中興の祖である唐池さんが第一線を外れてからのJR九州。
コロナ禍や毎年の災害など、色々と外的要因があったのは理解しているけど、どうも自己模倣の縮小再生産に陥っちゃっている感が強い。
JR九州の看板でもある、D&Sトレイン。(デザイン&ストーリー列車)
最近、お披露目したのが、36ぷらす3 ( https://www.jrkyushu-36plus3.jp ) と、ふたつ星4047 ( https://www.jrkyushu.co.jp/train/futatsuboshi/ ) なんだけど、内装やコンセプトが、完全にななつ星&或る列車の改訂版。
言い方悪いけど、「またこれなのか」感が半端ない。
一人の人間が生み出したと考えると、本当に驚異的だった水戸岡デザインも、ことJR九州に限れば、ななつ星in九州 & 或る列車が、一つの到達点となってしまって、その結果、当たり前なんだけど、以降は完全に自己模倣 or 細部のブラッシュアップに陥っている。
それは、レトロ+モダンな洋内装に、組子による和の表現。
本当に大川の組子の職人技は凄い。重々承知しているが、何もかもが組子、組子、組子・・・で構成されてしまっているので、見飽きるのも早い。
一般人からしたら「どの列車も、みんな同じデザイン(雰囲気)だね」という感じではないだろうか。
ただ、個人的には、水戸岡鋭治さんのデザイン能力が、既に枯渇して限界に達しているせい・・・だとは思っていないし、思えない。
要は「こういう列車を作りたいんだ!」という、発注者 = JR九州の戦略なり、熱量不足が、自己模倣の縮小再生産を招いているのだと思う。
D&Sトレインというコンセプトとは何であるか、今のJR九州の上層部は、キチンと咀嚼しているのだろうか。
縮小再生産に陥っているように見えるという事は、徐々に時代遅れというか、少なくとも時代とズレつつある事の証左のようにも映る。
旧型の廃車両を改造し、華美な装飾を与えて特急に仕立て直すのは、まぁ、費用面からも百歩譲って理解できる。
しかし、その車両を用いて提供しているサービスが、使用素材や監修者に拘った、意識高い系志向の料理やデザートばかり、というのは、一体、何なのか?
これも言い方が悪いが、JR九州の指し示す意識高い系の方向性が一定なので、結局、どの路線、どの列車も似通って来ていて、その列車ならではの何かが見えにくくなっている。(極論を言えば、街場の意識高い系創作料理店に行けば、車窓は別として、食べられるもんしかない)
唐池さんが全て正しかったとも思わないけど、少なくとも前列車を模倣したようなデザインや、縮小再生産と感じられるようなことは、良しとしなかっただろう。
例えば、指宿のたまて箱では、乗降口で蒸気を噴出させる演出で、玉手箱のイメージを具現化させた。
あそぼーいでは、車内で子供が安全に遊べるスペースを確保し、本棚を設え、窓側は子供さんが座るための専用座席を設置する徹底ぶりだった。
つまり、その列車の存在する意味・ストーリーを踏まえた上で、装備や内外装の設備が決定・デザインされていた。
そもそも、社運を賭けていたななつ星in九州でさえ、一番最初に提示されたデザイン案は、全面否定で却下。
客車製造が開始された後であっても、お客様のために車内スペースを増やしたい、と設計変更を要求し、予算と納期のせめぎ合いの中で、それを貫き通したと聞く。
一方で、そんな、ななつ星in九州は、JR九州のフラッグシップとして、実は無用な露出が限りなく抑えられている。
一例だが、JR九州の提供するアプリに、スタンプを集めるというコンテンツがあるのだが、JR九州の各列車のスタンプが色々と用意されているにも関わらず、ななつ星in九州については、影も形も全く姿を現さない。ななつ星の「な」の字さえ、探しても探しても出て来ない。
これが何を意味するか。
スタンプを集めて喜ぶような層は、ハナっから相手にしないという意思表示だろう。
それこそインバウンドを中心とした富裕層のみに特化し、叶うなら1回の乗車定員10人未満、料金1,000万円/人という方向でブランディングしたいのだろうと思う。
ある種の「あなた様と、あなた様が招待された方々のみのために運行される、超豪華寝台列車&サービス」を狙っているのだろうと推察する。
それはそれで正解だと思う。我々のような人間が、預かり知ることの出来ない世界で生きておられる方が実際に存在し、そういう方々は我々以上に、より高品質で自分に寄り添ってくれるサービスを求めて止まないのだから。
ただ、である。
