映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

1645-神社の仏塔

2018年03月08日 | 30秒の心象風景
 兵庫県内には神社の境内に建つ仏塔が三基あることが知られている。そのうちの二基はどちらも八幡神社の境内にある。後残りの一基は名草神社というあまり聞き慣れない名前の神社にある。八幡神社と仏教との関係は古くから知られていて、奈良東大寺にも八幡神をまつる神社がある。古い由緒を持つ八幡神は、寺院の境内を守護する形で共に信仰されているようだ。日本人は外来の仏教と日本古来の神を区別なく信仰していて、それが神仏習合の形に整備され、日本の神は仏教の理論体系の中に取り込まれるようになっていった。ところが、明治になって、政治的な理由から神仏の分離を行ったため混乱が起きたことは誰もが知るところで、八幡神社の仏塔も存続が危ぶまれたらしい。有名な柏原八幡神社では、八幡文庫と称して難を逃れ存続させた三重塔が、いまでは兵庫県指定の文化財として大切に守られている。さて、八幡神社とは異なる例である八鹿町の妙見山にある名草神社の三重塔は、出雲から送られた仏塔として知られ、今は国指定の重要文化財である。この地から出雲大社の修築に必要な木材を提供した返礼としておくられたものらしい。八鹿町の名草神社となっているところは、もとは妙見信仰の聖地で、神仏の区別を超えた信仰の場であった。出雲大社側も古い由緒を持つ特別な社であるため、寄進された仏塔の扱いを生かすという計らいがあったのかもしれない。ところが、受け取った側の妙見山も明治時代の神仏分離の結果、現在ではよく分からない名前の名草神社ということになった。しかし、出雲の大社から送られた塔であるということが影響しているのだろう、大切に守られることになったようだ。

ひょうごの仏塔巡礼02・名草神社三重塔.mpg
https://youtu.be/NJCQijLEPFI
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