はーちゃんの気晴らし日記

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シュークリームの思い出

2007年02月16日 | 回顧録
私が初めてシュークリームを食べたのは、小学校の3~4年生の頃だったと思います。

当時、東京の下町に住んでいた私は、学校が終わると近所の子供達と集まっては、暗くなるまで遊んでいました。
狭い路地を鬼ごっこをして走ったり、家々の間にある小さな広場で縄跳びをしたり、夢中になって遊んでいたように思います。
そして家に帰ると、必ずと言って良いほど、
「こんなに遅くまで遊んでいたら、ダメ!」
という母からのお小言。

その日も気がつくとあたりは暗くなっていて、叱られるのを覚悟で家に入りました。
でも、居間に母がいません。
どうやら祖母が遊びにきていて、別の部屋で祖母の相手をしていたようです。

そこへ弟がやってきて、
「これ、冷たくないアイスクリームだよ。おばあちゃんのおみやげだよ。」
と言って、私に箱を差し出しました。
見ると、肌色をしたふわふわしたものが何個か箱に入っていました。
私はそれを1個取り出して、玄関へ持って行きました。
冷たくないアイスリームだとしたら、すぐに溶けてしまうと思ったのです。
食べているうちに溶け出したアイスクリームが垂れて、服や畳を汚してはいけないと思い、玄関で食べようと思いました。
玄関の土間なら、汚れても良いだろうと思ったのです。

一口食べて、「おいしい!」と思いました。
世の中に、こんなものがあるのかと思いました。
アイスクリームにしては全然冷たくないけれど、アイスクリームのように甘くておいしい。
一体これは何だろうと思いました。
そして、溶け出してしまわないようにと、急いでもう一口、口に入れようとした瞬間、背後から母の声がしました。
「どうしてそんなところで、隠れて食べてるの!」
かなり怒った声でした。
私は返す言葉がありませんでした。

玄関で一人でこそっとお菓子を食べている私を見て、母は叱られる時間まで遊んでいた私が、母に隠れて祖母のおみやげのお菓子を食べていると思ったのでしょう。

でも、そのとき、私の中にはそんな意識はまったくありませんでした。
弟に
「おいしいから食べてごらん」
と言われ、汚さないように玄関まで持って行って食べたつもりでした。
でも、何故かそのときは、言い訳もできずに私は呆然としていたのを覚えています。

その後、冷たくないアイスクリームは『シュークリーム』と言う名前だということを知りました。
初めて食べたシュークリームにそんな思い出があります。

当時のシュークリームはシンプルで、中身は、カスタードクリームが入ったものでした。
今のように皮の上に粉砂糖がかかっていたり、中身が生クリームと混ざっていたり、イチゴが入っていたりなどということもありません。
まだまだ簡単には手に入らない洋菓子でした。
あのカスタードクリームが口に入った瞬間は、私にとっては衝撃的でした。

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