単なる自己模倣の縮小再生産では、そういう富裕層を満足させ続ける事は難しい。
私のような人間でさえ、「また、このデザイン路線か」、「サービスの中身も、変化がないな」と感じるほどなのだから、目の肥えた層は、よりそれを敏感に感じ取るだろう。そして富裕層ほど、そういう紛い物には金も時間も提供しない・・・。
今のJR九州のやり方では、早晩、行き詰まるのではないかと、下賎の者ながら、勝手に危惧している。
結局、この手の新しいものを作り出すのは、上に立つ人間の戦略眼と、唐池さんのように自分の趣味を押し通す意志の力なのだ。
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「ななつ星in九州」のリニューアル車両公開 最高価格は170万円
https://news.yahoo.co.jp/articles/c00e2ef8e695661cb6c92e151768715d18c61574
リニューアル「ななつ星」公開 15日から運行開始、JR九州
https://news.yahoo.co.jp/articles/eca6b234e7f5b67b3b3260f5d4e4ff0c8b8ba389
「ななつ星」一部刷新、1人最高170万円に値上げ…新たに茶室やバーラウンジ
https://news.yahoo.co.jp/articles/ebb1b454f890c0aed624d54ac9951ef20973bcba
ついに“茶室”まで備えた豪華寝台列車に、3泊4日で115万円~「ななつ星in九州」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5c79cae458add1101b550376055e0f4a124a5da
元は高速バス!? 新型「ななつ星バス」へ異例の転身 豪華列車のお供はどれだけ豪華に?
https://news.yahoo.co.jp/articles/955b7df415d90bbc54b8491cc3652bac6abffcf7
豪華寝台列車「ななつ星」9周年 “最大”リニューアル 「八女茶」提供の茶室も JR九州
https://news.yahoo.co.jp/articles/576147cae8017ea3827457238f2eab521745f1b4
コロナ禍や毎年の災害など、色々と外的要因があったのは理解しているけど、どうも自己模倣の縮小再生産に陥っちゃっている感が強い。
JR九州の看板でもある、D&Sトレイン。(デザイン&ストーリー列車)
最近、お披露目したのが、36ぷらす3 ( https://www.jrkyushu-36plus3.jp ) と、ふたつ星4047 ( https://www.jrkyushu.co.jp/train/futatsuboshi/ ) なんだけど、内装やコンセプトが、完全にななつ星&或る列車の改訂版。
言い方悪いけど、「またこれなのか」感が半端ない。
一人の人間が生み出したと考えると、本当に驚異的だった水戸岡デザインも、ことJR九州に限れば、ななつ星in九州 & 或る列車が、一つの到達点となってしまって、その結果、当たり前なんだけど、以降は完全に自己模倣 or 細部のブラッシュアップに陥っている。
それは、レトロ+モダンな洋内装に、組子による和の表現。
本当に大川の組子の職人技は凄い。重々承知しているが、何もかもが組子、組子、組子・・・で構成されてしまっているので、見飽きるのも早い。
一般人からしたら「どの列車も、みんな同じデザイン(雰囲気)だね」という感じではないだろうか。
ただ、個人的には、水戸岡鋭治さんのデザイン能力が、既に枯渇して限界に達しているせい・・・だとは思っていないし、思えない。
要は「こういう列車を作りたいんだ!」という、発注者 = JR九州の戦略なり、熱量不足が、自己模倣の縮小再生産を招いているのだと思う。
D&Sトレインというコンセプトとは何であるか、今のJR九州の上層部は、キチンと咀嚼しているのだろうか。
縮小再生産に陥っているように見えるという事は、徐々に時代遅れというか、少なくとも時代とズレつつある事の証左のようにも映る。
旧型の廃車両を改造し、華美な装飾を与えて特急に仕立て直すのは、まぁ、費用面からも百歩譲って理解できる。
しかし、その車両を用いて提供しているサービスが、使用素材や監修者に拘った、意識高い系志向の料理やデザートばかり、というのは、一体、何なのか?
