20年前、今で言うブログのような「ホームページ」を作っていたアタクシ。
昔使ってたパソコンを開くと、両親が北海道へ移住し、翌年アタクシが北海道一人旅をした時の事を書いた記事が出てきました。
長~いので、お時間のある方は暇つぶしにでも読んでね。(^^;)
私の父”つーくん”が、定年退職後の楽しみとして大好きな車を運転し、母”ちーちゃん”をカーナビ代わりに助手席に乗せては、あっちこっちへとドライブ旅行を始めた。
そんなつーくんとちーちゃんは、私に車中泊を教えてくれた旅の先輩である。
そのつーくんが、若い頃からの憧れの地”北海道”へ引っ越すと言い始めた。
人一倍寒さ嫌いのちーちゃんは大反対!
私もそんな遠くへ今更引越して「どうするんだ?」とビックリ!!
だが、つーくんの決意は揺るがない・・・
住んでいる家が売れたら、直ぐにでも引っ越せる様に着々と準備をしている。
ま、このご時世、ちーちゃんも私も「そうそう簡単には家など売れまい」とのんびり構えていたが、あれよ!あれよ!という間に買い手が見つかり、夏にはお引っ越しとなってしまったのだ。
ちーちゃんはその間もかなり北海道行きに抵抗し、つーくんについて行くか、はたまた気候の温暖なこの岡山で私と同居をするか悩んだ様だが、そこは長年連れ添った夫婦。
つーくんについて行ってしまった。
が、代わりにいろいろ条件を出した様で・・・(笑)
その1つめは、毎年岡山へ帰って来るという約束。
つーくんは、ちーちゃんが北海道を出て行ってしまわない様に、毎年せっせと運転しては、あっちこっちを旅しながら岡山へ帰って来る。
その道中、彼らは節約の為にも”道の駅”などを利用し、車中泊をするのだ。
ちーちゃんから聞く道の駅の話しに興味を持った私は、両親のように車中泊を楽しみながら、北海道の最北端に住む両親に会いに、7泊8日の一人旅を計画した。
初めての北海道、初めての長期休暇。
計画は練りに練って準備万端!
着替えも冬衣装、おまけに車中泊用に安物の軽い夏蒲団まで持参。
車で岡山空港まで行き、そこの駐車場に放置して(何と、無料なのだ)あとは新千歳空港から手配したレンタカーに乗り込むだけだから、少々の荷物があろうとも平気という訳。
2000年9月6日
14:20 岡山空港発 →16:10 新千歳空港着 →17:00 レンタカーに乗り込み出発。
出発前に、ちーちゃんからのアドバイス。
「北海道は早く店が閉まるし、町から町への間は店も無い。食料&飲み物は早めに確保」
その言葉を守り、空港から出てすぐに見つけたコンビニへ入り、今夜と明日の食料を買い込む。
初めて扱うカーナビにちょっと戸惑いながらも、まぁ、地図もある事だし先を急ごう・・・
と走り出したのは良いが、迷って札幌市内へと入り込んでしまった様だ。
生憎夕方の帰宅ラッシュにひっかかり、おまけに市内は一方通行も多く、あれれ?状態。
「おい、カーナビ!しっかりガイドをしてくれぇ」とグルグル彷徨う事、しばし。
ようやく市内を抜けた時には既に予定時刻を1時間以上もロスしてしまっていた。
「あちゃぁ~!」
今夜は”サンフラワー北竜”という温泉設備もある道の駅で野宿の予定なのに、これでは営業時間内に着くかどうか?
