映画評論・ソルジャー
近未来の話であろう。映画で想定した軍隊は、米陸軍なのか、海兵隊なのか分からない。とにかく、強い歩兵を作る為に、才能のありそうな子供たちを集めて、大人になるまで激しい訓練を行う。そのために落命する子供たちがいる位である。それとは別に、遺伝子操作で優秀な歩兵を人工的に作り出す、ニューソルジャープロジェクト行われている。当然のことながら、ニューソルジャーの方が強い。
兵頭二十八氏の説だと思うが、海兵隊は日露戦争などでの日本陸軍歩兵の強さに驚嘆した米軍が、日本軍歩兵を目標に訓練して造り上げたものだという。とすれば「ソルジャー」とは日本軍歩兵を模範として徹底したものだと言える。特に遺伝子操作で作ったニューソルジャーは、それを米国らしい科学的合理性で徹底したものであろう。
主人公のソルジャーと最強のニューソルジャーとが対決するところが、メインテーマになるのだが、小生は米国はまだ日本陸軍の強さに、潜在的な怖れを抱いているのだろう、ということの方に興味を持った。
米国はベトナム戦争の凄惨なゲリラ戦で地上戦を恐れるようになったが、それも冷戦の勝利後の湾岸戦争である程度癒えたと思われるが、その時期の映画である。ヒットしなかったの原因のひとつは、やはり地上戦恐怖症は完全に克服されたのではなかったことであろうと思う。もし、ゲリラ的攻撃で、歩兵が一人また一人とじわじわ歩兵が戦死するイラク戦争の後なら、この映画は作られることはなかっただろう。