
ー希望の後継者サーシアー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第十話
暗黒星団帝国艦隊艦隊司令デーダーは、残存艦艇にガミラス艦隊を包囲させると、一隻づつ照準を合わせ、砲撃を加えた。
反撃するガミラス艦艇の主武装である陽電子ビームは、直撃するが全てが弾かれていた。
一隻、一隻と数を減らすガミラス艦隊。
「フッハッハッハッハッ!」
「まるで紙くずが燃えるように、脆い!脆過ぎるぞガミラス!」
総司令デーダーの笑い声がブリッジに響き渡る中、慌ただしくレーダー士が告げて来る。
「デーダー艦隊司令!」
「何事か!」
「下方、真下から超高エネルギー反応ッ!!」
「数値からして、波動砲クラス!!」
「何ッ!!」
デーダーは奥歯をギリギリと音を鳴らし、拳を握り締めた。

「タラン参謀長!艦隊を散開させろ!」
「散開した艦隊は、高見の見物する奴らのみに仕掛けさせろ!」
「戦闘母艦群の艦載機を全機、発艦させよ!」
デスラー砲の直撃を真下から喰らうプレアデスだが、無傷の姿を見せつけた。

「そんな事だろうとは思ったが、これ程までに効き目が無いとはな。」
「まぁ。ここまでは想定内。」
「想定外を見せてやろう!」
「デスラー砲艦旗艦は瞬間物質転送波を送射せよ!」
「発艦した艦載機隊は、転送波エリアへ急行せよ!」
「転送先は既に入力済み。」
「奴のウィークポイントはココだ!」

大きく開口された艦載機発着口。
アベルトは、ここがウィークポイントだと睨んでいた。
ビーム攻撃やミサイル、魚雷攻撃に波動砲をも遮断するバリア的な防御シールドを張り巡らせていると、これまでの戦闘データから推測した。
ならば、ここから内部へ突入し、攻撃を仕掛ける事が、最も効果的であると。
そして、アベルトはこの開口部までの距離にプラス10メートル先を転送先にデータを入力していたのだ。
イメージ曲デスラー強襲「新たなる旅立ち」ver.
見事、アベルトの推測は的中、ガミラス艦載機隊による転送攻撃で、腹腸(はらわた)を喰われるプレアデス艦は内部から崩壊した。
体制を立て直したアベルト率いるガミラス残存艦隊は、一気に反撃に打って出る。
今まで、手出し無用と命じられていた事もあり、暗黒星団帝国軍デーダー艦隊は体制を立て直す暇もなく、漆黒の宇宙に沈んでゆく。
◆◆◆◆
時を同じくして遮蔽シールドを覆うサーダ座乗のインペリアル・プレアデスが動き出す。
「艦長。そろそろ、この星から離脱する。」
「ヤマトを追い越せ。」
「ヤマトに最後の選択をさせる。」
「サーダ様!」同時に慌ただしくオペレーターから呼ばれるサーダ。
だが、サーダは慌てる事なく、返事を返した。
報告によれば、偵察に赴いていいた偵察部隊から、「地球艦隊が出撃、当該宙域に向かっている。」との報告であった。
「やはりな。」
「構うことは無い。ヤマトと合流したところを少し、遊んでやればいい。」
「とにかく、今はヤマトを追い越せ。」
こうして、本格的に動きを見せはじめたサーダ、そしてインペリアル・プレアデス。
そんな中、、宇宙戦艦ヤマトは護衛するシュヘラザード共に、木星の衛星で、今は地球連邦の基地があるガニメデに到着した。

「…という訳です。司令。」
「地球への危機が迫る中、我々にこうして救いの手を差しのべるイスカンダルの船を護衛し、一度、地球へ帰還したいと考えております。」
「……うむ。」
「良かろう。ここから地球まではさほどの距離では無いが、護衛に冬月を随行させる。」
「ありがとうございます。」古代は、感謝の気持ちも込め、敬礼をした。
こうして、宇宙戦艦ヤマトは護衛駆逐艦:冬月と共に、ガニメデ補給基地をあとにした。
ヤマトがガニメデ補給基地を飛び立ち、地球へのコース修正を見届けるかのように、地球から出撃した地球防衛軍第七艦隊と、すれ違う。
発光信号による互いを讃える通信が交わされた。
「発・宇宙戦艦ヤマト」
「宛・地球連邦防衛軍第七艦隊旗艦:エンタープライズ」
「当該宙域デノ・良き・報告ヲ期待スル。」
「ワレ・キカン等ノ健闘ヲ祈ル。」
第十一話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。