焦る気持ちに追い討ちをかける様に雨も降り、町から町へと続く道は車も少なく真っ暗。
R275を北上し、ひたすら走るがこの調子では温泉には入れそうにない・・・
お腹も空いてきたし、ちょっと休憩だ。
路肩に車を停め、買ってきたおにぎりを食べる。
「あ~ぁ。本当なら温泉に入ってこれを食べる予定だったのにぁ・・」と思いつつ。
気がつくと、後ろの方でもトラックに乗ったおじさんが食事をしてる。
が、辺りは人気も無く、ちょっと不気味なので慌てて出発する事にした。
ようやく最初の道の駅”田園の里うりゅう”にたどり着いたのは、夜9時過ぎ。
いそいそと閉店している店をわき目に、道の駅のトイレに入ると、何やらスタンプラリーというポスターを見つけた。
どうも、各道の駅に設置してあるスタンプを押して集めれば、回った箇所の数によって、抽選で記念品をもらえるのだとか。
「ほほ~ぉ、そりゃ楽しそうだ」と、急きょスタンプラリーも楽しみながらの旅に変更とする。
さて、野宿ポイントの道の駅まで、あと一走り。
ようやく見えてきた”サンフラワー北竜”
思わず「あっ!?」と驚いたのが、入り口にある「龍」の門構え。
予定時刻を過ぎ、温泉には入り損ねたが、この歓迎には疲れも取れたというもんだ。
9月7日
昨日は到着予定時刻をかなり過ぎ、尚且つ慣れぬ夜道でのドライブという事もあり、初めての車中泊ではあったが、瞬く間に眠りについた。
夜明け前に目が覚め、ちょっぴり身震いする寒さの中、改めて道の駅「サンフラワー北竜」を目にすると、広い駐車場・洋風なホテル施設を兼ね備えた建物に、北海道の広大さを感じる。
そこを後にしながら「よぉ~し、帰りにもう一度ここへ寄らなくっちゃ!」と思いつつ出発。
日本海側のR232通称「オロロンライン」を北上し、6時半頃3つ目の道の駅「おびら鰊番屋」に到着。
スズランを模ったオブジェ?とその向こうに見える日本海を眺めながら朝ごパン。
予定ではこのまま北上し、再北端の宗谷岬を目指し、夕方両親の待つ実家へ向かうつもりだったが、途中でちーちゃんに電話を入れると、「すぐにこっちへ来ればぁ?」という事。
そうすると、もう1箇所回りたかった道の駅「ほっと はぼろ」へ寄れないんだがなぁ・・・と思いつつも、昨夜は温泉に入り損ねた事だし、早めに実家へ帰り風呂に入ろう!と、進路変更。
道道40号に入るとすれ違う車も殆ど皆無。
途中トナカイ牧場というのがあるのだが、生憎工事中とガイドブックにかかれており、断念。(今は別の場所へ移築)
ようやく両親の住む町に近づき再びちーちゃんに電話を入れる。
「今、”農業研究所”とかいう所に着いたんじゃけど、ここからどっち?」
ちー:「もう、着いたん!?早えぇなぁ」と驚く。
だって、道中信号なんて無いし、多少細い道はあったものの、快適ドライブコースだもん。
ちーちゃんに教えられた道は分かり易く、すぐに写真で見せてもらった事のある建物が・・・
「おっ、ここだ、ここだ。着いたぞ~」
2重のサッシ戸をガラガラ開けると、真正面にリビング、そして右手にキッチン。
ちーちゃんの懐かしい姿が目に入った。
一通り家の中を見て回ったり、外に出てガレージでゴソゴソしているつーくんにご挨拶。
やがて、大根や里芋の煮っ転がしの懐かしい臭いにお腹がグ・グー。
失礼して一足先に頂く。
(つーくんの食事時間はいつも決っていて、私はそれまで待ちきれなかった)
ようやくつーくんの食事も終わり、ちーちゃんが後片付けを済ますのを待って、一服がてら(当時、アタクシは喫煙者)一緒に散歩に出かけた。
実家の回りは家もまばらで、殆ど歩いてる人を見かけない。
ちーちゃんと積もる話しをしながら、のどかなひと時を過ごす。
その時、ちーちゃんが「今夜は家に泊まりなさい」と言った。
が、実家はつーくんが禁煙令を出している。(実は私、タバコで家を追い出されました。笑)
ニコチン中毒と戦いながら、実家に泊まるのは苦痛なんだが・・・
でも、そんな私を、今となっちゃ目をつぶってくれているつーくん。
おまけに自分のイビキのすざましさを自覚しているものだから、私の滞在する2日間、近所のホテルに予約をしてくれるつもりだったらしい。
が、生憎今夜は満室で部屋が取れなかったとか。
そんなつーくんの気持ちをくんで、「今夜は家に泊まりなさい」と言うちーちゃん。
やれやれ、一宿一飯の恩義ではないが、これも親孝行?
