる。
そして、リンケ少尉の容態を監視する看護カウンセラーが、鎮静剤を何時でも投与出来るようそばで待機する。



感応波を浴びるユリーシャの随行員メルダ・ディッツ大尉。※デスラー政権崩壊後、二階級特進した。

幻影がメルダを襲う。

メルダは一瞬、意識がもうろうとするも、直ぐに意識は戻る。
が、しかし、幻影の世界へ引きずり込まれて行く……



「……まさか…ヤマト!?」

「私はまだ、ヤマトの中に居るのか!?」メルダは自分の心に問いかけるかのように、呟いた。

ふと、何かを感じたメルダは後ろを振り返った。
するとそこには、宇宙戦艦ヤマト戦術長:古代 進の姿があった。
だが、直ぐに古代の姿はメルダの前から消えてしまう。
不思議に思いメルダは古代が消えた辺りまで足を運んだ。

この不思議な現象は、ユリーシャにも襲いかかっていた。
突如、自分の目の前から姿を消したメルダの不可解な行動を目の当たりにしたユリーシャ。
そのユリーシャは何時しか、到着してまだ、数日しか経っていたない地球=極東管区中央司令部に自分が居る感覚を体感していた。



「雪!?」

「雪。雪なの?」

中央司令部に勤務する森 雪が自分に向かって「ニコリ」と笑顔を見せ、何処かへ行ってしまう。

思わず、雪のあとを追うユリーシャ。

「ハンニバル艦長。そろそろ"薬"感応波が効いてきたかと。」再び感応波エンジニアが告げて来る。

「うむ。わかった。」

「バトルコマンダーを送れ!!」
返事を返し、命令を下すハンニバル。

「ラジャー!!」部下たちの「待ってました。」との思いが伝わるような返答が返る。

「ツヴァルケ:α1(アルファ・ワン)及びアルファ・ツーは発艦せよ!!」

「繰り返す。ツヴァルケ:アルファ・ワン及びアルファ・ツーは発艦せよ!!」管制オペレーターの指示が飛ぶ。

その指示が下されると同時に飛行甲板のブラストデフレクターが起き上がり、ツヴァルケのエンジンから発せられる熱を遮る。

発艦準備を整えたツヴァルケ2機のエンジン音が高音へと変わる。

「発艦進路クリアー!!」

「アルファ・ワンより、順次発艦せよ!!」

発艦信号がレッドの点滅からグリーンの点滅へと変わり、最大出力へ足したツヴァルケ:アルファ・ワンが勢いよく飛び出す。

アルファ・ワンの発進後、それに続くアルファ・ツー。

2機のツヴァルケは牽引ワイヤーを「スワン」へ向け、射出。
ツヴァルケをイスカンダル星間シャトル(スワン)に固定、エアロック室から内部へ突入するバトルコマンダー。




◆◆◆◆


その頃・・・

惑星イスカンダルと大マゼラン銀河外縁部との、ほぼ中間地点を航行する宇宙戦艦ヤマト。

「次のワープで大マゼラン銀河外縁部だ。」

「なぁ。古代!?」

「ん!?なんだよ。島。」

「俺たちはほんとうに、ガミラスと和解出来たんだろうか?」

「……今は信じるしかない。」

「にしても、メルダのオヤジさんが、まさか提督だとは思わなかったよ。」

「あぁ。俺もだよ。」

この時、ヤマトのクルーたちは、まさかガミラスで一悶着(ひともんちゃく)起きている事など想像すらしていなかった。
ましてや、「ガトランティス」を名乗る戦闘民族との遭遇や、「デスラー総統」との死闘を繰り広げる等とは、夢にも思っていなかった・・・


