不遇の少年のワクワク冒険譚。「チョコレート工場の秘密」が有名なロアルド・ダール作。
4歳で両親を亡くしたジェームス・ヘンリー・トロッターは、意地悪なおばさん2人にこき使われるだけの辛い毎日を送っていた。3年後のある日、庭に不思議な老人が現れ、おばさんたちに見つからないように飲みなさいと緑色の魔法の粒々をくれる。ところが、ジェームスは慌てて走って桃の老木の下で転び、全部こぼしてしまう。
翌朝、いままで花さえつけたことのなかった桃の木に、桃の実がひとつ生っていた。桃の実はどんどん大きくなり、とうとう木よりも大きく地面につくほどの「おばけ桃」に。おばさんたちは大喜びで金儲けを考え出すが…。
***
魔法が、少年に直接作用するのではなく、ほかのものに作用して展開するのが興味深い。最初はがっかりするけれど、魔法ではなく知恵と勇気で乗り越えていくためだったのだとわかるのがいい。
ジェームスは、子供ほどの大きさになった虫たちと旅をするのだが、虫好きな子には楽しそうだけど、今どきの子供だと嫌がりそう!でも友だちが居なかったジェームズには、おばさんたちより悪い相手なんていなかっただろう。
桃に乗って海や空を巡ってイギリスからアメリカまで行っちゃうという奇想天外さで、最後は「あー面白かった!」と満足して終われる。理屈抜きで子供を楽しませるために作られたお話だ。
正直、最初は2人のおばさんのごうつくクソババアぶりが酷すぎて話に引き込まれた。安心して帰れる場所が無いなら、行ったきりで帰らなくてもいいのよ、という話でもあると思う。
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