今夜はニコチン中毒と戦いながら、実家に泊めて頂くとするか!と覚悟を決める。
その分、明日は1日ちーちゃんを貸し切りで、夜はつーくんが予約してくれたホテルへ一緒にお泊り。
母娘、水入らずにしてくれると言うのだから・・・
気が付くと辺りは既に夕暮れ。
北海道の日没は早い。
つ―君の待ってる家路へと急ぐ。
ちーちゃんは再びイソイソとキッチンに立ち、夕食の準備を始めた。
天ぷら・毛ガニ、お~!豪勢な献立だ。
おまけに富良野ワインまで出てきちゃったりして、いいのかなぁ~と飲む、食う。
すっかり出来上がった私はベッドにゴロリと寝っ転がると即、夢の中へ・・・
ふと、目が覚めるとつーくんがボソボソ喋る声が聞こえてきた。
「のぉ、?おめぇじゃったら、あの年でこんな所まで1人でよぅ来るか?」
どうやら私が遠路はるばる岡山から飛行機に乗り、レンタカーを走らせて、最北の地まで辿り着いた事に感動している様だ。
ちーちゃんは内心(そりゃぁ、オーストラリアへ1人で行った位じゃもん、何ってこたぁねぇわ)
と思いつつ、つーくんに相槌していたとか。
私は幼い頃からつーくんと折り合いが悪く、同居していた時は殆ど会話も無かった。
今はお互い年を取り、ガンコ爺&ガンコ娘も丸くなって、つーくんとちーちゃんが北海道へ引越す事になって以来、多少の会話もする様に。ようやく父娘らしい関係になってきた。 (と、自分では思っている)
そんなつーくんは、私が訪ねて行った事がよほど嬉しかったのであろう。
後でちーちゃんから聞いた話しによると、私が寝ていた間中ずっと喋り続けていたとか。
そう言えば、ホテルの予約をしてくれたり、私の為に掃除機をかけたり、布団を干したりしてベッドの準備までしてくれたらしく、昔のつーくんからは想像もつかない事だもんなぁ~と、親のありがたみをしみじみ感じる。
と、神妙な思いに耽っている所ではない。
「ト・トイレ・・・」
しかし、つーくんの話しはなかなか止まらず、出ていくに行けない。
ようやく話しの区切りがついた所で、さも目が覚めたふりをしながらベッドからモソモソ起き出し、開口一番「風呂はぁ?」
ちー:「あんた、寝とったから、もうお湯を落としたが」
私:「へっ!マジィ!?風呂に入りてぇよぉ。何で起こしてくれんかったん」
つー:「明日泊まるホテルに温泉があるけん、そこで入れ。何日も入ってなかったら、その分風呂のありがたみも分かろうが。ヒッヒッヒッ・・・」って、なんちゅう親じゃ!?
幸い北海道は肌寒い位の毎日で、汗はかいてないものの、風呂好きの私としては、せめて1日1回風呂には入りたい。
しかし、ここでゴネてつーくんのご機嫌を損ねてはいけないので、しぶしぶ諦めて再びベッドに。
9月8日
数時間後、つーくんの大イビキで目が覚めたら、深夜3時頃だったろうか。
(しめしめ、今の内に・・・)と、抜き足差し足でこっそり玄関を出て、車の中に入り、一服を。
と、そこへちーちゃんの顔が助手席から覗く。
私:「おわっ!」
ちー:「この寒いのに、そんな所でタバコ吸うて!」と睨んでる。
ふっふっふ、こりゃまるで若い頃にこっそり隠れて一服していた時の様なスリルだわ。
などと、バカな事を考えながら、満天の星空を眺める一服の美味しい事♪
結局、ちーちゃんも起き出して、パンを焼いたり留守番をするつーくんの為に食事の準備。
やがて、真っ赤な太陽が家のキッチンの窓から覗き始めた。
夕暮れも早いが日の出も早い。
私の住む岡山と30分違う様だ。
そんな朝日を眺め、美味しい空気を吸い込み、ようやく北海道に来てるんだ!と実感する。
夜も明けてきた5時頃。
つーくんの粋?な計らいによって、私はちーちゃんと母娘水入らずで、1泊のドライブ小旅行へ・・・
まだ大イビキのつーくんにメモを残し、最北端「宗谷岬」を目指して出発するのだった。
オホーツクの海を右手に見ながら、R238を北上する。
約1時間後、道の駅「さるふつ公園」にて小休止。
この道の駅にもホテル施設が兼ね備えてあり、早朝だというのに外の駐車場には数人の宿泊客らしき姿が、記念撮影をしている様だ。
私達も少し離れた場所で写真を撮ってると、その中の1人の外人女性が近寄ってきて、「写してくれ」とカメラを差し出す。
よくよく見れば、記念撮影をしているのは全員外人の様だ。
撮り終えてから「どちらから?」と聞くと、「サハリン」とその女性は答え、バッグの中からチョコレートを1枚差し出し「お礼に」とくれた。
Made in サハリンのチョコレート、全体的に赤っぽい色合いのパッケージは、何だかとても嬉しい気分にさせてくれた。
更に北上し、「宗谷岬」へ。
ここから43キロ向こうに、先ほどチョコレートをくれた女性の住んでいるサハリン。
「日本最北端の地の碑」は北緯45度31分14秒にあり、北極星をモチーフにした三角錐のデザインの塔の前で、他の観光客同様、私もちーちゃんに撮ってもらったが、出来上がってきた写真には先の方が切れた三角錐・・・(ちーちゃん、全体を入れて下さい!)
その塔の道路を挟んだ向かい側の斜面を登って行くと、何やら”鶴”を模ったドでかい物が。
「ありゃぁ、何だろうねぇ」とちーちゃんと話しをするが、ガイドブックにも載ってなく、謎・・・
空はうす曇、海風がとても強くやたらと寒い!
