花のある生活

花はあまり出てきませんが。

幽霊は「役に立つ」のか?

2016-03-05 | 読んだ本
「超常現象」を本気で科学する  石川幹人 

この本は幽霊や超能力などの「超常現象」を「本気」で科学する、という本。

この手の議題になると「幽霊がいる派」と「幽霊がいない派」に分かれて議論を展開しているものが、ほとんどだけど。

この本では「幽霊がいるか、いないか」ではなく、「幽霊が役に立つか、役に立たないか」、さらには、役に立つなら「どんな使い道があるのか?」「実用化できるのか?」までを考える、ということなのらしい。


・・・ものすごく斬新な発想だわ。

幽霊や超能力が、どのように「社会に役に立つか」、なんて考えたこともない。


「心霊スポットで幽霊が見えた」など、一般的に「霊の仕業」といわれる「金縛り」や「幽体離脱」なども、だいたい「科学」で説明がつくそうだ。

よくあるのは「心霊スポット」の廃墟と化した建物に入り、壁面に霊の怨念が出ている、などという場合。

当然のごとく、辺りが暗くなった夜、街灯の明かりも少なく真っ暗な廃墟に懐中電灯なりを持って入っていくと、壁には、おどろしい人の顔が…。


この正体は壁の模様や汚れが、ちょうど「人の顔」に見えてしまった現象。

人間は、車の正面など「人の顔に見えるもの」に、特に反応しやすいのです。

それから真っ暗な廃墟の中、「幽霊が出るかもしれない、怖いー」と恐怖を感じる状況下に置かれることで、壁の模様や汚れが「幽霊」に見えてしまった、ということ。

俗にいう「幽霊の正体見たり枯れすすき」ということか。



運勢の上がり、下がりも科学的に考察すれば、こういうことになります。

1.パチンコなどギャンブルをしていると、ツキやスランプなど「運の流れ」をしばしば体感する。

2.「運の流れ」が「何か」によって変化することを体感している。

3.運を呼び込むために念を込めるなど、独自の縁起かつぎの方法がある。

4.その方法は「いつもではないが、総じて有効である」と信じている。


結論から言えば、「科学的」には「運の流れ」というものはなく「ツキやスランプも無い」ということ。

いわゆる「ギャンブルの当たり」というのは「ランダムに出る」もので、当たりが続くときもあれば、全く当たりが出ないときもある。

この「ランダム加減」が、当たり続けているときには「ツイてる!」で、全く当たりが来ないときには「スランプだ」ということになる。


つまり「運の流れ」は錯覚に過ぎず、ツキやスランプは「ランダムに出る偶然」。

しかし、人間は「偶然」という現象を嫌い、「運・不運には何か原因がある」と原因を求める傾向にあるそうです。

だから、「金運の上がる○○」という、金運グッズなんかも流行るんですねー。


これは、あくまでも「科学」の話であり、お守りや祈りの信仰心を否定するものではありません。

私も、お守りを持ってますし、神社などでお参りにも行きますから。

お守りを持つことにより、心の安定が図れたり生きがいを持つことはいいことですし。


「超常現象」が科学で解明されてくると、どんな「未来」になっていくんでしょうね。



「この世には不思議なことなどないのだよ、関口君」 by 京極堂



本棚に何か、時々目が合ってしまうのが…。




目次

はじめに

序章  なぜ超常現象を科学するのか

幽霊は役に立つ?/エセ科学の撲滅/宗教と科学の違い/心霊研究から超心理学へ/「はん幽霊論」への招待


「反」の部 ―― 幽霊をめぐる非科学的主張に反論する

第一章  幽霊が見えた?

ホラー番組の取材/それが顔に見える理由/恐怖のカラクリ/怖い幽霊VS明るい幽霊/錯覚にも「意味」がある/「現実」とは何か


第二章  迷信とお守りの誤解と詐術

ツキとスランプの違い/原因を求める人間心理/お守りとバイアス/高いほど効く?/ご利益を調査する


第三章  夢と幽体離脱

昨晩見た夢は……/金縛りのメカニズム/夢のお告げは当たるのか/魂が体から抜け出す?/幽霊体験の精神状態


「半」の部 ―― 超能力を半信半疑で検証する

第四章  超能力と夢の中の世界

体験から実験へ/夢テレパシー実験の成果/緻密なガンツフェルト実験/体脱体験者はESP能力が高い?/超能力の個人差


第五章  それは誰のしわざか

奇術トリックと超能力者/幽霊かPKか/ポルターガイスト/こっくりさんの正体/シャイな無意識


第六章  未来がわかるとはどういうことか

SFとタイムパラドクス/予知と透視/予感実験/シンクロニシティ/幽霊と宇宙人は同じ?/主体性と因果性


「汎」の部 ―― 超常と日常を合わせて広汎に考える

第七章  「無意識」の大きな可能性

「技能」を身につける仕組み/ゾーンに入る/創造性という技能/無意識を手なずける/浮かび上がる「妙手」/超心理学の新展開


第八章  幽霊体験の社会化

波動を感じる?/「オーラ」と「共感覚」/「祈り」の効力/社会性が役に立つ/不確実さを受け入れる/これから科学はどこへ向かうか

終章  解体される超常現象

幽霊体験に創造性を、見いだす/文化以前の心理機能/生物進化の創造主/信念よりも実用性/五つの知恵


おわりに


参考文献一覧




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