「アンナチュラル」も「MIU404」も好きだったので、家族で観に行きました。面白かった!さいごちょっと涙目に…。
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11月のブラックフライデー前日、世界最大規模のネットショッピングサイトが配送した荷物が配達直後に爆発。これを皮切りに宅配荷物の連続爆破事件が起こる。関東最大の物流センター長に就任したばかりの舟渡エレン(満島ひかり)は、マネージャーの梨本孔(岡田将生)とともに対応にあたるが、日本支社のトップ、五十嵐(ディーン・フジオカ)は売上目標の必達を命じてきて…。
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海外の巨大企業に押されて疲弊しきった日本の物流現場の問題をあぶり出していましたね。はっきり言ってアマゾンのことをやっているに違いなく、よくぞここまで切り込んだもんだなと感嘆しました。
しかし巨悪があってそれだけが悪者とはしていません。「あなたが欲しいものは?」と繰り返される問いかけで、利便性と購買欲を止められない消費者にも問題提起が向けられています。
それは「すべてはお客様のため」というまやかしの言葉によって、誰かが何かを犠牲にしていく労働問題の構造が作られていくことにも繋がっています。巧妙に仕掛けられた罠のようです。
現実にはこの罠からどうにも逃れられない構造になってしまっている。と改めて絶望してしまうのですが…。
畳みかける展開は二転三転し、サスペンスフルでありながら物流の末端(ラストマイル)を担う配送業者の親子や、手術に必要な器具を待つ医療従事者、プレゼントの品物が届くのを心待ちにする子どもの姿などを通して、物流の先には「人がいる」ことを実感するつくりになっていました。物流センターは常に稼働率という数字を徹底しており、それと対照的でもありました。
そして何と言っても満島ひかり。予告映像の印象よりも満島ひかりが縦横無尽に駆け巡り、次々に起こる危機にガンガン対応しながら周囲を振り回していく感じ。
けれど、彼女もまた企業の論理に毒されていて、単純に正義感や職業倫理で危機に立ち向かう人な訳ではないのも見応えがありました。
脚本は満島ひかりにあて書きされたというのも納得。いろんな人が出てきてそれぞれの立場で活躍する群像劇でもあるけれど、主人公の柱が太いと思う映画でした。