写真を撮り、早々に車へと戻り、自販機で買ったホットコーヒーでホッと一息つく。(お、ダジャレ)
次に宗谷海峡を挟んだ反対側のノシャップ岬へと、稚内市内を抜けて向かう。
こちらも海風が強いが、いつの間にか空は晴れ渡り、太陽が眩しい程になってきた。
記念撮影ポイントのイルカさんの前でウロウロしていると、サイドカー付きのバイクに乗った中年男性と、乗用車に乗った都会的な中年女性が来て、一緒に写真を撮りあったりしてるが、プレートナンバーが同じ東京でも「区」が違う。
私とちーちゃんは車に戻りながら「あの2人はどうゆう関係だろうねぇ?」などと、いらぬ詮索にちょっと話しが盛り上がったりもした。
市内へと戻る途中「稚内公園にも寄ってみよう」という事で、ユルユルと坂道を走る。
と、何とここの土産物店で、私のコレクションであるインコの置き物を見つけてしまった!
「おっ、これ買う買う♪」と、北海道へ来て初めての土産がルリコンゴウインコの置き物かぃ!?
しばし観光を楽しんだが、どうにもこうにも風呂に入りたくて仕方ない。
ホテルのチェックインは3時からという事で、一路ホテルのある浜頓別を目指してR40を南下し、豊富町から道道を抜け、クッチャロ湖へ。
途中、トラックなどが停まって休憩をしたりする場所があり、そこで我々も早めの昼食。
回りの自然をボーっと眺めながら、お日様の下でのちーちゃんお手製の弁当はなかなか美味しいもんだ。
クッチャロ湖へ行く前に”サロベツ原生花園”へ寄りたかったのだが、ちーちゃん曰く「今頃の季節、花はあまり無いし、クッチャロ湖の側にある”ベニヤ原生花園”でエエが」という事で、ベニヤ原生花園に立ち寄る。
確かに季節の良い時なら一面の花で見事なのだろうが、もう北海道は初秋。
花はどこ?と探さなければならない程であった。
次に向かったクッチャロ湖には「水鳥観察館」というのがあり、無料で入館できる。
中にはたくさんの剥製が置かれ、私としてはなかなか興味深いものだった。
そこからすぐ近くにあるホテルへと着いたのが3時ちょっと前・・・
とりあえず「風呂だ、風呂だぁ!」とホテル自慢の温泉へと向かう。
普段長湯をしない私は、ここで初めて温泉の良さを味わった感じだ。
たっぷりと温泉に浸かり、この2日間の疲れと垢も綺麗サッパリ流した気分になれた。
風呂から出て、フロント横に販売している牛乳をグビグビ飲む。
これまた格別なお味ですな・・・
部屋に戻って畳の上でゴロゴロしていると、夕食の時間がきた。
まだ他の客は観光中、はたまた温泉に浸かっているのだろうか、我々が一番乗りだ。
早朝から活動していたちーちゃんと私は、お腹も満ち足りて、部屋に戻ると1時間もしない内に眠りの世界へと引き込まれていった様だった。
夜更けに目を覚まし、再びお喋りを始める。
明日の朝9時には、つーくんがちーちゃんを迎えに来る。
しばし、母娘のひと時を惜しむ様に、それは朝まで続いた・・・
9月9日
朝食を取りにレストランへと向かう。
前夜の夕食はそれ程でもなかったが、今朝の鮭の塩焼きはとても美味しい!
珍しい事に朝からご飯のお代わりをしてしまった程だ。
ちーちゃん曰く、この季節の秋鮭は脂がのってて美味いのだとか・・・
ゲップゲップ言いながら部屋へ戻って荷物を片付けていると、早くもつーくんがドアを開け「迎えに来たでぇ」
一服していた私は「アワワ!」と慌てて火を消したのだが、まだ8時半じゃん!?
