半次郎の“だんごんがん”

要するに、居酒屋での会話ですね。
ただし、半次郎風のフレーバーがかかっています。
≪安心ブログ≫

『薄暗い室内』

2013年01月18日 12時55分04秒 | ★ やや半次郎の世界 ★

こんにちは、やや半次郎です。

早速、やや半次郎の可笑しな世界をお楽しみ下さい。

………………

『薄暗い室内』

ここは薄暗い室内。
日差しが入らない上、電灯も小さなものが入り口に一つあるだけで、奥の方には光が届かない。

何故、入り口にしか電灯が無いのかは分からない。
私がこの部屋を借りた時からそうだった。
家主には一度、部屋の奥にも電灯を付けてくれるようお願いしたことがあったが、アッサリ断られた。
理由は定かではない。
でも、さし当たり寝るだけの部屋なので支障はない。

2~3度、自分で取り付けようかと思ったのだが、天井が高くて手が届かない。
テーブルに椅子を乗せて上ってみたが、それでも天井には手が届かない。
それほど高い天井だ。

そう、今の話の中でチラッと出たが、この部屋には中央にテーブルがある。
4人掛けの食卓だが、私には必要のないモノだ。
一人暮らしで、しかも寝るだけの部屋なのだから。
家主には必要ないと伝えたが、取り合っては貰えなかった。
家主はいつも取り合ってくれない。
取り合ってくれないのが家主なんだ。

そのテーブルは、何でも名のあるデザイナーが作ったものだそうだ。
だから置いておくというのが彼の言い分だ。
でも、その有名だというデザイナーの名前を、一度も教えてくれたことはない。
教えてくれないのが家主なんだ。

そう、この部屋を借りた当初、寝るだけの私にとってそのテーブルは、ただの邪魔な存在でしかなかった。
しかし、いつからか利用価値を見いだしたのだ。
人間、心底利用しようと思えば、アイデアも湧くというもんだ。

私は、そのテーブルの下に入り込んで寝ることにした。
これなら安心だ。
夜中に地震が起きてもテーブルの下に隠れていることになるからな。

それはそうと、薄暗い。
全くの暗闇ではないから良いものの、薄暗いのも生活には不便だ。
私は寝るだけだから良いが、ここで生活する人が居るとしたら、きっと不便に違いない。

いや、不便であることよりももっと重大な問題がある。
こんな薄暗い室内には、きっと何かが棲み着いているに違いない。

怖い!
ハッキリ言って、怖い!

ハッキリ言わなくても、怖いものは怖い!

薄暗い室内には、きっとオタマジャクシのお化けとか、カエルの子のお化けとかが居るような気がする。

…カエルの子もオタマジャクシも同じだと思うだろ?
ところが、さにあらず。
カエルの子はオタマジャクシなんかじゃない。
“カエルの子はカエル”と言うだろ?
アハハ、アハハ、アハハ…。(笑)

ここは薄暗い室内。
バカを言っても虚しく響くだけ。(苦笑)

寝るだけだからしょうがない。
バカを言うことは不動産屋に伝えていなかったから、こんな部屋を借りる羽目になったのだ。

ここは薄暗い室内。
あの時、ちゃんと伝えていたら…。
そう思うと…涙が溢れてくる。
とめどなく溢れる涙が、ただ寂しい独り寝の枕を濡らす。

ここは薄暗い室内。
いや、もしかしたら疑っているのではないか?
ここは本当に薄暗いんだ。
どうしたら疑いが晴れるのだろう。
この室内が薄暗いことを証明するには、どうしたら良いのか。

友達に来て貰って、つぶやいて貰うか?
「薄暗い室内、ナウ!」とか…。

ダメだ、こんなつぶやきだけで信じて貰えるほど世間は甘くない。
写メも掲載しなきゃならないだろう。

おぉ、新たな疑問が頭をもたげて来た。
薄暗い室内で、薄暗い室内であることが分かるように、ちゃんと写るのだろうか?
フラッシュを焚いたら明るい室内になってしまう。
薄暗い室内でフラッシュを焚かずに写メを撮ったら、ただの“暗い室内”と区別がつかなくなる。
“暗い室内”ではなく“薄暗い室内”なんだ。
この違いは大きい。

う~む、悩ましい。

ここは薄暗い室内。
私はいつも、この薄暗い室内で悩んでいる。
言わば、悩ましい薄暗い室内だ。

悩ましい…。
悩ましい…。

ここは薄暗い室内。

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