2nd Stageトラバース

50代で転職し、第二の人生スタート。
もがいて、笑って頑張るおやじをお届けします。

房総半島グレートトラバース 館山アタック③ 遥かなり銚子犬吠埼

2020-09-22 09:08:28 | グレートトラバース
「走れ!」


トンネルの壁と車道の間に1メートルに満たない幅で白線が引いてある。




必死で走る。




「ブォー ブォー 」 


凄い爆音で何台もの車が直ぐ脇を通り過ぎる。




「ブォー」


「ブォー」



何回トンネルをくぐったろう。


もう勘弁してくれ。



「ブォー」


「ブォー」




やっとトンネルを抜けたと思ったら
車道の脇にお情け程度に引かれた白線があるも、雑草で覆われ歩けたものではない。




「ブォー」


またトンネルかよ。



「命が惜しけりゃ走れ!」




必死の思いは不思議と足の痛みを忘れさせる。



トンネル内では無灯火の車が一番怖い。
歩行者と認識されているか分からないから。
だから大袈裟に腕をふって走る。




「ブォー」



「ブォー」





「お彼岸のお中日には必ずお墓参りに行きます。だから連れて行かないでください。じぃちゃんお守りください。」



心の中で叫んでる。



「ブォー」



「助けてくれ。歩道よ出てきてくれ」



「ブォー」






幾つものトンネルを全力で走り抜けた。




「あっ!歩道だ」




何個めかのトンネルを抜けだしたら、対向車線に歩道発見。




「助かった!」



何だこの歩道は!


「千葉県鋸南町雑草の楽園 入場無料」





生きているから冗談も言える。




雨も止みました。



「御大層な演出だな。こちとら命がけだぞ」



足が痛くて体は疲れきっています。
「こんな状態で館山に着くのが目的ではない」
「まだまだ力が足りないんだよ」




館山まであと7キロ。




ゴール目前の「富浦」で断念した。
「あれだけ練習したのにな」
「2日合計100キロ踏破も目前なのにな」





失敗したのはトンネルのせいではない。自分に力がないからだ。










「また出直しだ」
18:22富浦発千葉行き各駅停車入線。





電車が各駅に停車する毎に、1ページづつ今日の思い出が白紙にリセットされる。




機械的なアナウンスを聞いてはいるが、流れる夜景の彼方には、明らかに犬吠埼を挑む自分がいる。




大丈夫だ、心は折れていない。
未熟者アドベンチャーレーサーの挑戦は続く。