バタバタとフロントでチェックアウトを済ませ、つーくんの待つ車へと向かう。
せっかくだからとそこで記念撮影をし、いよいよしばしのお別れだ。
と、つーくんが「これ、ガソリン代にでもせぇ」と封筒を差し出した。
「おんや、まぁ~!」
今までのつーくんからは絶対に予想もつかない事だ。
横でちーちゃんも目を丸くしている。
後で電話をした時に、ちーちゃんが「お父さんから小遣いをもらうんなら、あげにゃぁえかった」と言った。
実は、前日コッソリちーちゃんからも貰っていたのだ。
一度貰った物は返さない~~~! 感謝・感謝と思いつつ・・・
ちーちゃんは、つーくんの車に乗り込み家路へ。
私は再び道の駅スタンプラリーを楽しみながら、一人旅を再開だ。
スタンプ帳の地図を見るとR238号に沿って「マリーンアイランド岡島」「おうむ」「おこっぺ」「オホーツク紋別」と道の駅が並んでる。
立ち寄ってはスタンプ帳にポンポンっと。
そして「オホーツク紋別」にある流氷科学センター「ギザ」という所に入ってみた。
そこで見た映像(?だったか)は、荒々しいそして時には優しい冬の流氷が。
何だかそれを見ているとジーンとしてきてちょっと目頭が熱くなってしまった。
つーくんやちーちゃんは、こんな厳しい寒さの中、長い半年間の冬をどの様に過ごしているのだろうか。
そして、そんな冬だからこそ、残りの季節がより暖かく感じるのだろうか。
そんな北海道に魅せられ、ここを最期の地に選んだつーくんの思いがちょっとだけ分かる気もした。
さて・・・と、気を取り直して次なる道の駅を目指して進むとしよう!
ずっと海沿いを走ってきたが、R273号に「香りの里たきのうえ」という所がある。
駅の名前からして、何だかステキな所の様に感じるぞ。
案の定、建物はヨーロッパ風でなかなかしゃれていて、売店にはポプリやハーブなど女性好みの品々でいっぱいだ。
後日談だが、ここで買ったポプリのお土産を、近所に住む(私が借りてる部屋の)大家さんのお婆ちゃんにプレゼントした所、とても喜んで下さり「私には息子しかおらず、こんな可愛いプレゼントは初めてです。 娘からの贈り物の様で大切に飾らせて頂きます」というメッセージを頂戴した。
このお婆ちゃん、両親が北海道へ行ってからは、私の母代わりに思ってる人なのだ。
再びR238号のオホーツク海沿いに戻り、今度はR242号から「まるせっぷ」という道の駅へ。
この道の駅へ向かう途中には、道路沿いに綺麗なお花が植えてあり、
”丸瀬布の町へようこそ!” と歓迎してくれてる様で、何だか期待度が上がってきた。
到着したまるせっぷの道の駅は、周りを木々に囲まれた三角錐の建物。
北海道の道の駅はどこも建物が凝っていて、私の好奇心をそそる。
当初はここを車中泊のポイントにするつもりだったが、辺りは陽が暮れ始めうっそうとした雰囲気。
夜中にこの木々に囲まれて寝るのはちょっと心細いなぁ・・・
という事で、もう少し足を伸ばしてR242号からR39号を抜けた「おんねゆ温泉」という道の駅へ。
生憎の雨空になり、疲れもちょっと出て来つつ「あともうひと頑張り!」と自分を励ましつつ走る。
ようやく「おんねゆ温泉」に到着したのが夕方6時前。
駐車場の側には赤のれんなどのぶらさがった店が並んでいるが、もう閉店の準備をしている。
と、そこに目の前の大きな時計から突然音楽が鳴り始めた。
「な、何!?」と車の中から真正面に見上げられる時計を見てみると、中から楽器を持った可愛い楽団の登場。
外は冷たい雨だが、窓を少し開けるとブンチャカブンチャカ♪演奏してるのが聞こえる。
しばし呆然と見とれていたら、それは5分程で終わり、再び駅には静寂さが戻る。
この大きな時計、後で知ったのだが、世界一のからくり時計なのだそうだ。
薄暗い中、突然の登場であまりよく見てなかったのが非常に残念で、今回再びこの時計を見たくて、実はもう一度「おんねゆ温泉」へ行こう!と計画している。
(今度はバッチリ取材してくるので、ご期待を・・・)
ふ~っと疲れを再び感じ、早々にトイレで着替えを済ませ寝支度だ。
ここは盆地とあってか、雨も手伝いかなり冷える。
深夜3時頃、あまりにも寒くて目が覚めてしまった。
再び眠ろうとするが、こう寒くては寝られない!
しばしエンジンを掛け、車中を暖めつつ「はて、どうしよう?」と考える。
次の目的地はちーちゃんに教えてもらった、テレビタレントの田中何某が経営する「花畑牧場」
いや、その前に層雲峡にも立ち寄りたいし・・・
そう言えば、今日はまだ風呂に入っておらんぞ!?