◆◆◆◆


ーイスカンダル星間シャトル:スワン内ー

星間シャトル内に侵入したバトルコマンダーらは、複製声音変換器を使いメルダを誘う。

「メルダ。メルダこっちよ。」

何処からともなく聞こえて来る声。

「ユリーシャ様!?」

メルダは、とにかくユリーシャの声へのする方へと、足を運んだ。
だが、それは巧妙に仕組まれた罠であった。
背後からいきなり襲われたのである。

「残念だったな。ディッツのお嬢さん。そっちにはユリーシャは、いないよ。」

「貴様等ッ!!」メルダは抵抗を試みる。

「おっと!!騒ぐなよ。」

「大人しくしていて貰おうか。」

「さもなくば、大切なユリーシャの命は無いと思え。」

拘束されるメルダ・ディッツ。

「よし。あとはユリーシャを捕らえれば任務完了だな。」

「フッフッフッ。」

不適に笑うバトルコマンダーの二人。

一人はメルダを見張り、もう一人がユリーシャを捕らえる為、船内奥へと向かった。


「雪。雪、待って。」雪の幻影を追うユリーシャ。

それに答える雪の幻影。
「『芹沢軍務局長』が呼んでるのよ。」

「急がないと、あの方は気が短いのよ。」

「この先に、司令部の車を用意してあるから、それに乗りましょ。」

その言葉にユリーシャは『あの事故』を思い出したのだ。


「雪!!駄目よ!!」

「その車に乗っては駄目よ!!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーッ!!」

思わず悲鳴を上げるユリーシャ。

だが、それは全て幻影であった。

「ハイ。お疲れさま。」

「大人しくして貰いましょうかね。ユリーシャさ・ま。」

「メルダを助けたいでしょ!?」と声を掛けながら姿を現すバトルコマンダー。



卑劣な行為に屈する事に成るが、メルダに危険が及んでしまう事を避けるには、大人しく従うしかなかった。
ユリーシャとメルダを捕らえたバトルコマンダーは、それぞれを2機のツヴァルケに分乗させ、phantom.eyeへ帰還した。



同時にキルメネル・リンケの感応波を停止させ、看護カウンセラーはリンケに鎮静剤を打ち眠らせた。
メルダ、ユリーシャを捕らえたハンニバルは、帝星ガミラス:総統府の通信回線をはじめ、ガミラス星全域のあらゆるスクリーンやモニター回線を掌握、強制的に通信回線を開いた。

映像通信が繋がるとハンニバルは、艦内に用意された演台に上がり、演説を始めた。

「帝星ガミラス総統府ならびにガミラス臣民の諸君。」

「我々は帝星ガミラス総統府に巣くう、売国奴たちに宣戦布告をする者である。」

突如、街頭やデスラー総統の演説やドメル将軍の国葬等が行われた、中央「バレラス」の巨大スクリーンに映し出される"ガミラス親衛隊女衛士(じょえいし)"を従えたハンニバル中佐の姿と台詞(ことば)に総統府の閣僚や臣民たちは動揺と驚きを隠せなかった。

