宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー
第二章:第二話◇太陽系のイスカンダル◇
メルダは不思議な感覚に襲われた。
「ブワァン。」と周りの景色が歪んだ。
そうかと思えば「フワッ。」と宙に浮かんだような感覚に襲われた。
「…なっ、何?」と思うメルダに話しかけるものが感じられた。
頭の中と云うか心の中に直接、話しかけて来る。
見覚えのある顔が思い浮かぶ。
「…あなた……ミーゼラ・セレステラ…。」
「幻覚?…思い出?……貴女に対する思い出……?」
「メルダさん。どちらでもないわ。」
「驚かして、ごめんなさい。」
「何も言葉に出さなくても大丈夫よ。貴女の心と会話出来るから。」
「あまり、驚いたりすると周りの人にバレるわ。」
「奇妙かも知れないけど、我慢してね。総統から命令を実行してるに過ぎないから。」
メルダは言葉に出さず頷くだけに留めた。
「総統から…。」メルダが質問しようとしたと同時にセシルの憑依は完了した。
「ごめんなさいね。メルダ、貴女の身体と心は借りるわね。」
メルダは完全にセシル・マーリャに憑依された。
「総統。セシルの憑依、完了しました。」
「何時でも操れます。」
「うむ。」
「早速、思念体=ゴースト体が観ているものを映し出せ。」
衛士は空間モニタにセシル=メルダの観たまんまを映し出した。
「……ん!?なるほど。」アベルトは納得したようだった。
「あのメルダの着ている服、あれはサーシャの服だな。」
「メルダは変装してるのか。ならばスターシヤもサーシャも無事だという事だな。」
「それと、同じ部屋に居るあの女が我々を強襲した黒幕か。」
「タラン。宮殿の裏側の海に着水せよ。このまま、イスカンダルがジャンプアウトする場所まで運んで貰う。」空間モニタを観ながら命じた。
同じ頃_。
地球を飛び立ち、火星と木星のほぼ中間点を航行する宇宙戦艦ヤマト。
そのヤマトはアステロイドベルト宙域に到達した。
この宙域は国連宇宙軍創立以来、艦隊訓練や開発兵器などのテスト場として、演習の場所とされて来た。
今回、宇宙戦艦ヤマトとクルーたちの訓練がこの宙域で行われていた。
古代の艦長としての"見極め"も同時に行われる。
小惑星郡を敵に見立ての訓練が開始された。
「ヤマト前方12時の方向より敵艦隊!」
「距離32.000!艦艇総数50!」
「艦載機を発艦したもよう!総数20機!」コスモレーダーを見張る森雪が告げて来る。
「うむ。全艦。第一級戦闘配置!」
「砲雷撃長以下、CICクルーは移動せよ!」
「了解!」
「相原、太田、桐生はサポートに入れ!」
「ビシュ!」乗馬用鞭が唸った。
「遅い!古代艦長。サポートクルーは戦闘配置と同時に第一艦橋へ呼んでおかないとね。」軽く右の口角を上げ、監査官を勤める鹿嶋さとみ准将が注意を促した。
「ハッ!申し訳ありません。」
「此方、CIC!敵艦隊との距離20.000!」
「うむ。コスモタイガー隊を発艦させ、砲雷撃戦よーい!」
「CIC、了解。」
「此方、第二攻撃機隊隊長:山本!敵機を捕捉!」
「これより、攻撃に入る!」
「此方、ヤマト。了解した。」
◆
「CICより、各砲塔へ艦砲射撃よーい!」
「コスモタイガー隊の離脱と同時に撃て!」
「第一、第二主砲、射撃準備よし!」
「第一、第二副砲射撃準備よし!」
「第三主砲射撃準備よし!」
「バルスレーザー砲射撃準備よし!」
「敵艦艦載機と航空隊の交戦を確認!」
「敵艦隊との距離10.800!」
「敵、ミサイル郡、急接近!」
「左舷に二発(ふたはつ)直撃!」
「ダメージコントロール急げ!」
「第一、第二主砲、射撃開始!」
「ん!?」
「艦橋より、CICへ!」
「まだ、航空隊が離脱していない!撃ち方止め!」
目まぐるしいくらいに指示、命令が飛び交う。
これまでとは違うやり方に古代をはじめとするクルーは、何処かぎこちなくミスを連発した。
「古代艦長。訓練を中止。三分後、長官室へ。」
「了解。」
◆
臨時に艦橋後部の展望室を長官室として使用している。
古代は船務長に引き継ぎを済ませ、長官室へ足を運んだ。
「古代艦長。味方を殺す気ですか?」
「あの第二攻撃機の隊長はエースパイロットで、瞬時の判断と的確な指示で幸い航空隊には被害が出ませんでしたが。」
「もしかして、艦長は、火星出身の彼女が嫌いですか?」
「いえ、それはありません。」
「そうですか?貴方の目の前の口うるさ女も火星出身。煙たいのでは?」
「お言葉ですが、自分はそんな考えを今まで持っていた事はありません!」
「ムッ。」とした顔を覗かせ、きっぱりと否定した。
「あら、それなら良いわ。」
「でもね。連帯感を強化が課題ね。」
「古代艦長。腕立て伏せを三回、して頂くわ。」
「三回ですか?」
「そう。三回。私が数えます。」
「1で、肘を曲げ、2で、肘を伸ばし、3でまた、肘を曲げる。」
「ほら、早く腕立て伏せの態勢を取りなさい。」
古代は腕立て伏せの態勢を取り、カウントを待った。
30秒が過ぎたくらいで漸くカウントが始まった。
「1。」古代は肘を曲げたまま次のカウントを待った。
額に汗が滲む。
腕が「プルプル」と震えはじめた。
しかめる顔を覗かせ、鹿嶋の顔を見上げた。
「あら、苦しそうね。」
「良いわ。2、3。」古代はカウントに合わせ、腕立て伏せをやり遂げたが少しの間、立ち上がる事が出来なかった。
「だらしないわね。艦長殿。」と、へたばる古代の顎に靴先を当てた。
その時であった第一艦橋から緊急コールが飛び込んだ。
「……艦長!これを!」
古代はその言葉が終わる前にメインモニタを見詰めた_。
「こんなにワープアウト反応の数値が高いのははじめてです!」
「数値からして惑星クラス!」
「…あり得ません!」
◆
第二章:第三話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
もしかしたら、永遠にまでを含めた「起承転結」の四話(四章)に構成されるのかもと思い書いてみました。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
もしかしたら、永遠にまでを含めた「起承転結」の四話(四章)に構成されるのかもと思い書いてみました。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。