<腸内細菌>ノロウイルスを捕捉、北大など発見
毎日新聞 6月28日(金)19時1分配信
ヒトの腸内にいる常在菌の一つが、感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスを識別して捕捉することを突き止めたと、北海道大などの研究チームが発表した。ウイルスの除去手法の開発につながると期待される。26日付の米医学誌ジャーナル・オブ・バイロロジーのオンライン版に掲載された。
ノロウイルスは、汚染された物をさわった手指や食品を介して口から体内に入る。腸管で増殖して嘔吐(おうと)、下痢、腹痛などを起こす。
佐野大輔・北大准教授(水質変換工学)によると、最近の研究でノロウイルスが血液型を決める抗原に吸着することが判明。研究チームはこの性質に着目し、健康な人の便の中の菌を小腸内に近い環境で培養して、この抗原に似た物質を分泌する「SENG-6」という菌を探し出した。
さらに電子顕微鏡で観察し、SENG-6が分泌した物質に、ノロウイルスが大量に結合していることを確認した。
佐野准教授は「細菌を使って下水処理の際にノロウイルスを除去できる新手法を開発できれば、自然環境への拡散を防げるのではないか。予防する食品の開発にも役立つだろう」としている。【大場あい】
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