交流分析1 私もOK あなたもOK
交流分析2 ディスカウント
交流分析3 ストローク経済 貧富の法則
交流分析4 自我状態と交流の分類
交流分析5 人生脚本
2022年7月30日更新
2024年8月16日更新
人生脚本における「禁止令」というのは、親(養育者)・祖父母・学校の教師など、周りにいる大人の言動や態度から無自覚に発せられてしまう願望や些細なグチ。
しかし、大人にとっては単なる「些細なグチ」であっても、子供にとって絶対的な存在である親や周りの大人からの「言語的・非言語的メッセージ」は「自身の存在の否定」「気質や行動の制限」と受け取ってしまうため、ことあるごとに繰り返し「これらのメッセージ」を発していると、呪いのように脳裏に刷り込まれていく。
存在するな おまえがいない方がよかった。 お前はいらない子だ。
成長するな 親や周りの大人が世話を焼き過ぎる。 甘やかされた末っ子。
自分の性であるな おまえが男(女)だったらよかったのに。
子どもであるな 「あなたはもうお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と早い段階で自立を強いられる。
重要であるな 「大人の問題に子どもが口を出すんじゃない」と言われ続けていると、自分の意見は重要ではないと思い込む。
成功するな 何事かに成功してもまったく喜ばないのに、失敗した時だけ慰めたり励ましたりしていると「自分は成功してはいけない」と思い込む。
所属するな 「あの子と遊んではいけません」などと親が子供の友達を選別する。
健康であるな 病気の時だけ優しくしてもらえる。 病弱な親や兄弟の面倒を見ることが多い。
近寄るな 子供がコミニュケーションを求めていても、親が忙しそうにしていると「話しかけてはいけない」と思い込む。
感じるな 自身の欲求を無視されたり我慢を強いられることが多いと、感情を抑えるのが癖になり自分の意見が言えなくなる。
考えるな 「親の言うことに口答えするな」「黙って言うことを聞け」と言われ続けていると、自分で物事を判断しなくなる。
何もするな しつけが厳しく些細なことまで注意する。 何かと「危ないからやっちゃダメ」と言われると新しい物事に挑戦しなくなる。
欲しがるな 親が経済的に困窮している姿を見ていると自分の欲求を言い出しにくくなる。
「○○するな」という禁止令に対して「○○しなさい」という、ミニ脚本の第一段階のドライバー(拮抗禁止令)があります。
禁止令の「○○するな」という否定のメッセージに対して、ドライバーの「○○しなさい」というメッセージは「親や周りの大人の期待に沿うことができる」ということで、これを守ることで自己肯定感が得られたり、やる気を出したりします。 条件付きで「私はOK あなたもOK」の構え。
しかし「期待に沿うこと」に執着しすぎて、「完璧でなくてはいけない」「常に相手を優先しなければいけない」と強く思いすぎると、「ドライバーの裏メッセージ」のストッパー(○○ではダメ)が出てきて、自身の行動に制限がかかることになります。 「私はOKじゃない あなたはOK」の構え。
禁止令(否定) → ドライバー(駆り立てるもの) → ストッパー(制止するもの) → ブレーマー(責任転嫁) → ディスペア(絶望・落胆)
禁止令 →ドライバー 完全であれ(失敗の無いように)(完璧主義)→ ストッパー 中途半端はダメ(何事も100%最後まで)
禁止令 →ドライバー 努力せよ(どんなときでも一生懸命努力しなさい)→ ストッパー 楽をするな(手抜きをするな)
禁止令 →ドライバー 急げ(グズグズしないで早くしなさい)→ ストッパー 自由な行動をするな(集団行動を乱すな)(周りの空気に従え)
禁止令 →ドライバー 他人を喜ばせろ(誰にでも親切にしなさい)→ ストッパー 自分の要求を優先するな(常に他人を優先させよ)
禁止令 →ドライバー 強くあれ(弱音を吐かない)→ ストッパー 素直な感情を出すな(我慢しなさい)
さらには、ストッパー(○○ではダメ)にも「禁止令」があり、「ストッパーの制限」が行き過ぎるとストッパーの禁止令(○○するな)が出てきて自身の感情や行動を、さらに縛ってしまうことになります。
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 愛されるな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 自立するな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 楽しむな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 幸せになるな