などと、地図やらガイドブック、道の駅のスタンプ帳を広げて駐車場の薄明かりの中、ごそごそルートを探す。
えぇぃ!このまま眠れずにここにじっとしてるのは、時間がもったいない。
雨足はまだまだ強いが出発だ~!という訳で、4時過ぎ出発する事に。
が、辺りは真っ暗。
カーナビの指示に従って進むが、途中から細くて凄い山道。
オートマのレンタカーは、目一杯アクセルを踏んでも20~30キロのスピード。
♪何だ坂、こんな坂♪と山道を前後に走る車がいないのを幸いに、のろのろユルユル進むのであった。
やがて夜も明けた頃層雲峡に辿り着き、ホっと一安心。
その景色と温泉街らしい町並に「これが有名な層雲峡かぁ・・・」と見とれる。
さて、始発のロープウェイが出るまで、ちょっと休憩だ。
9月10日
ロープウェイの始発まで、温かいコーヒーをすすりながらしばらく待つ。
早朝だというのに、他にもロープウェイに乗り込む客がいるのには驚きだ。
このロープウェイは1年中運転しているとかで、急斜面をゴトゴトと登ると、見る見る間に下界が小さくなっていった。
遠くは蝦夷富士まで見渡せられると言うが、お天気が悪いので残念な事に霞んで見えない。
あっという間に5合目まで到着し、そこから更にリフトで7合目まで行けるという。
ちゃんと、雨の日用に雨合羽やビニール傘まで無料で貸してくれる様になっていて、重ねに重ねた服(5枚)の上から雨合羽をモソモソと着込み、準備完了。
係りのオジサンの誘導に従ってリフトにヨイショと座り込むが、さすがにここまで来ると、他に昇っていく様な物好きは見当たらない。
貸切状態のリフトがゆっくりガタゴトと斜面を昇る中、足元に咲くリンドウの花々が、早くも北海道の秋の気配を告げている様だ。
数分後7合目に到着すると、重装備な登山スタイルの中年男女がインストラクターらしき人の説明を聞いている。
ほほぅ・・・ここから頂上目指して歩くのかぁ。
その登山者達がワイワイ出発し誰もいなくなった所へ、野生のシマリスがひょっこり顔を覗かした。
1メートル程の目の前で、数秒間チョロチョロとその姿を見せ、思わず顔がほころんだ所で再び何処かへ消えていった。
リフト乗り場の係りのオジサンに頼んで写真を撮ってもらうと 「生憎の雨で残念だねぇ。昨日ならええ天気だったんだけど・・・」と言われる。
が、いつの間にか雨は小雨になり、やみそうな気配。
リフト・ロープウェイを再び乗り継ぎ、車へと戻る。
かじかんだ手を車のヒーターで温めながら、次なる目的地を考えた。
7時半層雲峡を出発し、R39号→R273号→R241号→R236号と抜け、道の駅「虫類」という所にある温泉に入る事にする。
着替えを小袋に詰め替え、フロント前で日帰り入浴券を購入し、温泉に浸かるとホっとする。
体もポカポカ暖まった事だし、ここからR236号を少し戻ると、例のテレビタレント田中氏の経営する「花畑牧場」に到着。
砂利だらけの駐車場から、道路をはさんだ向かい側にある「花畑牧場」
お花が綺麗に植えてあり、そこから先に進むと売店が。
1時半からフリスビーショーが行われるというので、紅茶&クッキーのサービスを受けて待つ。
しかし、何とも風は冷たく、ショーの始まるまでの長く感じる事!
ようやく始まったショーは、田中氏のおじさんという人が一生懸命だった・・・
ん~、ちょっと期待はずれだった様な気もするが、最後に売店の側で記念撮影をお願いした女性は、もしかして田中氏の奥さん?などと、後になって思ったりした。
ショーが終わり、早々に車へと戻り、R38号から富良野市内へと向かう。
前夜の寒さに引き続き、今日もかなり冷えるので、急きょ富良野駅前の安ホテルを探し、そこに泊まる事にした。
早朝からのドライブで疲れた為、ホテルの側で買ってきた缶ビールを飲んだらバタンキュー!
9月11日
朝6時、ホテルを出発。
道の駅「スタープラザ芦別」へ立ち寄り、スタンプをポンッ!
と、そこに何やらどでかい白の大仏様を発見。
んんん?これは何だぁ!?
(この謎は次回北海道篇’02にて明白になる予定)
次に、かの有名なテレビドラマ「北の国から」のロケ現場?”ろくごうの森”を訪ねてみたが、悲しいかな私はそのドラマを見てないので、今ひとつピンとこない。
早朝という事もあってか辺りに人はなく、そそくさと次なる”富良野チーズ工房”のソフトクリームを目指して出発した。
毎日寒くて、昨日の花畑牧場にもソフトクリームを売っていたが、どうにも食べる気になれず、本日北海道初のソフトクリーム。
今日のお天気はまずまずで、ここでのソフトクリームが楽しみ♪
まずは、工房の中を見学。
2階には大きな牛が置いてあり、乳製品を販売している。
牛乳を1本買い、朝食代わりにグビリグビリ。
次に待望のソフトクリーム売り場へと行き、バニラを1つ。
ん~、これが最高に美味しい!