これも言い方が悪いが、JR九州の指し示す意識高い系の方向性が一定なので、結局、どの路線、どの列車も似通って来ていて、その列車ならではの何かが見えにくくなっている。(極論を言えば、街場の意識高い系創作料理店に行けば、車窓は別として、食べられるもんしかない)
唐池さんが全て正しかったとも思わないけど、少なくとも前列車を模倣したようなデザインや、縮小再生産と感じられるようなことは、良しとしなかっただろう。
例えば、指宿のたまて箱では、乗降口で蒸気を噴出させる演出で、玉手箱のイメージを具現化させた。
あそぼーいでは、車内で子供が安全に遊べるスペースを確保し、本棚を設え、窓側は子供さんが座るための専用座席を設置する徹底ぶりだった。
つまり、その列車の存在する意味・ストーリーを踏まえた上で、装備や内外装の設備が決定・デザインされていた。
そもそも、社運を賭けていたななつ星in九州でさえ、一番最初に提示されたデザイン案は、全面否定で却下。
客車製造が開始された後であっても、お客様のために車内スペースを増やしたい、と設計変更を要求し、予算と納期のせめぎ合いの中で、それを貫き通したと聞く。
一方で、そんな、ななつ星in九州は、JR九州のフラッグシップとして、実は無用な露出が限りなく抑えられている。
一例だが、JR九州の提供するアプリに、スタンプを集めるというコンテンツがあるのだが、JR九州の各列車のスタンプが色々と用意されているにも関わらず、ななつ星in九州については、影も形も全く姿を現さない。ななつ星の「な」の字さえ、探しても探しても出て来ない。
これが何を意味するか。
スタンプを集めて喜ぶような層は、ハナっから相手にしないという意思表示だろう。
それこそインバウンドを中心とした富裕層のみに特化し、叶うなら1回の乗車定員10人未満、料金1,000万円/人という方向でブランディングしたいのだろうと思う。
ある種の「あなた様と、あなた様が招待された方々のみのために運行される、超豪華寝台列車&サービス」を狙っているのだろうと推察する。
それはそれで正解だと思う。我々のような人間が、預かり知ることの出来ない世界で生きておられる方が実際に存在し、そういう方々は我々以上に、より高品質で自分に寄り添ってくれるサービスを求めて止まないのだから。
ただ、である。
単なる自己模倣の縮小再生産では、そういう富裕層を満足させ続ける事は難しい。
私のような人間でさえ、「また、このデザイン路線か」、「サービスの中身も、変化がないな」と感じるほどなのだから、目の肥えた層は、よりそれを敏感に感じ取るだろう。そして富裕層ほど、そういう紛い物には金も時間も提供しない・・・。
今のJR九州のやり方では、早晩、行き詰まるのではないかと、下賎の者ながら、勝手に危惧している。
結局、この手の新しいものを作り出すのは、上に立つ人間の戦略眼と、唐池さんのように自分の趣味を押し通す意志の力なのだ。
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「ななつ星in九州」のリニューアル車両公開 最高価格は170万円
https://news.yahoo.co.jp/articles/c00e2ef8e695661cb6c92e151768715d18c61574
リニューアル「ななつ星」公開 15日から運行開始、JR九州
https://news.yahoo.co.jp/articles/eca6b234e7f5b67b3b3260f5d4e4ff0c8b8ba389
「ななつ星」一部刷新、1人最高170万円に値上げ…新たに茶室やバーラウンジ
https://news.yahoo.co.jp/articles/ebb1b454f890c0aed624d54ac9951ef20973bcba
ついに“茶室”まで備えた豪華寝台列車に、3泊4日で115万円~「ななつ星in九州」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5c79cae458add1101b550376055e0f4a124a5da
元は高速バス!? 新型「ななつ星バス」へ異例の転身 豪華列車のお供はどれだけ豪華に?
https://news.yahoo.co.jp/articles/955b7df415d90bbc54b8491cc3652bac6abffcf7
豪華寝台列車「ななつ星」9周年 “最大”リニューアル 「八女茶」提供の茶室も JR九州
https://news.yahoo.co.jp/articles/576147cae8017ea3827457238f2eab521745f1b4