ブレーマー(責任転嫁)は「ストッパーの禁止令(○○するな)」が、自分自身ではなく他人に対して感じるようになるもの。 「私はOK あなたはOKじゃない」の構え。
ディスペア(絶望・落胆)は、他人に尽くそうとする「ドライバー」、そのために自分を犠牲にしようとする「ストッパー」、他人に責任転嫁する「ブレーマー」の、これら三つが相互作用とすると起こる。 「私はOKじゃない あなたもOKじゃない」の構え。
そこで、自身の感情や行動に過剰に制限をかけてしまったりするのを和らげ「自分を許可するメッセージ」を出すことを「アロワー」と言います。
ドライバー 完全であれ → アロワー 完璧でなくてもいい
ドライバー 努力せよ → アロワー できる範囲でいい
ドライバー 急げ → アロワー 自分のペースでいい
ドライバー 他人を喜ばせろ → アロワー まずは自分を大切にする
ドライバー 強くあれ → アロワー つらいときは無理しなくていい
この幼少期に決断をした「脚本」があることに気付き、手放すことで「大人になった今の自分なら書き直すことができる」というのが交流分析「人生脚本」の重要な部分。
自分の子供時代には知識も経験も不足しているし、取れる手段も選択肢も限られています。
まだ小さい自分一人で行動するわけにもいかず、親兄弟、周りの大人に合わせるしかありません。
ストレスを受けたとしても、ストレスに対する対処もできません。
しかし「大人になった自分」なら、自分でできることも増えて物事を考えたり判断したりすることもできます。
「子供時代の自分」にはできなかったことでも、「『大人になった自分』ならこのように考えて対処する」と幼少期の決断を書き換えることができる、というもの。
交流分析とは、個人が成長し変化するための心理療法であり、コミニュケーション理論でもあります。
次は「交流分析7 ラケット感情・ゲーム理論」です。
交流分析 禁止令 ミニ脚本
自分の中に棲む親(インナーペアレンツ)
「ガンバリ屋さん」の心を駆り立てる5つの言葉
「人生脚本」を見直せば悩みを根本的に解決できる
人の子育てを見学して「親の理不尽」の正体が見えた気がした
交流分析2 ディスカウント
交流分析3 ストローク経済 貧富の法則
交流分析4 自我状態と交流の分類
交流分析5 人生脚本
2022年7月30日更新
2024年8月16日更新
人生脚本における「禁止令」というのは、親(養育者)・祖父母・学校の教師など、周りにいる大人の言動や態度から無自覚に発せられてしまう願望や些細なグチ。
しかし、大人にとっては単なる「些細なグチ」であっても、子供にとって絶対的な存在である親や周りの大人からの「言語的・非言語的メッセージ」は「自身の存在の否定」「気質や行動の制限」と受け取ってしまうため、ことあるごとに繰り返し「これらのメッセージ」を発していると、呪いのように脳裏に刷り込まれていく。
存在するな おまえがいない方がよかった。 お前はいらない子だ。
成長するな 親や周りの大人が世話を焼き過ぎる。 甘やかされた末っ子。
自分の性であるな おまえが男(女)だったらよかったのに。
子どもであるな 「あなたはもうお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と早い段階で自立を強いられる。
重要であるな 「大人の問題に子どもが口を出すんじゃない」と言われ続けていると、自分の意見は重要ではないと思い込む。
成功するな 何事かに成功してもまったく喜ばないのに、失敗した時だけ慰めたり励ましたりしていると「自分は成功してはいけない」と思い込む。
所属するな 「あの子と遊んではいけません」などと親が子供の友達を選別する。
健康であるな 病気の時だけ優しくしてもらえる。 病弱な親や兄弟の面倒を見ることが多い。
近寄るな 子供がコミニュケーションを求めていても、親が忙しそうにしていると「話しかけてはいけない」と思い込む。
感じるな 自身の欲求を無視されたり我慢を強いられることが多いと、感情を抑えるのが癖になり自分の意見が言えなくなる。
考えるな 「親の言うことに口答えするな」「黙って言うことを聞け」と言われ続けていると、自分で物事を判断しなくなる。
何もするな しつけが厳しく些細なことまで注意する。 何かと「危ないからやっちゃダメ」と言われると新しい物事に挑戦しなくなる。
欲しがるな 親が経済的に困窮している姿を見ていると自分の欲求を言い出しにくくなる。
