二上山の登山道には万葉和歌が幾つかあります。
その一つに大伯皇女が弟の大津皇子(謀反の疑いで処刑された)を二上山に葬る時に悲しみ心傷ついて作られた和歌
「磯の上に生ふる馬酔木(あしび)を手折らめど 見すべき君がありと言はなくに」
があります。
意味は「磯のあたりに咲いている馬酔木を手折ろうと思いますけれども、手折ったとてお見せする皇子は、もはやこの世にはおれらませんのに。今は、生きてはいないのだから」のようです。
弟の大津皇子が処刑された後,まもなく姉の大伯皇女は伊勢神宮の斎宮の任を解かれ帰京しました。
あしびは大津皇子の好きな花だったのでしょう。手折ることも出来ず花を前に立ちすくむ大伯皇女の哀れな姿が目に浮かびます。
やがて、山頂真下の最後の小石の道にさしかかりました。
二上山の雌岳の山頂です。高さは474mです。
山頂には日時計があります。
北緯34度には奈良県にある箸墓古墳を中心とする太陽崇拝・山岳信仰の古代遺跡がならび太陽の道と呼ばれています。
二上山もこの線上にあります。ご来光に適した山です。太陽と生活の関わりから日時計が作られました。