原作は先月の読書会で課題本となった伊坂幸太郎の『マリアビートル』。
世界でもっとも運が悪い殺し屋、レディバグ(ブラッド・ピット)が「簡単な仕事」として請け負ったのは、東京発の新幹線に乗りブリーフケースを奪って一駅で降りること。ところが、この列車にはどういうわけか何人もの殺し屋たちが乗り込んでおり、次々起こるトラブルに列車から降りられなくなってしまう。
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日本が舞台だけどいわゆる“なんちゃって日本”で本当の日本の新幹線とは違うというか、あえてフィクションとしてずらしてるなという感じ。で、それもまたおもしろ要素のひとつになっていました。
割と原作通りにやっていたけれど、後半は大きく変えていましたね。まさかハリウッド映画のクライマックスでスクールウォーズの「ヒーロー」がかかるとは思ってもみませんでした。「時には母のない子のように」とかも…笑うしかなかった。もの凄く人がいっぱい死ぬ映画なのですが、常に「ハイこれ全部冗談よ〜」というテンションなので残酷さや悲しさはあんまり感じないで済みます。いやー映像作品って音楽でかなり感情コントロールされているんですね。
もとい。ストーリーは原作と違う映画的な魅せ方と丸め方がむしろオッケーな感じでした。例えば闇社会の親玉と王子(映画では女の子)は、「なんでそんなことをするの?」という疑問が映画のほうが分かりやすく提示されていて納得感ありでした。
もちろん頭のおかしい人たちなんだけどおかしいなりの矜持があり、見終わったあとモヤモヤしない感じです。
個人的お気に入り、二人組の殺し屋檸檬と蜜柑はレモンとタンジェリンとして登場。原作とは違う形で絆の強さを示しているのが良かったですね〜。レモンの狡猾さが冴えるトーマスシールのくだりもちゃんとありヤッターという感じ。そしてこちらの落ちの付け方も、ちょっとほろ苦いけれども原作よりスッキリスッパリしてました。
限られた空間の列車内では突然人が現れ急展開になるなど舞台演劇のような醍醐味もあり、映画化大成功なんじゃないかと思います。
(あ、原作は原作で小説として面白いのでいいのです…念の為)
こちらは私がよく利用します本物の新幹線