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2023年11月25日のまにら新聞から
11月25日のまにら新聞から
ICC受け入れの動き急拡大 決議3本、大統領が復帰検討 ドゥテルテ家つぶしとの観測も
下院でドゥテルテ氏への麻薬戦争に対するICCの捜査受け入れを求める決議案が立て続けに提出され、マルコス大統領もICC復帰を検討中と発言。ドゥテルテ家つぶしの動きとの見方も
https://www.manila-shimbun.com/category/society/news274027.html
左からマルコス大統領、ロムアルデス下院議長、サラ副大統領、ドゥテルテ前大統領
ドゥテルテ前政権時代に麻薬撲滅政策下の超法規的殺害問題に絡んで脱退していた国際刑事裁判所(ICC)について、マルコス大統領は24日、「政府は復帰することも検討している」と述べた。同時に「ICCにドゥテルテ氏の捜査をする管轄権はない」との認識も改めて示したが、就任前から「主権侵害」「内政干渉」のロジックでICCに復帰しないことを繰り返し宣言してきた大統領が、ここにきて立場をシフトさせた。
超法規的殺害問題の捜査手続きを進めてきたICCのカーン主任検察官は、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を発付し、ドゥテルテ氏を捜査対象にすることを明言する人物だ。
これに先立ち、下院では17日から21日にかけ、ICCの捜査の受け入れを求める決議案が3本突如として立て続けに提出された。
下院では最近、ドゥテルテ氏の長女サラ現副大統領が機密費予算を巡りって弾劾が取り沙汰されるほどの追及を受けたことを機に、ドゥテルテ氏が政界復帰予告でけん制しながら下院批判を展開、それに対し下院は「サラ派」を下院副議長職から排除するなど緊張が高まっていた。
このため、突如起こったICC受け入れ要求の動きは、次期大統領を目指しているとされるロムアルデス下院議長=マルコス大統領の母方のいとこ=が、次期大統領最有力とされるサラ氏とドゥテルテ陣営の政治的弱体化を狙って仕掛けたものとの観測も出た。
17日には、「共産主義勢力の教育現場からの撲滅」を標榜するサラ氏への批判の急先鋒である、教職員組合系政党「ACTティーチャーズ」所属のフランス・カストロ議員がICC捜査受け入れを求める決議案を提出。20日には与党・国家統一党(NUP)所属で下院人権委員長のビエンベニド・アバンテ議員とオートバイ運転手を支持層とする野党「1ライダー」のロッジ・グチェレス議員が連名で、また21日には野党・自由党のエドセル・ラグマン議員がそれぞれ提出した。さらに22日には、通例を破り予告なしで司法・人権合同委員会が急きょ開かれ、先に提出された2案を審議した。
24日には、上院のリサ・ホンティベロス議員=野党・自由党=も、同様の決議案の提出を「検討している」発表。下院で始まった動きが上院にも波及し始めた。
▽はしご外しも
この下院での突然の動きに対し、大統領の姉で、マルコス―サラ正副大統領ペア「ユニチーム」を実現に導いた1人でもあるアイミー上院議員は22日、「どんな国会議員が国家の独立した司法管轄権を海外機関に譲り渡したがるのか」と反発。
「この3〜4週間の『ショー』の演出に奔走している人たちはフィリピンと現政権に対し申し訳ないと思うべきだ」とし、ICC捜査受け入れ決議を、一連の下院とドゥテルテ親子の対立の文脈に位置づけ批判。ドゥテルテ家擁護の立場を取った。
前政権で大統領報道官を務めたハリー・ロケ弁護士は22日、メディア向けフォーラムでさらに踏み込み、「反ドゥテルテ運動を後押ししているのはロムアルデス議長だ」と実名を挙げて批判した。
名指しされたロムアルデス議長は23日、記者団に対し、決議について「下院は議員から表明された『不満』に対応しているだけ。われわれの仕事は一つ一つの決議案を読み上げ、検討し、本会議で採否を議決する。採択になろうが不採択になろうが、その結果が下院の意思だ」と述べ、あくまで中立の立場をとってみせた。
一方で、ロケ氏が掲げた「ロムアルデス黒幕説」については「良き友人であるロケ氏の考えと意見は尊重するが」と前置きしながら、「ただそれは正確ではない。もっといえば、全く真実と異なる」と全否定した。
サラ氏は23日に声明を発表。ICC捜査受け入れ決議を審議する下院合同委員会が「突然アナウンスもなく開かれた」ことについて、「ICCによるいかなる国内捜査も内政干渉となり、われわれの主権に対する脅威となる。いかなる形でもICCには協力しない」とのマルコス大統領の言葉を引用。「外交に関する最高の意思決定能力を有する大統領の判断を尊重するよう下院に求める」とし、大統領の発言を最大限活用しながら父を守る論陣を張った。
しかし翌日マルコス大統領が「ICC復帰も検討中」と発言したことで、はしごを外される可能性も出てきた。
▽ユニチーム分裂、両家の抗争へ?
一連の動きに対し、NGO国際法センター代表のジョエル・ブトゥヤン弁護士は、英字紙インクワイアラーに寄せたコラムで、「マルコス陣営は選挙用の客寄せパンダとしてサラ氏を利用したが、もはや用済みとなっており、弾劾のうわさが出たのはサラ氏切り捨てへの動きが始まった証拠」と分析。
「マルコス氏から後継指名を受けるため東奔西走するロムアルデス氏が、本当に目的を達成できるか不明だが」と断りながら、次の統一選では、マルコス陣営が擁立する候補者とドゥテルテ陣営が立てるサラ氏との戦いになると予想。その上で「ドゥテルテ氏をICCに引き渡せば、ドゥテルテ陣営から最も大きく影響力のある声を奪い取り、サラ氏から親の七光りで得た借り物のカリスマを剥ぎ取ることができるため、マルコス陣営にとって有利」との見方を示している。(竹下友章)
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大衆紙の話題
花火工場の爆発で従業員死亡
https://www.manila-shimbun.com/tabloid/tabloid1700838000.html
ブラカン州ボカウエ町の花火工場で22日午後5時40分ごろに爆発事故が発生し、従業員のリサ・ビリヤヌエバさん(45)が死亡した。警察によると、ビリヤヌエバさんがクウィティスと呼ばれる花火を作っている最中に、花火製品の一部が発火して爆発。ビリヤヌエバさんは両足の膝から下を吹き飛ばされた。すぐに病院に搬送されたが、到着した時点で死亡が確認された。工場ではクリスマスから新年を祝うために販売する花火や爆竹を作っていた。警察は事故の原因や被害額について調査している。(24日・ピリピノンスターガヨン)