探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルが18日、宇宙航空研究開発機構の分析施設(相模原市)に到着した。
中には、人類が手にしたことのない、小惑星の砂が入っているかもしれない。貴重な「虎の子」を今後、どうするのだろうか?
分析施設には、ほこりや汚れを厳しく管理したクリーンルームがある。地球上の物質がまじるのを、極力防ぐためだ。通常は空港で行う通関作業も、特別にこの部屋で行った。
開封には、1~2週間かかる。まず汚れをふき取り、カプセルを解体し、中央部の密封容器を取り出す。容器を徹底的にきれいにしたうえで、さらに高性能のクリーンルームに移す。ここは、入る人が化粧も整髪料も禁止される特別な部屋。人は手を触れず、自動開封装置で容器を開ける。
さあ、何が入っているのか? 開けたら分かりそうなものだが、実は簡単ではない。入っているとしても、肉眼では見えないほど小さな微粒子と考えられているためだ。同機構の吉川真准教授は「微粒子は、直径0・01~0・1ミリ程度だろう」とみる。研究者らは、顕微鏡を見ながら、遺伝子操作で使うような極細の針を操り、その先に静電気で微粒子を吸い付ける。
苦労の末、微粒子を見つけても、喜ぶのはまだ早い。それが本当に小惑星「イトカワ」で採取したものかどうかを確かめねばならない。そのために、はやぶさを組み立てた時の宇宙機構内の空気や、オーストラリアでカプセルが着陸した場所の土などを採取してある。容器内に入り込んだ可能性があるからだ。これらの物質と比較して、微粒子が「やはりイトカワの砂だ」と最終的に判断できるまで数か月~1年近くかかるという。
こうした最初の段階は、日本の分析チームが担う。大型放射光施設「スプリング8」など最先端の技術で、微粒子の構造や、イトカワが出来た年代などを調べる予定だ。同機構の安部正真(まさなお)准教授は、「何回もリハーサルをした。準備は万全」と、自信を見せる。
1年後からは、米航空宇宙局(NASA)など外国の研究機関にも試料を配布し、国際的に分析を行う。小惑星の試料は、様々な変化を受けた惑星の岩石と違い、太陽系が誕生したころの状態をよく残しているといわれる。「研究の醍醐(だいご)味は、予想もできない結果が出ること。それを期待したい」と、分析チームの土山明・大阪大教授は語る。(本間雅江)
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中には、人類が手にしたことのない、小惑星の砂が入っているかもしれない。貴重な「虎の子」を今後、どうするのだろうか?
分析施設には、ほこりや汚れを厳しく管理したクリーンルームがある。地球上の物質がまじるのを、極力防ぐためだ。通常は空港で行う通関作業も、特別にこの部屋で行った。
開封には、1~2週間かかる。まず汚れをふき取り、カプセルを解体し、中央部の密封容器を取り出す。容器を徹底的にきれいにしたうえで、さらに高性能のクリーンルームに移す。ここは、入る人が化粧も整髪料も禁止される特別な部屋。人は手を触れず、自動開封装置で容器を開ける。
さあ、何が入っているのか? 開けたら分かりそうなものだが、実は簡単ではない。入っているとしても、肉眼では見えないほど小さな微粒子と考えられているためだ。同機構の吉川真准教授は「微粒子は、直径0・01~0・1ミリ程度だろう」とみる。研究者らは、顕微鏡を見ながら、遺伝子操作で使うような極細の針を操り、その先に静電気で微粒子を吸い付ける。
苦労の末、微粒子を見つけても、喜ぶのはまだ早い。それが本当に小惑星「イトカワ」で採取したものかどうかを確かめねばならない。そのために、はやぶさを組み立てた時の宇宙機構内の空気や、オーストラリアでカプセルが着陸した場所の土などを採取してある。容器内に入り込んだ可能性があるからだ。これらの物質と比較して、微粒子が「やはりイトカワの砂だ」と最終的に判断できるまで数か月~1年近くかかるという。
こうした最初の段階は、日本の分析チームが担う。大型放射光施設「スプリング8」など最先端の技術で、微粒子の構造や、イトカワが出来た年代などを調べる予定だ。同機構の安部正真(まさなお)准教授は、「何回もリハーサルをした。準備は万全」と、自信を見せる。
1年後からは、米航空宇宙局(NASA)など外国の研究機関にも試料を配布し、国際的に分析を行う。小惑星の試料は、様々な変化を受けた惑星の岩石と違い、太陽系が誕生したころの状態をよく残しているといわれる。「研究の醍醐(だいご)味は、予想もできない結果が出ること。それを期待したい」と、分析チームの土山明・大阪大教授は語る。(本間雅江)
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