公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

多すぎるおけいこ事は考えない子をつくる

2013-02-04 | 現在の教室運営
幼稚園のころからの生徒のAさん。
学校での実力テストの結果が今一つだったので持ってこさせたテスト問題と当人の解答をチェックしました。愕然としたことに・・・・・・

まず点検した国語で、単語の意味が分からず、不正解となっている問題がいくつもあったのです。
例えば「いたわる」「とりなす」「とりあわない」というような言葉の意味が分からず
4択問題で間違えています。
一つ一つわかりやすく説明をして
「では、この四角に当てはまる言葉は?」と聞けば正解が言えるのです。

中学一年生で、知っていて使えて当然の単語の意味が分からないって・・・・・・
うちの教室でだって、ずっと国語学習はしてきているのですよ・・・・・・

確かに≪トロいタイプの子≫ではありますが、それにしても。

「アンタは入会の頃、本は読む、図書館でよく本を借りてきて・・・・・・って
お母さんは言っていたと思うのだけれど、なんで本を読まなくなっちゃったのかしらね」
「幼稚園のころからは忙しくなっちゃったから・・・・・・毎日おけいこ事で・・・・・・」

そういえば。
小学校の頃には週に三回の英語教室、それもバス通園なので往復時間を含めると3時間近く。
で、ピアノに、うちの教室へは週に二回。
次から次へと、彼女は放課後はあちこちへ行ったり来たりして過ごしていたのでした。
確か幼稚園の頃はスイミングにも行っていたのではなかったかしら。

ピアノも女の子のたしなみとして、弾けないより弾けた方がいい。
スイミングだって泳げることはいいことです。
英語ももちろん、幼少期から慣れておくにこしたことはない。
うちで本を読む時間がないから、塾で国語教育、計算力だって大事です。

ねえ、学習塾での子育て支援をしているみなさん、
他のお稽古ごとは一切やめて、自分の教室だけにしてって言えますか?


けれど。
このボンヤリさんのお嬢は、
そうしてあちこちの教室へ行き、そこで言われたことをやり、
終わればそそくさと晩御飯を食べて寝る(学校の宿題やうちの宿題をなんとか済ませて)という生活を
重ねてきていて、
ただでさえトロいものですから、せかされ続けている間に
「考える」ということを放棄してしまったのかもしれない、と
改めて事の重大さに気づきました。

そしてまた。彼女の母親は、といえば。
向上意欲が強く、頑張り屋さんの一面も持っているので
うちでトロい娘と一緒にいるのが苦痛だったところもあって、
せっせとおけいこごとに送迎していたのではなかったか・・・・・・

中学生の現在
うちの教室へは週に三回、土日も試合だなんだと部活で、
月曜日には部活がらみの育成会、火曜にはうちの学習時間を早めに切り上げてピアノ、
そうそう、月曜は英語サークルへも行っています。
本なんか読んでる暇も気力もないというのは わかります。

学校の宿題ワークもわかるところだけ書き込み、
あとは解答書を見て書き写して埋めて、おしまい。
とにかくやって提出するのが先決で、
うちの教室での学習も、答えを言ってくれるのを待つようなところがあり
私だと一問二問の説明をして、あとは席でやっておいでといわれるので
全問付き合ってくれるスタッフに張り付いていることが多いのです。
それではまずいと思いながらも、何しろ次のスケジュールが詰まっているので
手取り足取り指導になりがちなのです。

実際今回も、実力テストのわからなかったことについての確認をしようとしていたら
中学生担当のスタッフから
「来週は定期テストなので・・・・・・」と私が注意されてしまいました。

もともと≪のび太君≫だから。
様々なお稽古ごと、長年の英語サークル通い、そしてうちの教室、ということがあって
現在の、なんとか学校で真ん中あたりという成績が維持できている、のかもしれません。
でもそれでも、
考えない子に育てる一役を買ってきているのかもしれないと思うと
やりきれない思いがします。

で、今からどうするか。
国語の5~6年生レベルの「伸びジャン」テキスト、再開します。
やることが増えて、ますます考える時間が無くなるかもしれないけれど、
あれなら、一ページごとの時間はさほどかからないから。
もう、これっきゃない、という感じです。
というのも、中一入会の時、学校で学年最下位だった生徒が
半年後の現在、今回の実力テスト、国語では80点を超える得点ができていてビックリ。
「よく読んだら簡単だった」というのです。
「伸びジャン」テキストは他の小学生の倍の量で進めているところですがまだ5年生相当。
それでも「よく読む」ということができるようになっている、ということは。
可能性のあることなら、なんでもやってみたいという心境です。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« おたよりから | トップ | くもんスタッフからのおたよりで »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドッキリしました。 (みいやん)
2013-03-20 09:45:52
先日、小5で数学H・英語G1を学習中の生徒から退会の申し出を受けました。もちろんとてもショックでしたが、意外と冷静に受け止められました。以前から枚数や学習態度に予兆が表れていたからです。4月から英語教材が大幅改定になる旨もお伝えしてみましたが、おそらく・・・。
基本的に頭は良い子で、小5でこの進度は十分に高いですが、ここまでカンの良さに頼って進んできた感があります。せっかちな面もあり、例題とじっくり向き合って試行錯誤してみる、ということは苦手でした。Hから先に進むには、例題をしっかり読み取る姿勢が身についていないと難しい。『よく読んだら簡単だった』まさにそれができていなかったのです。この子は引継時に既に数学G学習中でしたが、もう少し何とかしてあげられたのではないかと、それだけが悔やまれます。
ドキッとしたのは、ふと、この記事の「多すぎるおけいこ事は考えない子をつくる」という記述を思い出したからです。この子もとても忙しい子でした。公文以外にスポーツ、ピアノ・・・。可能性を広げてやりたい、との思いからでしょうけれど、かわいそうなほどでした。
ただ、取捨選択してこちらに注力してもらえなかったのは自分の力不足。この経験を無駄にしないよう精進します。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

現在の教室運営」カテゴリの最新記事