「○○するな」という禁止令に対して「○○しなさい」という、ミニ脚本の第一段階のドライバー(拮抗禁止令)があります。
禁止令の「○○するな」という否定のメッセージに対して、ドライバーの「○○しなさい」というメッセージは「親や周りの大人の期待に沿うことができる」ということで、これを守ることで自己肯定感が得られたり、やる気を出したりします。 条件付きで「私はOK あなたもOK」の構え。
しかし「期待に沿うこと」に執着しすぎて、「完璧でなくてはいけない」「常に相手を優先しなければいけない」と強く思いすぎると、「ドライバーの裏メッセージ」のストッパー(○○ではダメ)が出てきて、自身の行動に制限がかかることになります。 「私はOKじゃない あなたはOK」の構え。
禁止令(否定) → ドライバー(駆り立てるもの) → ストッパー(制止するもの) → ブレーマー(責任転嫁) → ディスペア(絶望・落胆)
禁止令 →ドライバー 完全であれ(失敗の無いように)(完璧主義)→ ストッパー 中途半端はダメ(何事も100%最後まで)
禁止令 →ドライバー 努力せよ(どんなときでも一生懸命努力しなさい)→ ストッパー 楽をするな(手抜きをするな)
禁止令 →ドライバー 急げ(グズグズしないで早くしなさい)→ ストッパー 自由な行動をするな(集団行動を乱すな)(周りの空気に従え)
禁止令 →ドライバー 他人を喜ばせろ(誰にでも親切にしなさい)→ ストッパー 自分の要求を優先するな(常に他人を優先させよ)
禁止令 →ドライバー 強くあれ(弱音を吐かない)→ ストッパー 素直な感情を出すな(我慢しなさい)
さらには、ストッパー(○○ではダメ)にも「禁止令」があり、「ストッパーの制限」が行き過ぎるとストッパーの禁止令(○○するな)が出てきて自身の感情や行動を、さらに縛ってしまうことになります。
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 愛されるな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 自立するな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 楽しむな
ドライバー(○○しなさい) → ストッパー(○○ではダメ) → ストッパーの禁止令 幸せになるな
ブレーマー(責任転嫁)は「ストッパーの禁止令(○○するな)」が、自分自身ではなく他人に対して感じるようになるもの。 「私はOK あなたはOKじゃない」の構え。
ディスペア(絶望・落胆)は、他人に尽くそうとする「ドライバー」、そのために自分を犠牲にしようとする「ストッパー」、他人に責任転嫁する「ブレーマー」の、これら三つが相互作用とすると起こる。 「私はOKじゃない あなたもOKじゃない」の構え。
そこで、自身の感情や行動に過剰に制限をかけてしまったりするのを和らげ「自分を許可するメッセージ」を出すことを「アロワー」と言います。
ドライバー 完全であれ → アロワー 完璧でなくてもいい
ドライバー 努力せよ → アロワー できる範囲でいい
ドライバー 急げ → アロワー 自分のペースでいい
ドライバー 他人を喜ばせろ → アロワー まずは自分を大切にする
ドライバー 強くあれ → アロワー つらいときは無理しなくていい
この幼少期に決断をした「脚本」があることに気付き、手放すことで「大人になった今の自分なら書き直すことができる」というのが交流分析「人生脚本」の重要な部分。
自分の子供時代には知識も経験も不足しているし、取れる手段も選択肢も限られています。
まだ小さい自分一人で行動するわけにもいかず、親兄弟、周りの大人に合わせるしかありません。
ストレスを受けたとしても、ストレスに対する対処もできません。
しかし「大人になった自分」なら、自分でできることも増えて物事を考えたり判断したりすることもできます。
「子供時代の自分」にはできなかったことでも、「『大人になった自分』ならこのように考えて対処する」と幼少期の決断を書き換えることができる、というもの。
交流分析とは、個人が成長し変化するための心理療法であり、コミニュケーション理論でもあります。
次は「交流分析7 ラケット感情・ゲーム理論」です。
交流分析 禁止令 ミニ脚本
自分の中に棲む親(インナーペアレンツ)
「ガンバリ屋さん」の心を駆り立てる5つの言葉
「人生脚本」を見直せば悩みを根本的に解決できる
人の子育てを見学して「親の理不尽」の正体が見えた気がした