広重の名所江戸百景のタイトルはそのままでは現代人には読みにくいものがよくあります。ほとんどが地名と目立つポイントを記したものですが、漢字表記の仕方をわざと変えて、一部だけひらがな表記になっていたりします。また、逆に漢字だけが多く並ぶ表現にしていたりします。「角筈熊野十二社俗称十二そう」「深川八まん山ひらき」「浅草川大川端宮戸川」など、声に出して読めば面白そうですが、現代人には解らない地名になってしまっていることもあるのでしょう、何のことだかよくわからないものもあります。今回は「千束の池袈裟懸松」です。池の名前と名所名物になっている松だと思われます。web上で知り得た解説文では、「千束池(洗足池)という名前の由来は、日蓮上人が身延山久遠寺から茨城へ療養に向かう途中、旅の疲れを癒す為に足を洗ったという伝説によるものです。その時、日蓮上人が脱いだ袈裟を掛けたという松が袈裟懸けの松です。」とありました。江戸時代の漢字表記はかなり自由で、幾種類もの表記を楽しんだようです。
30秒の心象風景30128・千束の池袈裟懸松~広重の名所江戸百景~
https://youtu.be/eEdvlkj3uXw