「ガミラス臣民よ。騙されてはならぬ!!」

「デスラー総統閣下は生きておられる。」

「デスラー総統閣下を亡きものにし、このガミラス星を乗っ取った売国奴の者たちに騙されてはならぬ!!」

「現暫定政権はこの二人「レドフ・ヒス元副総統、航宙艦隊司令:ガル・ディッツ提督の私利私欲の塊、売国奴たちによって創られた政権である。」

「コレをみれば一目瞭然!!」

「この映像は我が同志が先日、大マゼラン銀河外縁部付近で捉えた映像。」

そこに映し出された映像には、紛れもなくデウスーラ2世が大マゼラン銀河を航行する姿であった。


「デスラー総統閣下座乗の"デウスーラ2世"である。」

「総統閣下は自ら、あの我がガミラスの英雄:ドメル将軍の仇を討つ為、テロン=地球の艦(ふね)ヤマトを追っておられるのだ!!」

「そして、何を隠そう。今、この場でイスカンダル皇女:ユリーシャ様が宣言なさって下さる!!」

「今まで、わたくしは二人の売国奴たちに囚われ、偽りの政権に荷担させられていました。」

「ですが、今日、ここに居るハンニバル中佐と女衛士たちにの活躍で解放されました。」

「……今、わたくしは、宣言します。」

「ガーレ。デスラー……」

「ガーレ。デスラー!!」

「デスラー総統こそが真の指導者。」

その言葉を告げると、ユリーシャはブリッジの奥へと引き下がった。

随行員であるメルダ・ディッツもまた、宣言をさせられた。

「ガーレ。デスラー!!」

「ガーレ。デスラー!!」

「デスラー総統閣下。お導き下さい。」



「よし。二人を監禁しておけ。」と、ハンニバルは部下に指で合図を送った。

「これで、分かって頂けたと思う。」

「我が同志よ!!今こそ立ち上がる時!!」

「我らと共に、私利私欲の売国奴たちに裁きの鉄槌を下ろす、我らに力を貸して欲しい!!」

「我らは『デスラーズ・ガルマン』今、ここに宣戦布告を宣言する。」

「売国奴たちに告ぐ!!今から三時間待つ。我ら同志を全て解放せよ!!」


◆◆◆◆


ー帝星ガミラス旧総統府バレラス



「バッ!!バカなッ!!」

「なんと言う事だ!!」

ガル・ディッツ提督は握り締めた拳と声を震わせ、激怒した。

「我が娘が随行していながら……」

「ユリーシャ様を御守り出来ないとは……くっ!!」

「提督。早々に星内各地でデモが発生しています。」

「まだ、暴動に発展する気配は有りませんが、鎮圧を……。」

「いや、鎮圧はせんでよし。」

ガルデ・タラン参謀長官は、そうガル・ディッツ提督に告げるが、ガルはこれを「よし。」とはしなかった。

それよりも、軍部、臣民問わず、自分達に不満や反感又は親衛隊女衛士に賛同する者たちに対し、ガミラス星からの退去するよう呼びかけるよう、ヒス首相へ進言、容認された事により、ガミラス星全域に発令を出した。

空襲警報のような夥(おびただしい)サイレンが鳴り響き、オペレーターによるアナウンスが響き渡る。

「ガミラス軍及び臣民に通達!!」

「新政権に不満等ある者は、三時間以内に"帝星ガミラス"より、速やかに退去せよ。」

「尚、退去無き場合、反逆者と判断し、拘束する。」

「繰り返す。新政権に不満等ある者は三時間以内に"帝星ガミラス"より、速やかに退去せよ。」

「尚、退去無き場合、反逆者と判断し、拘束する。」

このアナウンス後、ガミラス星全域にて行われていたデモは、鎮静化、不満等を持つガミラス軍人等と共に軍港へと押しかけた。

ガミラス星脱出準備が追いつかない中、臣民を含め怒涛に押し寄せる人の波に、一部、軍人を除き、ガミラス星脱出が出来ずにいた。
刻一刻と三時間というタイムリミットが迫る。

「よし。全保安隊は軍港閉鎖の準備を進めろ。」

ガル・ディッツ提督はさらに新たな命令を下した。
そんな中、オペレーターから慌ただしくイスカンダル女王スターシャ・イスカンダルより、"ホットライン"である事を告げられる。



「率直にお聞きします。ヒス首相。」

「先程のユリーシャの演説、拝見しました。」

「ガミラスで何が起きているのです?」

ヒス首相は方膝を着き、深々と頭(こうべ)ヲタ芸垂れ、説明をはじめた。

「スターシャ陛下。真に申し訳ございません。」

「ユリーシャ様の座乗する星間シャトルがデスラー派を名乗る者に奪取されてしまい、ユリーシャ様は囚われたものと。」

「……。」

スターシャは言葉を失っていた。

その姿を見たヒスは、再び頭を深々と下げた。

「現在、ディッツ提督を指揮官とするユリーシャ様、救出を行うべく準備を進めております。」

「……わかりました。一刻も早い救出を。」

そう告げるとスターシャはホットラインを切り、王座に倒れ込むように腰を下ろした。

ヒス首相が取り繕っている間に、ガルは次の一手を進めていた。

「オペレーター。フラーケン中佐="猟犬"を呼び出せ。」
フラーケン中佐との回線が繋がり、ガルはフラーケンに命令を下した。

「中佐。貴様に"狩りを"依頼したい。」

「"狩り"ですか。」スクリーン越しにガル・ディッツ提督の命令を受諾したフラーケン。
ディッツ提督は大マゼラン銀河外縁部へフラーケン中佐率いる次元潜航艦UXー01を派遣した。



