帯表紙はアメリカの武装ヘリ<ブラックホークダウン>を、
ソマリア民兵がロケットランチャーで撃墜させるシーン。
南部ソマリアの実態を描いた映画の三幕目は「ブラックホークダウン」。
ソマリアの闇の世界が映し出されている映画は、世界でたったの三本。
なぜか?
ソマリアに入り、外国人が取材することは不可能。
世界中のメディアも、現地のカメラマンに委託せざる得ない状況。
と、
本当のソマリアの内情を知らないので作れない、、という背景がある。
ソマリアを描いた映画は、どれも陰惨で、しかも真っ黒な怖さがある。
その中でも、さっぱり訳が分からなかったのが「ブラックホークダウン」だった。
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で
ちんぷんかんぷんの映画は、こんな感じだった。
南部ソマリアの氏族同志の権力争いから、市民の大量虐殺と略奪、レイプが横行。
二年経っても、その状況はますます酷くなるばかり。
1993年
世界の警察を自負するアメリカが、ソマリアへ乗り込んできた。
アメリカ最強の地上部隊が、
武装ヘリブラックホークで首都モガディショに突入。
極秘に開かれる話し合いの場所で、
和平に応じないボスのアイディードを捕獲する、、という内容。
この任務は最強地上部隊にとっては、一時間で処理されるはずだった。
だが
蓋を開けてみると、何千人の民兵が待ち伏せしていた。
アメリカ軍は袋のネズミ状態に追い込まれボロボロに。
正義を背負った優秀なパイロットやエリート兵士100人のうち19人が死亡。
ソマリア人民兵は1000人以上死亡。
観終わって、コレは正義なのか、、全く分からなくなるほどの凄惨さだった。
結局、アメリカは撤退し、以後ソマリアには介入しなくなった。
意味も分からず、チャンチャンで終わったはずが、、
またもや、デンジャラス作家高野秀行氏「謎の独立国家ソマリランド」で
映画に描かれなかった裏事情とその後を知った。
◇ブラックホークダウンのもっと数奇な裏の真実、、◇
日本の戦争マニアの間でも
<ブラックホークダウンごっこ>なるモノがあるほど、人気の映画だと知った。
旧ソマリアの首都モガディショで起きたアメリカ軍の大惨事が、
延々と繰り広げられる。
内戦の前は、
アフリカのローマと云われるほど豊かな文化と白く美しい建造物で埋め尽くされていた。
資源も豊富で、
イタリアの支配下の影響を強く受けた美しい首都が、モガディショだった。
それが今もエンドレスな内戦で、次々と政権らしいものが変わると、
白く美しい建造物は、銃弾の穴で見る影もなくボロボロ。
映画は内戦が始まって二年。
アメリカ軍がなんとか収めようと入ったが、
実は、極秘ミッションはアイディード側には駄々洩れだった。
多分
アメリカには人種の違いは理解出来ても、氏族という濃い血縁関係の絆は想定外。
ソマリアの氏族は、
冠婚葬祭・損害賠償・就職・海賊などの利益の分配など氏族内で全て行う。
アメリカ軍に雇われたソマリ人の内偵者たちから、
アイディード側に情報は逐一流れていた。
その結果が
アメリカ軍のエリート地上部隊100人は、何千人もの民兵に取り囲まれ大惨事に。
高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」の取材では、
地上部隊の通信兵にアイディードの子息が従事していた。
つまり
敵方の親分アイディードとアメリカ人として兵役についていた息子。
親子が敵味方になり、闘っていたことになる。
なぜそうなったのか、、、、
昔
南部ソマリアのバーレ政権がアイディードを追いやった時に、
彼は家族を安全なアメリカへ移住させた。
皮肉なことに
アイディードの息子はアメリカ国民としてのびのび育ち、兵役に就いていた。
数奇な運命としか言いようがないが、真実はもっと数奇なベクトルへ進む、、
結局、アイディードはアメリカ軍に殺害されなかった。
が
その二年後、内戦で死亡。
アメリカ国民の息子が南部ソマリアに呼び寄せられ、
父アイディードの跡目を継ぎ内戦に加わる。
映画の外側には、こんな事実があり驚くばかりだった。
そして高野氏の取材は2012年で一旦終了。
その後も南部ソマリアに取材に行くが、殺されそうになりながら無事に帰国している。
現在、
南部ソマリアの内戦は28年目に突入。。。。
誰も止められないエンドレスな戦争が続いている。
高野氏が書いた「謎の独立国家ソマリランド」は、まさに悪女そのもの。
あまりの情報量にうんざり・・・したはずが、
映画を観る度に、砂漠のような情報量を読み返す羽目に。
まるで、悪い女の正体が分からず、振り回されっぱなしのダメ男のよう。
だが、
「デザート・フラワー」「キャプテン・フィリップス」「ブラックホークダウン」を観たら、、
頭の中のグチャグチャな配線が、
あれっ!?
コレ、、そういう事かぁーーーーー!とシュルシュルと解けていった。
その中で一番強く残ったソマリ人の言葉があった。
戦争のやり方を知らない者は、戦争の止め方も知らない。。
そうなんだ。。と深く頷いたが、それも釈然としないマヤカシだと・・・
こういう映画の意味は、
武器を持ち闘うことの闇を知ることの方が大事だと思う。。。。
ガラッと変わりますが、
ソマリアで覚醒植物カートを嬉しそうに抱えてる高野秀行氏のショットです(苦笑)
カート宴会で多くのソマリ人の本音と建前を聴いた高野氏。
あっぱれです!!!
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