様々な分野でグローバルに活躍する「普通の人々」が体験を語り、次世代の普通の人々のお役に立てればと思っているサイトです。

日本在住歴約40年のRon McFarlandと外資系勤務が長い齋藤信幸が、それぞれの海外体験を語ります。

グローバル人材育成、国と教育機関の取り組み(3)~教育機関の取り組み

2013-05-17 01:34:09 | グローバル人材育成
(1)大学の取り組み
 
国際的に誇れる大学教育システムの確立と高等教育の国際展開の推進が図られる中、グローバル化時代に相応しい教育内容や教育方法を取り入れた大学・学部も創設され、企業からも注目されるとともに、学生からの人気も高くなっている。ここでは、代表的な2校を紹介する。

①国際教養大学
秋田の県立大学で、英語力を徹底的に鍛え、基盤教育としてキャリア教育、異文化コミュニケーション、国際関係論、宗教や倫理、哲学を学び、自己のアイデンティティを理解するために日本の歴史・宗教・文学・政治経済・外交政策・ビジネス文化等を学習する。その上で、1年間の海外留学に行き、異文化を体感し、語学力の向上を狙う。帰国後に、経済学や会計学、貿易論、マーケティング理論や法律などのビジネス知識を蓄え、さらに、地域研究、国際法、国際協力・関係論等を学習し、グローバルな知識に磨きをかける。

②立命館アジア太平洋大学
「自由・平和・ヒューマニズム」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を基本理念に、世界各国・地域からの留学生とともに学び、生活し、相互の文化や習慣を理解し合い、人類共通の目標を目指す知的創造の場として2000年、大分県別府市に設立された。現在、世界80カ国・地域からの留学生2,463名と国内学生3,092名の合計5,555名が在籍している。アジア太平洋地域の持続的発展と共生に貢献できる人材を育成するアジア太平洋学部とグローバル化する企業や組織における経営上の諸問題の解決のために活躍する職業倫理を備えた人材を育成する国際経営学部から成る。

(2)初等・中等教育での取り組み
平成23年度の新学習指導要領実施による第5・第6学年の「外国語活動」必修化等の小中高を通じた英語教育の抜本的な充実・強化を図るとともに、児童・生徒の国内外における異文化体験や青少年交流等の機会を充実させる。特に、高校生の海外留学を大幅に促進するための環境整備を行うとしている。具体的には、18歳時点までに1年間以上の留学ないし在外経験を有する者を3万人規模に増加させることを目指す。また、教員の資質・能力の向上、外国人教員の採用促進も行う。さらに、大学入試等の初等・中等教育と大学教育の接続の改善・充実も図る。
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グローバル人材育成、国と教育機関の取り組み(2)~文部科学省の取り組み

2013-05-17 01:32:04 | グローバル人材育成
① 留学生30万人計画
 
 政府は、内なる国際化を進めるために、「留学生30万人計画」に基づき、外国人留学生の確保に取り組んできた。つまり留学生とともに大学で学ぶことにより、日本の学生が異文化コミュニケーションスキル等を修得するとともに、留学生には日本文化に直接触れてもらい日本理解を深めてもらおうとするものである。(2012年5月1日現在の留学生数は、137,756人)

② 産学官によるグローバル人材戦略
 
 文部科学省は先の「グローバル人材育成推進会議」の報告書にて、グローバル人材確保が急務であるとして「産学官によるグローバル人材の育成のための戦略」を提言している。

 その基本的な考え方として、「グローバル人材を育成するためには、大学自体が世界に開かれた大学となり、その上で日本人学生の海外留学や外国人留学生の受入れのための体制を整備」する必要があるとしている。また、産学官が連携し、「社会全体で高等教育の国際化とグローバル人材の育成に取り組み、教育環境や就職環境などの社会環境そのものをグローバル化することが重要である」と説いている。

 その推進方法として、「先導的な機能別拠点づくりを行い、当該拠点のネットワークを構築しつつ、その成果を全体にフィードバックし、各大学において機能別に発展させるような仕組みを構築すること」を目指して以下の戦略ビジョンをまとめ、詳述は省くが、具体的な施策として大学、企業、国の役割を求めている。

・大学の教育力を磨きつつ世界展開力を強化
・世界的な学習フィールドでの日本人学生の育成
・日本の高等教育の世界への発信
・グローバル人材育成に合った社会環境の変革

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グローバル人材育成、国と教育機関の取り組み(1)~経済産業省の取り組み

2013-05-17 01:28:39 | グローバル人材育成
 政府はグローバル人材確保の必要性の現状を踏まえ、グローバル人材の育成・活用の仕組みの構築を目指して、2011年5月「グローバル人材育成推進会議」を設置し、6月に政府のグローバル人材施策を「グローバル人材育成推進会議・中間まとめ」として取り纏め、2012年6月に同「審議まとめ」を発表している。

