「ろくべえまってろよ」
ろくべえまってろよ 作:灰谷 健次郎 / 絵:長 新太出版社:文研出版 |
飼い犬のろくべえが、ふかいあなに落ちてしまい、数人の小学一年生がなんとか助け出そうとします。お母さんや通りすがりの人に助けてもらおうとする場面では、大人のいいかげんさが目立ち、低学年が出てくる話ですが内容は高学年向けです。なんとか、知恵を絞って子供たちだけで助け出すことができましたが、なんともあぶなっかしくひやひやする展開です。
長新太さんの絵がはっきりして見やすいし、事件のわりには切迫した感じが薄いのも絵のおかげかも。子供たちもしっかり聞いていました。約10分
「どんなかんじかなあ」
どんなかんじかなあ 作:中山 千夏 / 絵:和田 誠出版社:自由国民社 |
目が見えない、耳が聞こえない、両親がいない友達の立場になって「どんなかんじかなあ」と考えさせる絵本です。「目が見えないといろんな音が聞こえる」等、不自由なところがあるぶん、他の点が優れていると考える男の子の語りです。最後、その男の子自身が難病で体がまったく動かせない車イス生活をしている子だと分かります。でも男の子はそれを嘆くのではなく、色々な物事を考えたり、「体がうごくってどんな感じかなあ」と想像しているのです。
読みながら、このクラスに車イスの男の子がいることに思い当りました。それが悪いというわけじゃありませんが、自分で意図してやったことではないのでちょっと焦りました。
この絵本はあまり説教臭くなく、さりげない諭しとちょっと凝った話のつくりがいいなと思い選びました。車イスの子がいるクラスだったのはたまたまです。
一番端にいたその男の子は、ろくべえを読んでいるときちらっと見たら、絵本の方を見ていなくてぼーっと窓の外をみているような、聞いているのかいないのか、という表情でした。
5年生のときもたしか一瞬見たときにこんな感じで、端の方で動けないから絵本を見るのを諦めているようにも見えました。単につまらなかったのかもしれませんが。
それを思い出してまたそんな感じがしたので、その子の方に絵本を少し向けると、今度は反対側の端の子が見づらそうにします。あまり急激に動かしてもいけないと思い、結局そのまま読み通してしまいました。
2分ほど過ぎてしまい、もう他のクラスは朝の会が始まり歌を歌っていました。でも焦って早く読むこともしたくなかったので少し早めくらいで読み、終わったら余韻なしな感じで、その子のほうも見ないで出てきました。その子を見て目が合ってしまったら、「あなたのために読んだよ」とか「どう思った?」みたいな意図しないメッセージを与えてしまいそうなのが怖かったのです。
考え過ぎかもしれませんが、年頃のこどもたちを前に何かすることの責任のようなものも感じます。これが、ちゃんとこういう内容の本を読みますと担任の先生に言ってあり、自分もそのつもりで読むのだったら良かったんですけど。
他の子たちは、ちゃんと興味深げに聞いてくれてました。最後、「ああ」という感じの気付きの表情をしていた子もいたように思います。なにか心に響いてくれるといいのですが。約7分