ビジュアル版コンピューター&テクノロジー解体新書
ってぇ本です。本っていうより、コンピューターに関する絵図鑑です。
ほぼ全ページにわたって、カラフルなイラストが描かれているから、パラパラと通して眺めるだけでも楽しい気分になれます。本書のタイトルに「ビジュアル版」って、入っているとおりです。
内容は、コンピューターに関するいろんな分野に及びます。それぞれの分野の解説が、専門用語も交えてなされています。
コンピューターの原理、技術から始まり、ハードウェアの解説、ソフトウェアの解説、インターネットの歴史などです。
ページをざっと眺めるだけでも、ワクワクする、興味を引き立ててくれる絵図鑑です。ですから、中学生、高校生などがいる家庭には、これを一冊、備え置いておくといいかもしれません。中学生にとっては少しレベルが高度ですが、その年代はいろんなことに関心が向く貴重な時期です。この図鑑は、コンピューターサイエンスへの関心・興味を、大いに掻き立ててくれるでしょう。数年後の大学入試共通テストには、「情報」の科目が加わることでもありますし。
もちろん、親世代にとっても、おもしろい内容です。
この中で一つ、なるほどと、しきりに感心して、勉強になったことがあります。
ハードウェアに関する記事中に、「PCI-Express」について解説しているページがあります。
PCI-Expressとは、ざっくり言うと、PC内部でデータを高速に流す、伝送する最近の規格のことです。
そのページには、データを正確に送信するための技術が解説されています。
少しだけ、その記述部分を抜粋します。
チップセットは一対(2本)の信号線を使い、パケットを送信します。一方の信号線にオリジナルの信号を流します。もう一方の信号線には反転した信号、つまり、各「0」を「1」に、「1」を「0」にした信号を流します。このような方式で信号線を構成するのは、一方の信号線に影響するような電気ノイズ(静電気)は、もう一方の信号線にも影響するはずだからです。
パケットが送信先に届くと、反転したパケットを再度反転させて復元します。この操作により、電気的干渉の影響で紛れ込んだ無意味な信号の値も反転されます。バスは、この一対のパケットを合成します。オリジナルのパケット内で生じた干渉は、それに対応する反転したパケットと相殺されます。
この記述を、単に流し読みしただけでは、もしかしたら、何を言っているのか理解ができないかもしれません。
けど、じっくり読み込んで、内容を理解すると、
「へぇ~、なるほどなぁ。」
と、しきりに感心することになります。
データ送信の途中の電気的干渉で紛れ込んだノイズを、上記の原理を使うことにより、データから除去することができるのです。
なかなか面白い方法です。
つまり、こういうことです。
反転させたデータを再反転させると、オリジナルデータと全く同じデータが復元されます。
オリジナルデータ 1100100
反転データ 0011011
再反転データ 1100100
ところが、送信途中で電気的干渉が加わると、オリジナルデータと反転データの双方に、全く同じ値のノイズが加わります。反転データ 0011011
再反転データ 1100100
オリジナルデータ 11001001110
反転データ 00110111110
上記の値のうち、オリジナルデータも、反転データも、最後の4桁「1110」は、送信途中で付加されたノイズです。反転データ 00110111110
このようにノイズが加わった反転データを再反転させると、ノイズ部分だけは、オリジナルデータと一致しなくなります。
つまり、オリジナルデータと再反転データの2つを照合すると、ノイズ部分だけが一致してないので、これでノイズの部分を区別・特定できるようになります。
なかなか面白い仕組みですよね。
2つの信号線を使い、オリジナルと反転の2種類のデータを送信することで初めてノイズ除去ができるようになる。種明かしされてみると、何のことはない、割と簡単な原理なのですが、これを思いついた人は、コロンブスの卵と同じです。
なお、この本の著者はロン・ホワイトという外国人で、本書はそれを翻訳したものです。
ですから、
本書ページの上記抜粋中、
「オリジナルのパケット内で生じた干渉は、それに対応する反転したパケットと相殺されます。」とある部分の「相殺」は、もしかしたら、別の翻訳の方が、よりしっくりくるのかもしれません(たとえば「除去」などという表現。)。
いずれにしても、デジタル関係に興味のお持ちの方にとっては、この本は、とっても有益です。この本の解説でよくわからない部分は、WEBサイトなんかでより詳しく調べればよいのです。その、きっかけを本書は与えてくれます。
私はこれが気に入ってしまったんで、期限内に図書館に返却する一方で、本書を自分専用に購入することにしました。
それでは、また次の記事で
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