 これらの資料の中では、
・留学・在外経験を有する者を同一年齢層で「11 万人規模」に増加させること
・大学のTOEFL・TOEIC の成績等の公表、特色あるカリキュラムや授業方法、9 月入学やセメスター制等を促進すること
・企業の雇用慣行としての「卒後3 年以内の新卒扱い」「通年採用」「Gap Year」等を普及・促進することなど、政府のグローバル人材の育成・活用に向けた基本的な問題意識や諸課題への対応施策を提言している。

(1)経済産業省の取り組み

 上記の現状を踏まえ、経済産業省では以下の取り組みを行っている。
・企業の人事マネジメントの国際化に向けた取り組み
・大学におけるグローバル人材育成のための指標策定
・産学のリーダーが具体的アクションに向けて対話する場として産学協働人財円卓会議の設置・開催
・海外インターンシップの促進

 また、中小企業の海外展開を支援するため2010 年に「中小企業海外展開支援会議」を立ち上げ、金融庁、外務省、農林水産省、政府関係団体、中小企業団体、金融機関等の関係機関と連携し、各地方経済産業局を中心に海外展開支援を行う体制を整備し、2011 年には情報収集・提供、マーケティング、人材育成・確保、資金調達、貿易投資環境の改善を柱として、「中小企業海外展開支援大綱」を取りまとめた。

 同会議では、中小企業の更なる海外展開ニーズの高まりを受け、2012 年に「中小企業海外展開支援大綱」を改訂し、日本弁護士連合会、国際協力機構、海外貿易開発協会、海外技術者研修協会を新たな参加者とし、オール・ジャパンでの支援体制を強化している。

 また、中小企業庁は「中小企業海外展開支援施策集」を作成し、平成25年1月に発表している。海外展開の段階に応じた施策が網羅されており、グローバル人材の育成に関しては、「事業準備段階」の項目「海外展開に向けてグローバル人材を育成・確保」にて「海外展開事業管理者研修」、「グローバル人材育成インターンシップ派遣事業」「グローバル人材の採用」等を列挙している。また、「事業開始・拡大段階」の項目「現地子会社の人材育成・確保」の施策として、「海外展開を支援する受入研修」「海外展開を支援する海外研修」「海外展開を支援する専門家派遣」をあげている。

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中小企業の社長はもっと「外」に出よう!

2013-05-01 01:09:58 | グローバル人材育成
このところグローバル化関連のニュースを見ない日はないが、中小企業のグローバル化への熱はそれほどホットではない。

「2013年の中小企業の経営施策」(産業能率大学)でも「グローバル化への対応」を13年の経営施策にあげている企業は3.9%と少なく、昨年の7.3%よりも減っている。

ちなみに「市場シュアの拡大」は35.0%、「新規事業への進出」が28.7%である。

別の資料によるとグローバル化しない理由として一番多いのは「その必要性を感じない」である。

縮小する市場の中でどうビジネスを伸ばしていくのであろうか。シェアを拡大してもパイが小さくなれば売り上げは増えないかもしれない。

経営陣の現状再認識と危機感の醸成が必要である。

グローバル化の狙いは、海外需要の取り込みであり、新市場対応による国内事業の活性化・雇用の拡大、そしてイノベーションである。

先の資料でグローバル化対応への関心がきわめて低かった土木・建築業や医療・福祉業でも海外を訪問し、マーケティングをすればビジネスチャンスを必ず見つけることができる。

新興国の道路を歩いてみよう。舗装の出来具合、タイルの剥がれ、日本企業ならもっとうまくできる。「おもてなしの心」で対応する日本の福祉事業のノウハウを、高齢化する中国や韓国、タイなどに売れないか。

「海外に行く度に、日本企業ならもっとうまくできるのに」と思うことが沢山見つかります。

どの分野でも日本と新興国の間の技術レベルやサービスの質のギャップは大きい。

それを利用できるのはいつですか。「今でしょう」

まずは、社長が外に出ることです。内向きなのは若者だけではない。
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『企業診断ニュース』に連載継続中

2013-05-01 00:49:07 | お知らせ
一般社団法人 中小企業診断協会(J-SMECA)の月刊誌『企業診断ニュース』の4月号から、「急がれる中小企業のグローバル化と人材育成」の連載を始めました。初回の内容は「グローバル化の必要性とグローバル人材のスキル」、2回目は「グローバル人材の育成・活用の現状」です。

ご興味のある方はお知らせください。コピーをお送りいたします。
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