ここに来てよかったぞ・・・と、今日の旅は何だか楽しくなりそうな予感。
旭川へと戻り、”アイヌ館”を訪ねてみた。
資料館の様な所をウロウロ見学していると「エトピリカ」という見た事のない鳥の写真が。
現在北海道に8羽しか生息していないとの事。
そこへドヤドヤと修学旅行の学生の団体が、隣の部屋へと入っていった。
私もその後に続いて入って行くと、アイヌ衣装を着た男性が登場し、かつてこの地でアイヌの人々が差別やいろいろな苦労を重ねてきた事・アイヌ語などについて話してくれる。
北海道の地名は漢字で書かれているが、独特の読み方をする地名が多い。
その元になっているのがアイヌ語だそうで、それぞれに意味があるとか。
小樽・・・オタルナイ (砂の道の沢)
釧路・・・テクシル (我ら通る道)
網走・・・テパシリ (幣場のある島) などなど。
その後、女性達が6~7人登場し、踊りや楽器演奏を披露してくれる。
終わってから、学生達が再びドヤドヤとバスへと戻るのと反対の方向へ私は歩き、数店並ぶお土産物店を物色。
誰もいなかった店に、先ほど踊りを披露してくれた女性達が戻ってきた。
他に客がいないからか、その中の一人の女性が私に声をかけてくる。
「今はねぇ、アイヌ人もここから離れて東京やら都会の方へ行ってしまった人が多いんだよね。旭川は何でも日本一就職率の悪い所らしく、なかなか仕事もないからね・・・ほら、こうゆう刺繍は全部私達が冬の間やるんだよ。この模様にもちゃんと意味があって・・・」
などとお喋りが弾む。
「そうだ、写真を撮ってあげるよ。カメラ持ってる?ここに貸し出し用の衣装があるからこれがいいかな?っと、帯はこれを合わせよう。」
Tシャツ・Gパンの上からパパッと衣装を着せられ「ん~、ここにお立ちよ」と、私のカメラを手にしてパチリパチリ。
これは思わぬ記念になり、嬉しくなった私は先ほど物色していたエトピリカの木彫りの置き物と、刺繍のポーチなどを購入してしまったのだ。
またまたいい気分で礼を言い、車に戻ると車内が暑く感じる程に良いお天気になってきた。
さぁて、まだ時間はあるし何処へ行こうかとガイドブックを広げてみる。
お、この近くに乗馬体験の出来る牧場があるらしい。
動物好きな私としては、これは是非挑戦してみなくては!
という訳でカーナビに行き先を入力し、いざ出発。
しばらく走ると左手に綺麗なお花畑が見えてきた。
ん~、これは綺麗だ。
ちょっと寄り道して・・・と、ぐるりとお花畑を歩いて車に戻りエンジンをかけた時、ドカ~ンと大きな音が聞こえてきた。
このお花畑の出入り口で、スポーツカータイプの軽四とレンタカーが衝突している。
軽四の女性も、レンタカーの新婚さんらしい二人にも怪我は無かった様だが、あらあら大変だ。
ここは私も気を引き締めて運転しなければ・・・
しかし、カーナビの指示する道は、途中から農道の様な所へ。
「えぇぇ!?これって畑と畑の間じゃないかぁ?」「トラクターが通る道じゃないのか?」「こんな所を走っていいのかなぁ。」
と思いつつも他のルートが分からない私は「誰にも怒られません様に」と突っ切る。
どうにか無事に見つからず、牧場に着くとでっかい犬が暑そうに舌をダラリと出して座り込んでいる。
「あのぉ・・・乗馬体験したいんですけど、いいですか?」と声をかけると「はぁい、いいですよ」という事で、しばし準備のできる間ロッジ風の軽食コーナーでランチタイムとする事に。
ビッグなホットドッグを堪能し終わった頃、接客してくれた若い女性が「どちらからですか?」と声をかけてきた。
「岡山からです。こちらに両親が移住してきたので、訪ねがてらあっちこっち観光を」
「私は東京からここに嫁いで来たんですよ~」と、私達は世間話しを始めた。
彼女は、この牧場での少ない収入でやっていけるのだろうか?と最初は不安だったらしいが、近所の人達から野菜だの牛乳だのと、いろいろおすそ分けを貰い「食べる事には全然困らなくて」と嬉しそうに言う。
夏と冬の寒暖の差60度という旭川に嫁いできた女性。
不安を乗り越えて、この地にどっかりと根を張りつつある彼女の逞しさをかいま見た。
そんな思いにふけっていると、いよいよ乗馬体験へ「どうぞ」と声が。
ひげを生やしたオジサンが登場。
胴体だけの作り物の馬にまたがり、手綱さばきや姿勢などを教わる。
次に柵の中にいる馬の所へ行くと、先ほどの女性の旦那さんであろうか若い男性が担当。
