他人は他人

　昨年、無くなった母の言葉「ひとはひと」。
何回言われたのだろうか、とふと思います。

　教員の父と、小売りの菓子屋の母、祖母、兄弟３人
親戚のお姉さんと７人で暮らしていた子供時代。

　食べるのに不自由はしませんでしたが
裕福といえるような家ではありませんでした。

　戦後の昭和３０年代なんてみんな同じようなモノです。

で、子供のころ「○○ちゃんも持っている××が欲しい！」というと
「ひとはひと」という返事。

おかげで、「ひとはひと」という考え方は身についています。

私は「仮面ライダー５５５」「仮面ライダー・ブレイド」の「オルフェノク」や「アンデッド」のように、一度死んで生き返ったという経歴を持っています。

１６分間の心停止から甦った奇跡の男！と
自分で勝手に名乗っています。

しかし、その引き替えのように、いろいろな生活上の制限を受けています。
人工透析もそうですし、それに伴う水分制限もそうです。

しかし、もう何年にもなると、かなり精神力で欲求を抑えていられます。
（だから、禁煙して挫折する人の心の弱さが、理解出来ません！）

家族は普通の体ですから、好きな時にいくらでも水でもジュースでも飲めます。
私に気を遣ったりもしませんから、私の目のまえでもゴクゴクやっています。

私は、食事の時に量を考えながらコ－ヒーやジュースを飲んでいますが、当然家族の前で飲んでいますので、目に付くのでしょう。

「家で一番水分をとっているのはおまえだ！」的なことを時々いわれます。
普段は笑って過ごせます。
　しかし、仕事に追われていたり、体が参っていた時など、精神力がもちません。

怒ってしまいます。

しかし、そんな時ですから、怒った後「こういう理由で、ここのところが気に障ったので怒ったのだよ」などと悠長に説明する気力はありません。

脳天気に、気軽な気持ちで、笑いながら言った妻は、怒られても理由がわかりません。
　怒られたので、形だけ、漫才コンビ「響」のように
「どうもすみません！」とゆがめた顔で一言。

　人は人の心や、思いが通じるようで通じないんだな、と自嘲的に笑わざるを得ないひとときです。「他人は他人」母の言葉が思い出されます。

人の生き方の基本は紋次郎なのだろうか‥

「あっしには関わり合いの無いことで」
ヒユーっと背中を走る悪寒のような木枯らしの音が聞こえてきます。

平成２１年秋九月半ば　その後の記録はのこされていない。