それは、「数式のコピー」です。
いったんセルに数式を入力すれば、フィルハンドルをドラッグするだけで数式がコピーされます。ですから、次のセルからは、数式を一から入力する必要がなくなります。作業効率がぐっと上がります。
「そんなの、当たり前!」
っていうくらいごく初歩的な操作で、基本的な機能です。それなのに、その便利さにはいつも感心させられます。
今回は、その「数式コピー」のことをブログ記事にまとめる予定でした。
ところが、その記事を書く準備をしていたら、一つややこしい日本語表現の問題に突き当たりました。
そこで、「数式コピー」の記事は、また後日、改めて書くことにします。今回は、その前提として、やっかいな用語の問題を取り上げます。
やっかいな用語とは、「参照元セル」と「参照先セル」です。
【1】 数式の入力
セルに数式を入力することで、そのセルに計算結果を表示させることができます。
数式の入力には、必ず先頭に「=」(半角のイコール記号)を入力します。
そして、演算子として、
プラス + (加算)
マイナス - (減算)
アスタリスク * (積算)
スラッシュ / (除算)
などを使います。これで、数式ができ上がります。マイナス - (減算)
アスタリスク * (積算)
スラッシュ / (除算)
【2】 セル参照
数式の中で、数値の代わりにセルのアドレスを指定して、そのセルの値を使うことができます。このことを「セル参照」と言います。
例えば、
A1セル: 8
B1セル: =A1+3
と入力すれば、B1セルには、「8+3」の計算結果「11」が表示されます。
セル参照を使えば、セルの値が修正されても、自動的に計算結果が更新されます。A1セルの数値を6と修正すれば、B1セルに表示される計算結果も自動的に「9」と更新されます。
【3】 「参照元セル」と「参照先セル」
上記【2】のセル参照のように、
数式の中で参照されているセルのことを「参照元セル」
数式が入力されているセルのことを「参照先セル」
と呼びます。
つまり、
A1セルが、「参照元セル」
B1セルが、「参照先セル」
です。
【4】 用語のややこしさ
上記の「参照元セル」と「参照先セル」の用語は、ややこしてく思えます。
「ええ?どっちがどっち?」って、こんがらがります。
「数式の中にセルアドレスを指定して他のセルを参照しているんだから、数式入力のB1セルが『参照元』で、参照されている先A1が『参照先』だろう。」
って、つい言いたくなります。
いいえ、いいえ、違います。A1セルの値が、数式入力のB1セルに参照されているのだから、やはり、
A1セルが、「参照元セル」
B1セルが、「参照先セル」
です。
【5】 誤用例
上記のとおり、ややこしい表現だから、間違った使い方も当然見られます。
富士通のWebサイト「FMVサポート」のページでも、数式の中に取り込むセルのことが、「参照先」と書かれています。どちらを基準とするかで、参照元と参照先が入れ替わるのだから、そして数式が他のセルを参照しているのだから、数式入力セルを基準とするのが自然、という捉え方もあります。
大手の富士通のことだから、日本人の、どちらかというと上記自然の感覚に沿って、わざと上記の表現をとったのかもしれません。
【6】 正確な用語使用の必要性
自分一人だけで完結する場面ならば、どちらを「参照先」「参照元」と言おうが、何ら支障はありません。自分だけならば、どちらでも一向にかまいません。
けど、他の人と関わる場面では、どうしても正確な表現が必要となります。
例えば、数式入力や操作法のことを初心者に教える場面、数式入力の解説をネット上に掲載する場面などでは、正確な用語使用が求められます。
ここは、数式入力セルが「参照先」で、数式内で参照されているセルが「参照元」と、しっかり理解しておきましょう。
それでは、また次の記事で
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