「タラン参謀長官。ガミラス星を脱出した艦艇の数は?」

「バルグレイ級二隻、メルトリア級3隻、クリピテラ級24隻、ハイゼラード級1隻、これは"シャングリ・ラー"元情報相の者たちです。」

「それと、ゲルバデスの息子の率いるゲルバデス級1隻が、離反、親衛隊女衛士が賛同致しました。」

「ゲルバデスJr.大佐か……。」

「大佐のお父上は立派な将だったからな。まさか息子が離反するとは……。」

「やむを得んか。」

「しかし、予想より、多かったな。軍港に閉じ込めた者どもを含めれば、さらにこの三倍近いという事だな。」

「……軍港に閉じ込めた者どもには、24時間後に解放すると伝えよ。」

「オペレーター。警務艦隊のネレディア・リッケ大佐に連絡を取れ。」

「ザーベルク。」


◆◆◆◆




「しかしディッツ提督も、難しい注文をしてくるもんだな。」

「離反した艦隊と遭遇しても、旗艦を「沈めてはならん。と来たもんだ。」

「まだ、捜索を兼ねたヤマトとの停戦を伝える任務が残っていると言うのに。」

ネレディアは心の中で、そう呟いていた……


◆◆◆◆



「で、キャプテン。俺たちは何処へ向かうんで?」

「総統(アベルト・デスラー)に逮捕命令が出たんでな。」

「そいつぁいいや。」

「ヤーブ。機関をめーいっぱい上げろ!!」

次元潜航艦UXー01副長のゴル・ハイニは艦長(キャプテン)であるヴォルフ・フラーケンに行き先を質問すると、新入りの機関士「ヤーブ」に速力を最大まで上げるよう命じた。

一方、帝星ガミラス上空では「帝星ガミラス航宙残存艦隊」と「デスラーズ・ガルマン」を名乗る艦隊とのにらみ合いが続き、一発即発の状況であった。

だが、ユリーシャを囚われた帝星ガミラスにとっては、不利な状況である。

歯痒さだけが先行する。


◆◆◆◆


ー情報収集艦phantom.eye営倉ー


「おやおや、怯えているのかな!?」バトルコマンダーの1人がメルダの髪を鷲掴みにすると、前屈みのメルダの顔を「グィッ」と上げた。

「ディッツのお・嬢・さ・ん
。」

「もう、お止めなさい!!」

「おっと。動くなよ。このディッツの娘の命が無いぞ!!」

メルダに対し暴行を加える親衛隊女衛士たちを、止めさせようとするユリーシャ。

「"親の七光り"のくせして生意気なのでね。教育してあげているのですよ。」

ユリーシャの静止も聞かず、メルダに対する暴行はつづけられた。

「もう……もう、やめろ…」

「ん!?」

「人に頼む時はキチンと頼まないとねぇ。」

さらに女衛士たちのに蹴りがメルダの腹部に食い込む。

「ボズッ!」と
鈍い音がなる。メルダは苦痛の表情から脅える表情へと変わり、吐血した。

「お願いだ。……もう、やめてくれて……」

「だからぁ。お願いする言葉はキチンとしないと。」

「服従をお誓います。お願いします。もう蹴るのは止めて下さい。」コレをキチンと手を着いてお願いしないと、止めるわけがないッ!!「ボズッ!」「ボズッ!」

「ふ…服従をお誓います……もう、蹴るのを……止めて下さい。お願いします……」

土下座しながらメルダは女衛士に頼んだ。

「フッフッフッ。よく言えました。」

「あたしはねぇ~。二等臣民で何時も顎で使われて来たんだよ!今以上に屈辱を味わされてねッ!」コマンダーは許しても、ハンニバルはもの足りさを感じていた。

「コマンダー。コイツの足を開かせろ!」
「前屈みならないようにもう1人は、後ろから押さえろ!」
「あたしはまだ気が済んだわけじゃないんでねッ!」
ハンニバルはメルダの局部(股間)をおもいっきり蹴り上げる。
二発、三発と蹴り上げる。

