最近、メディアを初めとして渋沢栄一がよく取りあげられるようになりました。NHKの大河ドラマや新札の図柄などが、影響していると思われますが、それだけではなく、利益優先の経済観への反省の機運もあるように思われます。
昨年、幸田露伴の『渋沢栄一伝』が岩波文庫となって発刊されました。幸田露伴の文章を読むと、背筋がぴんと伸びる気がします。冒頭部分から引用します。
〈人は誰でも時代の人である、(中略)才能の大小や、性質の美悪や、そういうこととは別に、人の風格はさまざまであって、そして各自の一生をその時代に印するのである。ただ、栄一に至っては、実にその時代に生れて、その時代の風の中に育ち、その時代の水によって養われ、その時代の食物と灝気(こうき)とを摂取して、そして自己の軀幹(くかん)を造り、自己の精神をおおし立て、時代の要求するところのものを自己の要求とし、時代の作為せんとする事を自己の作為とし、求むるとも求めらるるとも無く自然に時代の意気と希望とを自己の意気と希望として、長い歳月を克く(よく)勤め克く労したのである。〉
☆注 ・灝気・・清らかな気。 ・軀幹・・からだ。
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