◇庶民の一生の夢。。◇
江戸中期に始まった<旅ブーム>
丁稚さんも女中さんも、みんな旅をしてみたい!と願った。
なんでか?
貸本屋や版元の本屋で見る浮世絵。。
その見たこともない美しい海や風景・町並みに、魅了されたからだった。
中でも歌川広重の「東海道五十三次」は、
見知らぬ土地を写実的に描き、庶民の心を突き動かした。
広重は、もともと幕府直属の役人として東海道を熟知する者。
が、、その後、なぜか武士から浮世絵師に転身。
旅への熱望を掻き立てる大きなキッカケは、実は広重の浮世絵の仕業だった。
↓版元の本屋に群がる女たち
だが江戸時代の旅は、99%徒歩。。
私達のように5泊6日と決め、スケジュールを立てるのは不可能…
旅人の行く手には、豊かな自然と川があり、
足留めを食らうこともしばしば。
川での足留めは、1~2か月間に及ぶことも。。
宿場での足留めが続くと路銀(旅費)が底を尽きてしまう。
路銀が尽きたらどうするの?
そのまま引き返す。。コレはあり得ない
なんと、、その宿場で働く。
江戸落語の噺でも、 路銀のない浮世絵師や彫り物師が、
宿の襖に絵を描いたり、
小さな彫り物を作って路銀として置いていった。
それが宿の評判になり、大繁盛した。。なんて話も。
金がなければ、その土地で働けばいい。。
路銀が貯まれば、旅へとgo!
仕事を辞め、長旅に出るには死への覚悟が伴う。
この時代はペニシリンなんぞなかったわけで、、
盲腸や小さな怪我、風邪をこじらせても死に繋がる。
死というものが身近であったからこそ、
生きてるうちに知らない土地を見たり、知らない世界を楽しみたい。。
次々と出る浮世絵に、庶民の旅への夢はより強くなった。
だが
お金持ちだけが<お伊勢参り>に行ったわけではない、、
見習い奉公のような、まともな給金の出ない者まで旅に出るように。
そんな無茶ぶりが出来たのは、
お金持ちもそうでない者も<お伊勢参り>は一生の夢で、
行って帰って来れることが人生の誇りになったからだろう。
↓みんなでお金を積み立て
揃いの着物で 華やかにお伊勢参りのグループも
三味線を弾き、唄を歌いながら歩く優雅な旅も。
**駒込/東洋文庫ミュージアム
「本の中の江戸美術展」にて展示の浮世絵
↓一般的な旅姿
この姿をしてると<お伊勢参り>と一目で分かる。
笠をかぶり 杖を持ち ゴザを担いで
柄杓を差す
◇無銭旅行に 抜け参り そして職場復帰!?◇
いわゆる<無銭旅行>と<抜け参り>は、
路銀も持たずに、お伊勢参りの行列に加わること。
大胆にも仕事中の丁稚さんも女中さんも、この方法で行った。
もちろん主や親方には言わずに。。。
旅の列にくっついて行くと、
それを見た街道沿いの人が、笠やゴザをくれたりして旅姿に変身。
そして念願のお伊勢参りの数か月後に、元の職場に戻ってくる。
主や親方は<お伊勢参り>に行った者を怒ったりはせず、
元気で帰ってきたら
また以前のように働いてもらう。
だが女性の場合は、身籠って帰ってくることもあり、
それはそれで<授かりもの>だからとみんなで育てた。
天下泰平とは、
こんなに心が豊かなものなのかと驚かされるエピソードだ。
仕事と時間に追われる私達の生活。
すべてスケジュール通りに動かないと、成り立たない現実は厳しい。
寿命は40歳そこそこと短い江戸時代は、
生きてることが<めっけもん>
時間を自分のために使うことが、良しとされた優しい時代だった。
☆駒込/東洋文庫ミュージアムにて☆
浮世絵の一次史料
いわゆる<原本>のみ展示。
細部まで見れるようにPCを駆使した工夫もなかなか◎
二度と見れない貴重資料の宝庫。。
入館料一般900円
65歳以上800円
大学生700円
中高生600円
小学生290円
「本の中の江戸美術」を12月25日まで開催中デス
次回は旅の面白話し中級編ですぞ🎵
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浮世絵が一役買っているとは知りませんでした。
楽しいお話でした。
ありがとうございます。。。
事前のチェックで 浮世絵展開催確認
18禁も有る 圧巻の浮世絵展示
それもこれも ブログの影響でした
続編も益々楽しみです