「お……お願いします。もう一度土下座します。」
「もう蹴るのは、許して下さい。」メルダは嗚咽しながらハンニバルに許しを請う。
ハンニバルは許さない。
同じ場所を再び蹴り上げる。
メルダのスーツパンツに染みが滲む。
股間の辺りからじわりじわりと滲みが拡がる。

「おやおや、七光のお嬢様が、お漏らしとは情けない。」

「アハハハハハッ!」高笑いするハンニバル。

「仕方ないなぁ~。」
「全裸で土下座したら、許してやる。」

メルダは云われた通り、全裸で土下座をした。

「お漏らしまでしてしまい申し訳ございません。」
「服従を誓います。許して下さい。」

ハンニバルは、土下座をして許しを請う、メルダを見下ろしながら回りを一周した。

「許してあ・げ・るッ!!」「ボズッ!」



吐血が続くメルダを嘲笑い、ブリッジに向かうハンニバルとコマンダー。
ユリーシャの目には涙が溢れていた。

「ごめんなさい。メルダ。」

「ゆ……ユリーシャ様……私なら……平気です……」



ー情報収集艦ブリッジー


「ハンニバル艦長。ゲルバデスJr.大佐がお見えです。」オペレーターが告げた。

「これは、これは、お出迎えが出来ず申し訳ございません。」

「うむ。」

「デスラー総統が生きておられるとは本当か?」

「ハイ。本当でございます。」

「……。」

「これより、我がゲルバデス艦を旗艦とし、デスラー総統のあとを追う!!」

「ザーベルク!!」ハンニバルたちの返答が響き渡る。

そう告げるとゲルバデスJr.大佐は旗艦であるゲルバデス艦へと戻り、指揮をとった。

「これより、我がゲルバデス艦が旗艦である。艦隊はデスラー総統と合流する!!」

「全艦!!ゲシュタムジャンプの用意を!!」

「ジャンプ準備が出来次第、帝星ガミラス艦隊へ発砲、その後、ジャンプせよ!!」

こうして"帝星ガミラス残存艦隊"とゲルバデス艦を旗艦とする『デスラーズ・ガルマンガミラス』を名乗る艦隊戦の火蓋は切られた。

「我々の起源は『ガルマン』である。デスラー総統を元首とするデスラーズ・ガルマンガミラス大帝国を築き、この宇宙にその名を轟かせる!!」

「ゲルバデス大佐。全艦、ゲシュタムジャンプの準備及び第一次戦闘準備が整いました!!」ゲルバデスのオペレーターが告げる。

「うむ。全艦!!一斉射撃、撃て!!」

デスラーズ・ガルマンガミラス艦隊の主砲、ミサイル、空間魚雷が一斉に火を吹く。
無抵抗のまま、次々と爆沈、轟沈する帝星ガミラス残存艦隊。
デスラーズ・ガルマンガミラス艦隊は第一次攻撃を終えると、瞬時に姿を消した。


◆◆◆◆




「雪ッ……。」

二つの幻影が交差する・・・

「玲……。」



「ハッ!!」とする雪と玲。

「どうしたの森君?」

「あっ……古代君……。何でも無いわ。」



「古代さん!!……てか、雪さんもいっしょか。」



「どうした?山本。」

「いや、別に……」

「非番なら一緒にどうだ!?」



「今、確かにユリーシャの……」



「今、確かにメルダの……」



雪と玲はそう感じながらも、「まさかね。」と思う気持ちを優先させ、玲は渋々であったが、三人で一時の休憩を過ごした。


後編
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、過去にネット内に出回っていた拾い画像を使用しています。
私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199の外伝です。
二年前に書いた物語りを2202に合わせて、修正と加筆しました。