空挺師団はパラシュートで敵の最前線や後方に投入される精鋭部隊だ。
訓練も半端ではないだろうから、野宿で寝るコツを伺ったら、野宿睡眠のいいヒントになるかも知れない。
職場に空挺師団を退役した人生の先輩がいるのを思い出し、どうしたら野宿でぐっすり寝られるのかコツを伺ってみた。
「夜営の訓練は厳しいよ。“寝ろ”と言われたらすぐ寝ておかないと次の訓練で体が動かないんだ」
「“寝ろ”と言われてすぐ寝られるもんですか」
「最初から問題無く寝られたよ。性格だね」
「空挺師団でも寝られない人がいるんですか」
「いるよ。辛そうだったね。100㎞くらい歩く時もあるからね。寝られないと辛いだろうな」
「怖くないですか。敵が襲ってくるとか考えないんですか」
「うーん、寝ちゃうんだな、これが。今の仕事でも“寝ろ”と言われたら寝る自信がある。鈍感なんだよ。鈍い、図太いんだな。寝る訓練、コツなんかないよ。周りや、他人を気遣わない鈍感、図太さだね」
欠点と言われる性格が、長所になるんだな。
「野宿で寝られないのは繊細だからさ。違う自分、性格を手に入れる機会だね。慣れればできるよ。人生得したじゃないか」
「ハハハ・・・」
「頑張りなハハハ・・・」
何かを達観した、精鋭部隊の優しい目が微笑んでいた。