涼やかで執着のない男
それが人斬り半次郎と呼ばれ
日本初の陸軍少将となった
桐野利秋へのぼくの印象だ。
極貧の家庭に生を受け
父はその貧しさあまり
病苦にあえぐ娘の治療費欲しさに
公金を一時借用した科により
遠島となる。
「今にみちょれ!」と
誰しもが開墾しない荒地を耕し
夜は内職の紙漉きをし
その後、ただ一太刀に全精力を
渾身する打ち込みを繰り返す。
冒頭はそんなくだりで始まる。
短篇である。
個人的には短篇はその作者が
「図面だけ書くよ、図面みて想像して」
どう感じるか楽しんでね」
と思っている。
読後感は
恩を忘れるのは男(桐野利秋)の
恥であり、心酔する西郷をどこまでも
慕い、死ぬまで
銘刀 綾小路定利を一閃、一閃する
涼やかな快男児であった。
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