平成28年8月5日の日本経済新聞に、稲田新防衛大臣のインタビューの「『侵略一概に言えず』■靖国参拝『心の問題』」と題した記事が載った。稲田氏は「百人斬り事件」の弁護をするなど、以前から保守の論客として知られていたから、日本のマスコミは中韓に気に入られない稲田氏の思想をターゲットにする気なのである。
「日中戦争から第二次大戦に至るまでの戦争は侵略戦争か、自衛のための戦争か、アジア解放のための戦争か」などと記者が質問したのを、稲田氏がうまくかわして明言しなかったのが、マスコミはいたく不満だったのである。侵略戦争を否定すれば、失言だと書くし、肯定すれば節を曲げたので、ざまあみろ、と言いたいのである。
ドイツのような敗戦国も含めて、世界の国々でこんな国はない。自国が過去に侵略戦争をしたといいたがるマスコミは、ドイツも含めてどこにもない。国際法の解釈は別として、欧米諸国で道義的意味では侵略をしなかった国はない。
欧米の侵略と植民地支配は恐ろしく悪辣で苛酷であった。アヘン戦争は当時英国内でも道義的に問題にする政治家はいた。しかしそれはその時点での政策論争だった。それを戦後70年たって自国を侵略国家と言わなければ文句をいう、という日本のマスコミは世界的に見て尋常ではない。自国の過去を卑下すべきだと言うのは狂気の沙汰である。
靖国神社の参拝にしても、中曽根内閣が中共政府内部の権力闘争に配慮して、参拝を止めてから問題にされるようになったのであって、それまでは中韓両国とも文句を言ったことはなかった。日本のマスコミが問題にして政治化すると、特に中共は外交カードに使えると、味をしめたのである。
これらの事実をマスコミは百も承知である。それでもこの体たらくである。かの記事の最後は「稲田氏は今回、歴史問題について体系的に述べているわけではないが、今後議論を呼ぶ可能性がある。」と結んでいる。稲田氏が閣僚である限り問題にしてやる、という脅しである。
小生は男女の区別なく、稲田氏の思想信条からして、今は総理大臣になってほしい逸材だと考えている。他の自民党議員は日本的リベラルとみられる人材ばかりである。自民党の思想信条のまともな人物は、かつての江藤大臣のように、自爆覚悟で信念を吐露してしまったケースが多い。
このような売国奴的マスコミにいかに対応できるかが、稲田氏の首相への道の試金石となろうと思うのである。いや、安倍総理は試練を与えているのであろう。信念を正直に公然と語り自爆するのは学者であって政治家ではない。妥協のため信念を曲げるようでは、支持する価値はない。
小生は丸川珠代議員の将来にも期待している。しかし、小池都知事と知事選挙前に遣り合った結果、選挙後の記者会見で小池氏と似た服装で登場して話題になったのはいただけない。服装で張り合うのは女性であることを利用している気配があるからである。総理大臣に男女の区別はいらない。丸川氏はまだまだ伸びしろがあるのだろう。