公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

先生が変わる‐②

2006-11-12 | 現在の教室運営
前回、コメントに対してのお返事という意味合いも兼ねて書いたのですが、
私も、以前、「先生がお変わりになった」と言われて、退会された経験があります。
保護者いわく、
「以前のように細かく面倒を見てくれなくなった」
「わからないことがあっても、説明してくれなくなった」
「生徒が多くなったので、対応が雑になってきているのではないか」
「教室で騒ぐ子がいて学習妨害になっている、会費を払っている身としてはナットクできない」
エトセトラ・・・・ま、この方のお子さんについて、私が学習以外のことで余計なことを言ったというのも引き金にはなっているのですが。
何年も前のことなのですが、今思い出しても悔しい思いとともに、
あの子はどうしているだろう、健全に育っているだろうか、と時折気にかかります。

幼稚園児の頃の入会で、お母様が学校の先生という激務に付いていた、ということもあって
当時は、それこそ手取り足取り面倒を見なければ、
家庭での宿題はまとめ学習をしたり(毎日定時にどころか二日分を一日でやったり・・・)していて、一桁の足し算ですらなかなか進みませんでした。
おうちで兄弟で遊びながらやれるようにと、サイコロをつくってあげたりまでしていました。
他の子の教育にがんばっているお母さんへのエールの意味もこめて、少しでもその子の学力向上を図ってあげたいと言う気持ちでした。
しかし、幼稚園から小学生三・四年生ともなってくれば、おのずと対応は異なってきます。
「初めは先生と一緒にやりましょうね」から
「まず、自分でやってみて、わからないことがあったら聞きに来なさい」へと対応は変わります。
小学校高学年から中学生あたりになると
「とにかく自分でこれと思う答えを書いてきなさい」
「間違っていたら、どこが違うのかもう一度やってみて、それでもダメだったら聞きにおいで」
年齢、学力の向上に伴って対応も変えていかなければ、伸びようがない、たとえ小学生のうちに因数分解ができたとしても、やり方を手取り足取り教わって、そのとおりにやってできるようになったというのでは、私の考える《自分で考えることのできるアタマ》には育たない、
だから、というこちらの対応の変化に、「教える」お仕事をしておいでのお母様は納得がいかなかったようでした。「教わっていないことができるはずがない・・・・」
ま、お立場からいえばごもっとも、かもしれないのですけれど。
それにまた、何かと、うちの子は特別扱いされて当然という姿勢にもイライラするものがあって、余計なことを言った、ということもあるのです。
学校の先生は遠慮して伝えないかもしれないけれど、《○○がうるさくて》というのは言い訳にしか過ぎず、その子も結構、わがままで。
勿論、親の前では《いい子》でしたろうし、私に対してと他のアシスタントたちに対してでは
まるきり態度が違うといったことなど、心配なことはあって、つい、ストレートに言ってしまった・・
入会初期にそういう扱い方をしてしまった私も悪いのですが、学校の先生の子さえ、来てくれる教室ということに、ちょっと舞い上がってしまったところもあって。
現在は、保護者の中に何人も教職についておられるかたがいらっしゃるので、お子さんの特別扱いをすることなく、有意義な情報を多々いただいていますけれども。
で、現在の教室では幼児低学年の保護者にも、時折中学生の学習の様子などご覧いただき、
時には私が荒い言葉で叱責しているところもお見せすることにしています。
ある保護者の方は
「幼児・低学年の多い月木と、高学年中高生が多い火金とでは、教室のムードも、先生も別人みたいですね」と笑っておいででした。
「そうですよ、小学校高学年や中学生に、幼稚園児と同じ対応をしたのでは、
能力は伸びませんし、また、失礼な事とも思っています・・・・」

子どもが育てば、育ったなりに、かける言葉もタイミングも変えていかなければなりません。
よく、保護者の方にお話しするのですけれど、大人が規制する範囲を狭くする、というか、
子どもの裁量権の範囲を広げていってやらないと、自分のことが自分でできる人間には育ちにくいと思っています。
だから、私が変わったのではなく、その生徒に対する扱いが進化したのですが・・・
いつまでも、幼いままのわが子を見ているお母様には、私が冷たくなった、というふうに
受け取られたのかもしれません。

「お母さんは、子どもに対する好き嫌いはないタイプだから、退会する生徒って、たいてい、
その親をお母さんが嫌いになっちゃった時だよね」と娘が笑います。
言われてみればその通りで、教育方針がというか、
子どもに対して希望していることと、実際に子どもに対してやっていることのギャップが大きい保護者には腹が立つことがあります。近頃ではだいぶ、あきらめもするようにはなってきましたが、それでも時には、「勝手なことばかり言わないでよ」とカリカリすることもあります。
世の中には、お腹で思っていることの一部しか相手に向かっては言わない、というタイプの人もいて、そういう人は、私の言っていることも増幅して受け取られるようで、
「あれだけ言うってことは、たぶん、もっともっと・・・・」と考える傾向があるようです。
私は、思ったこと・考えたことをそのまま言ってしまうので、額面どおり受け取ってくれれば
それだけのものなのですけれども。
最近は親との喧嘩で子どもが退会するということは・・・・いえ、この前、似たようなのが一件あったか・・・私が親の説得をあきらめたのが・・・・
ま、保護者の皆様のおかげで、私も育てていただいているというのも、事実です。
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