中野学校卒業者が自ら書いた貴重な本である。本書による中野学校の大東亜戦争への貢献の範囲の広さから、著者が昭和13年ではなく、昭和3年以前に設立されていたらと嘆くのも(P220)納得できる。
本書には一応中野学校の沿革や教育についても書かれているが、それよりも大東亜戦争における謀略活動以上に、戦闘にも多方面に参加していたのが、意外であった。F機関などの東南アジアでの独立運動は当然として、インドのINAのサポートを通じてのインパール作戦、義烈空挺隊、シベリア抑留、終戦工作等、活動が広範なのには驚かされる。
また、現代の我々が再認識しなければならないのは、P59やP93に書かれているように、インドやインドネシアの日本軍への協力が、自発的なというより、彼らの独立への熱望から為されていた、という今の日本史から故意に削除されている事実であろう。前述のように、多分中野学校出身者自身の著書としては唯一であるから必読である。
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