本物の馬は思った以上に背が高く、アブミに足がやっと届く位置。
ぐぐ~っと足を広げ、股関節が壊れてしまいそうな程頑張って、ようやく乗馬する事が出来た。
はぁ・・・一苦労。
それから引き馬状態で柵の中を「はい、右に。左に。ちょっと駆け足」とカッポカッポ乗る。
途中突然馬の動きが止まったかと思うと「ちょっとオシッコをしますので、待って下さいねぇ」とジョジョジョー。
待つことしばし、再びカッポカッポと歩き始める。
あっという間に体験時間の20分が過ぎ、何だか物足りない気分だが、下馬すると普段使い慣れない足の筋肉やら、さんざん打ち付けられたお尻が痛むのだった。
が、これは心地よい痛みだ。
最後に馬と一緒に記念撮影をしてもらい、またもや満足満足♪
次は、初日に入れなかった道の駅の温泉「サンフラワー北竜」へ行くのだ。
夕方6時頃到着。
まずは温泉へ・・・
北海道に来てからすっかり温泉が気に入ってしまった私。
サッパリした所でレストランへ入り、ビールに”たこの天ぷら””ひまわりの芽のサラダ”
しかし、それがひまわりの芽だと知ったのはつい最近の事。
貝割れを大きくした様な形、それでいて辛みもなくさほどクセも無かった様に記憶している。
腹も満ち、湯上りの一杯(いや、実は三杯)でかなり出来上がった私は車へと戻り「今日はとっても良い1日だったぁ」と眠りについたのであった。
9月12日
午前3時半、起床。
あらあら、ザーザー降りの雨だ・・・
道の駅スタンプラリー20駅目指して、昨日立ち寄れなかった「歌志内チロルの湯」
それから「ハウスヤルビ奈井江」にてスタンプを押す。
8時、札幌近くにある「マウイの丘公園」に着いた頃には雨もやみ、薄日が差し始めてきた。
道の駅の係りの人にスタンプの数を確認してもらい、応募箱の中へ入れる。
後日抽選で500名にオリジナルのハイウエィカードが当たるかもしれないのだ。
(そして、忘れていた頃、めでたくも私は抽選に当たり、ハイカを頂戴した!感激!!)
レンタカーの返却までまだ時間があるので、羊が丘展望台に移動して、記念撮影。
次に「明治開拓村」という所へも行ってみた。
村内はとても広く、当時の北海道の開拓の様子がよく分かる。
すっかり快晴になり、歩き回っていると汗ばむ程。
時々木陰に入っては涼しい風に吹かれ、のどかなひと時だ。
小学生の勉強会に来ているのだろうか、子供達の姿も多く見られる。
昼食に”屯田兵弁当”を注文してみたら、これがなかなかのボリュームで特にトン汁が美味しかった!
又食べたいと思う程・・・
さて、いよいよレンタカーを返却し、今夜は札幌市内のホテルに宿泊。
レンタカーの営業所の若いお兄さんにホテルまで送ってもらう。
部屋に入ってみると、なんとツインルーム!
部屋割りの都合で、シングルルームの料金でツインに泊まれるのだ。
今までにも何度かこうゆう経験があるが、今回のホテルはなかなか豪華でツインルームは2部屋。
とっても広くて、これはかな~りラッキー!
おまけに札幌市内だというのに、ホテル内には温泉もあるし、この旅、一番の優雅な夜を過ごし、ふふん♪の気分に浸る。
9月13日
いよいよ今日で北海道ともお別れ。
早朝からひんやりした空気を楽しみながら、中島公園・大通公園を散歩したのに、その数時間後には岡山の残暑厳しい中だ。
こうして初めての北海道、車中泊という体験を終え、何だかこうゆう旅も悪くなうかな?と思えだした。
若い頃働き詰めで、定年退職後気ままな旅をするのが夢だったつーくんとちーちゃん。
やはり私もその血を引いているのであろうか?
今、二人と同じ様な旅を楽しみ始めている。 完
そして、この旅の2年後。
私は再び北海道の旅に・・・
その内容は、また時間のある時にでも。(^.^)
パソコンのお陰で昔の記録がすぐに取り出せ、文章だけでも写真同様、当時の事がよみがえります。
こうして振り返ってみると、この時北海道へ旅する事によって、今の旦那さんへとつながっていったのだ・・・と、、不思議な導きを感じます。
在りし日の母。
初めてのマックに大喜び。
歌が上手いと、いつも自慢の母は、カラオケで唸りまくり。
天ぷらを揚げる母の後姿。
お花が大好き。
まだまだ涙は枯れませんが、いつものように過ごしています。
大丈夫ですよ。
笑っていますよ。(^.^)
今日は旦那さんと一緒に、カメラを持ってお出かけしてきます♪