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磐梯東都バス誕生の裏事情?

関連ブログ記事・・・2023/5/25付「磐梯東都バスが2023/9限り路線バス事業廃止へ <5/26追記あり>」、2023/7/29付「磐梯東都バス撤退→会津バスが引き継ぎ→元の鞘に収まる

9月も後半になって、ようやく磐梯東都バス公式サイトのトップページに「事業廃止のお知らせ」が掲載されました。

さて、東北圏と中央を結ぶユニークな政治経済情報誌を標榜する雑誌「政経東北」(出版元=東邦出版)の公式サイトに、9月上旬に以下のような記事が掲載されました。

磐梯東都バス撤退の裏事情

会社としてのバス事業縮小~完全撤退の決断と、それを地元に伝えてからの一連のやり取りに関する記述については、当ブログでは論評を控えます。

こちらでクローズアップするのは、冒頭の(北塩原村の事情通)による以下の部分です。

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「東京都が1999年から独自の排ガス規制(ディーゼル車対策、ヒートアイランド対策、地球温暖化対策など)を検討し始め、2003年から規制がスタートしました。その過程で、東都観光バスは東京都内で使えなくなる車両の活用方法について、恒三先生(渡部恒三衆院議員=当時)に相談し、恒三先生から高橋伝北塩原村長(当時)に話が行き、『だったら、東京で使えないバスを持ってきてここで路線バスを運行すればいい。その中でできることは協力する』という話になったと聞いています」

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1993年に施行された「自動車NOx・PM法」により、対象エリアで事業を展開する運送事業者は、製造年次が古く排出基準に不適合の車両の使用の本拠を対象エリアにすることができなくなりました。特に東京都・埼玉県・大阪府の場合はほぼ全域が対象エリアに含まれており(外れたのはそれぞれ「奥多摩町・檜原村・島しょ部」「秩父地域および北部の町村の一部」「能勢町・豊能町」のみ)、まだまだ走れる車齢12年程度の車両の処遇が問題になりました。資金力のあるバス会社はこれらを一気に新車に置き換え、不要になった車両は地方のバス会社で再就職という流れができました。また、阪急バスの場合は「排出基準に不適合の車両を、能勢町・豊能町・京都府内など対象エリア外の営業所に転属させる」という技を使いました。

東京都の場合はこれにさらに上乗せする形で厳しい規制を導入し、困った東都観光バスが・・・というのが磐梯東都バス誕生の裏事情だったのかもしれません。同じ首都圏の大手観光バス会社の場合、帝産観光バスやケイエム観光あたりは対象エリア外の京都府でも事業を展開しており、融通が利いたはずです。

ちなみに、国の排ガス規制のレベルは2000年代前半まではどんどん厳しくなっていましたが、このブログ記事を書いている時点では、車両総重量3.5t以上の場合(大型バスはもちろん、トヨタコースターや三菱ふそうローザといったマイクロバスでもこちらに含まれます)、平成6年規制適合車以前のみがNGであり、平成9年規制適合車以降は許容されています。

https://www.env.go.jp/content/900400257.pdf

したがって、「新車を排ガス規制対象エリアのみに投入して、押し出された旧車を対象外エリアに転出させる」ような措置はもはや不要となっていますし、大阪シティバス(旧大阪市営バス)でも車齢20年近いバスが普通に走っていたりします。

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